企業価値担保権の創設によって、日本の金融は大きな転換点を迎えています。
これまでの融資は、不動産や預金など目に見える資産を重視する傾向がありました。しかし今後は、企業そのものが持つ将来の成長力や収益力、事業の継続性がより重視される時代になります。
つまり、経営者の考え方や行動そのものが企業価値を左右する時代が始まったのです。
では、企業価値を高める経営者と下げる経営者の違いはどこにあるのでしょうか。
未来を語る経営者と過去を語る経営者
企業価値を高める経営者は未来を語ります。
5年後、10年後に会社をどのような姿にしたいのかを明確に持っています。
社員にも取引先にも金融機関にも、自社の将来像を説明できます。
一方で企業価値を下げる経営者は過去を語ります。
昔は良かった、以前は儲かった、昔のやり方で十分だという発想に陥りがちです。
金融機関が評価するのは過去の成功ではありません。
未来に利益を生み出す力です。
企業価値とは未来価値の評価そのものなのです。
人材をコストと見るか資産と見るか
企業価値を高める経営者は人材を資産として考えます。
社員教育に投資し、成長機会を与え、知識や経験を組織の財産として蓄積します。
人材が育てば組織の競争力は高まります。
結果として企業価値も向上します。
一方で企業価値を下げる経営者は人件費削減ばかりを考えます。
短期的には利益が増えるかもしれません。
しかし優秀な人材が流出し、組織力が低下すれば長期的な企業価値は失われていきます。
AI時代になっても最後に差を生むのは人材です。
人的資本への投資は企業価値向上の基本といえるでしょう。
情報発信を続けるか沈黙するか
現代社会では企業の信用は情報発信によって形成されます。
企業価値を高める経営者は積極的に情報発信を行います。
ホームページ、ブログ、SNS、動画などを通じて、自社の考え方や強みを継続的に発信しています。
情報発信は広告ではありません。
信用の蓄積です。
一方で企業価値を下げる経営者は発信を行いません。
優れた技術や商品を持っていても、誰にも知られなければ存在しないのと同じです。
企業価値とは認知と信頼の積み重ねでもあります。
情報発信は未来の企業価値を育てる活動なのです。
顧客数より信頼残高を重視する
企業価値を高める経営者は顧客との長期的な関係を重視します。
目先の売上よりも信頼を優先します。
顧客が困っている時には利益にならなくても支援します。
こうした積み重ねが紹介や口コミを生みます。
結果として強固な顧客基盤が形成されます。
一方で企業価値を下げる経営者は短期利益を追求します。
契約獲得を優先し、顧客満足を軽視します。
短期的な利益は得られても、長期的な信用は失われます。
企業価値の源泉は信頼残高です。
信頼のない企業は持続的な成長ができません。
学び続けるか現状維持を選ぶか
企業価値を高める経営者は学び続けます。
AI、DX、税制改正、人口減少、国際情勢など、環境変化を理解しようと努力します。
変化を脅威ではなく機会として捉えます。
そのため新しい成長機会を見つけることができます。
一方で企業価値を下げる経営者は変化を拒みます。
今まで成功してきた方法に固執します。
しかし市場は常に変化しています。
学びを止めた瞬間から企業価値は徐々に低下していくのです。
人生100年時代の企業価値とは何か
人生100年時代では企業価値の定義も変わります。
かつては工場や土地が企業価値の中心でした。
しかし今は違います。
知識、ブランド、顧客との信頼関係、人材、情報発信力などの無形資産が価値の源泉になっています。
特に中小企業では経営者自身の考え方や行動が企業価値そのものになります。
経営者が成長すれば企業も成長します。
経営者が学び続ければ企業価値も高まります。
企業価値とは経営者の姿勢を映す鏡なのです。
結論
企業価値を高める経営者と下げる経営者の違いは、資金力や規模の差ではありません。
未来を見るか過去を見るか、人を育てるか削減するか、発信するか沈黙するか、学び続けるか現状維持を選ぶかという日々の判断の積み重ねです。
企業価値担保権の時代は、企業が持つ不動産ではなく、経営者が生み出す未来そのものが評価される時代です。
人生100年時代の経営者に求められるのは、目先の利益ではなく、未来の企業価値を育て続ける姿勢なのではないでしょうか。
参考
税のしるべ
2026年06月08日
企業価値担保権の創設等で徴基通を一部改正