こども家庭庁の予算7兆円超は何に使われているのか 児童手当だけではない子育て予算の仕組み編

政策

こども家庭庁の2027年度予算要求額は7兆7436億円です。

7兆円を超える巨額の予算と聞くと、新しい少子化対策や子育て支援策に自由に使えるお金が7兆円以上あるように感じるかもしれません。

しかし、実際の予算の大部分はすでに制度として動いている給付やサービスに必要なお金です。

児童手当。

保育所や認定こども園などの運営。

放課後児童クラブ。

育児休業給付。

こうした制度は対象となる子どもや保護者がいれば、制度に基づいて支出が発生します。

こども家庭庁の予算を見るときには、総額だけではなく、その中身を見ることが重要です。

こども家庭庁とは何か

こども家庭庁は、子どもや子育てに関する政策を総合的に進めるための行政機関です。

少子化対策。

子育て支援。

保育。

児童虐待への対応。

子どもの貧困。

子どもや若者を取り巻くさまざまな問題に関係します。

従来、複数の省庁に分かれていた子ども政策について、司令塔として政策を進める役割を持っています。

そのため予算も幅広い制度にまたがっています。

2027年度予算要求は7兆7436億円

参考記事によると、こども家庭庁の2027年度予算要求額は7兆7436億円です。

2026年度の7兆4956億円から2480億円増えます。

単年度では過去最高の規模です。

7兆7436億円という金額だけを見ると、非常に大きな政策拡大に見えます。

しかし、予算総額の大きさと新しい政策に自由に使える金額は同じではありません。

まず既存制度を維持するために巨額の費用が必要だからです。

児童手当には約2兆円が使われる

こども政策を代表する給付の一つが児童手当です。

参考記事では、児童手当に約2兆円が計上されています。

児童手当は、対象となる子どもを養育する家庭に対して支給される制度です。

対象者が制度上の条件を満たしていれば、行政の裁量で、

今年は予算が厳しいので支給しません

と簡単に止めることはできません。

制度が続く限り、対象となる子どもの人数などに応じて必要な予算を確保する必要があります。

児童手当は予算の約4分の1を占める

7兆7436億円に対して児童手当が約2兆円です。

大まかに考えると、こども家庭庁の予算要求の約4分の1に相当する規模です。

児童手当だけでも非常に大きな支出になります。

子育て政策というと新しい支援策が注目されがちですが、すでに存在する大規模な給付制度を毎年維持するためにも巨額の財源が必要なのです。

保育所や学童保育の運営にも巨額のお金が必要になる

参考記事によると、保育所や放課後児童クラブなどの運営費には2兆7000億円が計上されています。

児童手当よりさらに大きな規模です。

保育所では保育士が働いています。

施設を維持します。

給食を提供します。

光熱費もかかります。

さまざまな費用が必要です。

保護者が支払う保育料だけですべての費用を賄っているわけではありません。

国や地方自治体の公費が投入されています。

保育の公定価格と予算はつながっている

保育所などの運営費を理解するうえで重要なのが公定価格です。

保育サービスでは、子どもの年齢や施設規模、地域などに応じて公定価格が設定されています。

その公定価格を基礎として施設の運営に必要な費用が支えられます。

公定価格には保育士などの人件費も含まれています。

したがって保育士の処遇を改善すれば、公費負担にも影響します。

保育士の給与改善は、単に保育園内部の賃金問題ではありません。

国や地方の子育て予算とも直接つながっています。

保育士の地域格差是正にも財源が必要になる

今回、こども家庭庁は保育士の給与に影響する公定価格の地域差を是正する方向です。

東京23区では地域加算が高い一方、隣接する埼玉県や千葉県の自治体との間に差があります。

その結果、給与条件の良い地域へ保育士が流れる問題が指摘されています。

地域加算を見直して周辺自治体の公定価格を引き上げれば、当然そのための財源が必要になります。

保育士確保という政策課題も、最終的には予算の問題とつながっています。

放課後児童クラブにもお金が必要になる

子育て支援は未就学児だけではありません。

小学校へ入学した後も、保護者が働いている家庭では放課後に子どもが過ごす場所が必要になります。

その役割を担うのが放課後児童クラブなどです。

いわゆる学童保育です。

共働き世帯が増えれば、保育所だけでなく学童保育への需要も高まります。

施設。

職員。

運営費。

こうした費用も子育て政策の重要な支出になります。

育児休業給付には約1兆1000億円

参考記事では、育児休業給付に約1兆1000億円が計上されています。

育児休業中は仕事を休むため、通常通りの給与を受け取れない場合があります。

そこで育児休業中の所得を一定程度支える仕組みが必要になります。

子育て支援は、

子どもへ直接お金を配る

保育サービスを提供する

だけではありません。

子どもが生まれた後も親が仕事を続けられるよう、所得面から支える政策も含まれます。

仕事と子育ての両立にも公費が使われる

少子化対策を考えるときには、子どもが生まれた後の働き方が重要になります。

育児のために仕事を辞めなければならない。

育児休業を取ると収入が大幅に減る。

保育所へ入れない。

こうした状況では、子どもを持つことへの経済的不安が大きくなります。

そのため、

育児休業中の所得を支える

保育サービスを提供する

職場復帰後も子どもを預けられるようにする

という複数の政策を組み合わせる必要があります。

三つだけで予算の大部分を占める

参考記事に示された主要3項目を単純に合計すると、

保育所や放課後児童クラブなどの運営費が2兆7000億円

児童手当が2兆円

育児休業給付が1兆1000億円

となります。

合計すると5兆8000億円です。

2027年度予算要求額7兆7436億円のかなり大きな部分を、この三つの分野だけで占めます。

こども家庭庁の予算の多くが、すでに動いている大規模な制度に必要なお金であることが分かります。

予算が増えても自由に使えるお金が同じだけ増えるわけではない

例えば予算が2000億円増えたとします。

その2000億円を政府が好きな新政策に使えるとは限りません。

児童手当の対象者や給付内容が変わる。

保育士の人件費が上がる。

保育サービスの運営費が増える。

育児休業給付に必要な費用が増える。

こうした既存制度に必要な支出が増えれば、予算総額も増えます。

つまり予算増額と政策の自由度は別の問題です。

義務的な性格の強い支出が多い

こども家庭庁の予算の特徴として、制度に基づいて必要になる支出が多いことがあります。

対象者がいれば児童手当を支給する。

保育サービスを利用する子どもがいれば運営費が必要になる。

育児休業給付の要件を満たす人がいれば給付する。

こうした支出は、行政側の判断だけで毎年度自由に増減させることが難しいものです。

参考記事でも、義務的経費が予算の大半を占めるとされています。

新しい政策に使う予算は別に確保する必要がある

既存制度だけで巨額の予算が必要になる中でも、新しい政策課題は発生します。

参考記事では、子どもとともに成長する企業という構想に22億円が要求されています。

子どもや若者の自殺防止には13億円です。

さらに強い経済や社会をつくるための投資枠として1225億円が盛り込まれています。

こうした新規政策を実施するためには、既存制度の支出とは別に財源を確保する必要があります。

だから既存事業の見直しも必要になる

予算全体を無制限に増やすことはできません。

一方で新しい政策課題には対応する必要があります。

そこで重要になるのが既存事業の見直しです。

利用されていない制度。

政策効果が小さい事業。

役割を終えた政策。

こうしたものを見直し、必要な政策へ財源を振り向けます。

今回、こども家庭庁が日本版DOGEによる検証を受けて約130億円分の事業を見直すのも、この流れにあります。

税制優遇も同じ視点で見直される

見直しの対象は予算として支出する事業だけではありません。

結婚子育て資金の一括贈与非課税制度についても廃止が求められています。

参考記事によると、2025年度の利用は219件でした。

税制優遇も税収を減らす形で政策資源を使っています。

限られた財源を有効に使うのであれば、歳出だけでなく税制優遇についても政策効果を検証する必要があります。

予算額だけでこども政策を評価できない

こども家庭庁の予算が過去最高になった。

この事実だけで、こども政策が成功しているかどうかは判断できません。

重要なのは、その予算によって何が変わったのかです。

子育て世帯の経済的負担が軽くなったのか。

保育士不足が改善したのか。

待機児童が減ったのか。

仕事と育児を両立しやすくなったのか。

子どもの生活環境が改善したのか。

政策は投入した予算額ではなく、最終的な成果まで見る必要があります。

結論

こども家庭庁の2027年度予算要求額は7兆7436億円です。

しかし、この7兆円超を新しい少子化対策へ自由に使えるわけではありません。

参考記事によると、保育所や放課後児童クラブなどの運営費に2兆7000億円、児童手当に2兆円、育児休業給付に1兆1000億円が計上されています。

この三つだけで5兆8000億円に達します。

こども家庭庁の予算の大部分は、すでに制度として動いている給付やサービスを維持するために必要なお金なのです。

だからこそ、予算総額が増えたことだけで政策を評価することはできません。

既存制度を維持する。

必要な制度は拡充する。

効果の低い事業や税制優遇は見直す。

そして新しい政策課題へ財源を振り向ける。

7兆円を超えるこども予算を見るときに重要なのは金額の大きさではなく、そのお金がどの制度に使われ、子どもや子育て世帯にどのような成果を生み出しているのかを見ることなのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月1日朝刊 贈与税優遇、廃止を要求 日本版DOGEで見直し

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