新NISAのスタートによって、多くの人が資産形成を始めるようになりました。その中でも特に人気を集めているのが、全世界株式に投資する「オルカン(オール・カントリー)」です。
しかし、オルカンの本当の価値は、1年や2年で結果を出すことではありません。
「20年間積み立て続けること」にこそ、大きな意味があります。
今回は、なぜ20年という長い時間が資産形成において重要なのかを考えてみます。
新NISAは長期投資のために設計された制度
新NISAは、運用益が非課税になる制度です。
一般的な投資では利益に約20%の税金がかかりますが、新NISAではその税負担がありません。
しかも非課税保有限度額が大きくなり、非課税期間も実質的に無期限となりました。
つまり、短期間で売買を繰り返す制度ではなく、何十年も資産を育てることを前提とした制度設計になっています。
制度の目的を理解すると、長期投資との相性の良さが見えてきます。
オルカンは世界経済の成長に投資する商品
オルカンは世界中の企業へ分散投資するインデックスファンドです。
経済の中心が変わっても、その時代に成長する企業が指数へ組み入れられていきます。
過去には日本企業が世界をリードした時代もありました。
現在は米国企業の比率が高くなっています。
将来はインドや東南アジア、あるいは新しい産業を持つ国々が成長の中心になるかもしれません。
投資家自身が勝ち組企業や勝ち組国家を予想しなくても、世界経済全体の成長を取り込めることがオルカンの魅力です。
20年という時間が複利の力を生み出す
資産形成で最も大きな味方は「複利」です。
運用で得た利益がさらに利益を生み、その利益にも利益が積み重なっていきます。
最初の数年間は資産の増え方をあまり実感できないかもしれません。
しかし10年、15年、20年と時間が経つにつれて、複利の効果は加速度的に大きくなります。
資産形成は短距離走ではありません。
長い時間をかけて資産を育てるマラソンなのです。
積立投資は価格が下がる時にも意味がある
株価が下落すると、不安になって積立をやめたくなる人もいます。
しかし積立投資では、価格が下がることにも意味があります。
同じ金額でより多くの口数を購入できるためです。
高い時には少なく買い、安い時には多く買う。
これを自動的に続けられるのが積立投資の強みです。
将来株価が回復したときには、安い時期に購入した分が大きな成果につながる可能性があります。
20年間続けるために大切なのは完璧を目指さないこと
長期投資で最も難しいのは、商品選びではありません。
続けることです。
途中で相場が暴落することもあります。
景気後退や金融危機も起こるでしょう。
そのたびに売買を繰り返してしまえば、長期投資の効果は十分に得られません。
毎月一定額を積み立て、日々の値動きを気にし過ぎない。
完璧なタイミングを狙うよりも、「続ける仕組み」を作ることの方がはるかに重要です。
老後資産づくりは時間を味方につけること
人生100年時代では、老後は20年から30年続く可能性があります。
その生活を支える資産を準備するには、お金だけではなく時間も必要です。
20年間積み立てるということは、世界経済が成長する時間を味方につけるということでもあります。
毎月の積立額がそれほど大きくなくても、長い時間をかければ資産は着実に積み上がっていきます。
時間は誰にでも平等ですが、その価値を最大限に生かせる人は多くありません。
だからこそ、早く始めて長く続けることに意味があります。
結論
新NISAとオルカンの組み合わせが評価される理由は、一時的な値上がりを期待するためではありません。
世界経済の成長を長期的に取り込み、複利の力を最大限に生かしながら、時間を味方につけて資産を育てるためです。
20年間という時間は決して短くありません。
しかし、その20年間を積立投資とともに歩めば、日々の相場に振り回されるのではなく、世界経済の成長そのものを味方につけることができます。
資産形成で最も大切なのは、「いつ買うか」を考え続けることではなく、「20年間続けられる仕組み」を今日から始めることなのです。
参考
日本経済新聞 朝刊(2026年6月27日)
「『オルカン』円安・物価高に強く 長期保有で支出増を吸収」