2040年の相続税はどう変わるのか 税制改革編

税理士
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相続税は今後どう変わるのでしょうか。

現在の日本では、相続税の課税対象となる人は死亡者全体の1割程度とされています。しかし高齢化と資産価格の上昇により、相続税は一部の富裕層だけの問題ではなくなりつつあります。

2040年の日本は高齢者人口がピークを迎え、巨額の資産承継が発生する時代です。

そのとき相続税制度は現在と同じ姿なのでしょうか。

今回は2040年の相続税の姿について考えてみます。

相続税対象者はさらに増えるのか

相続税は2015年の税制改正で基礎控除が縮小されました。

それまで

5000万円+1000万円×法定相続人数

だった基礎控除は、

3000万円+600万円×法定相続人数

へ引き下げられています。

その結果、課税対象者は大きく増加しました。

2040年までの間に地価や株価が上昇すれば、課税対象者はさらに増える可能性があります。

特に都市部では自宅不動産だけで基礎控除を超えるケースが増えるかもしれません。

将来的には「相続税は一部の富裕層だけの税金」という認識はさらに薄れていく可能性があります。

基礎控除は見直されるのか

一方で、インフレが進めば基礎控除の水準が問題になります。

現在の基礎控除額は2015年以降変わっていません。

2040年までに物価や資産価格が大きく上昇した場合、実質的な課税強化になってしまいます。

そのため、

基礎控除の引上げ

物価連動方式の導入

小規模相続への配慮

などが議論される可能性があります。

ただし社会保障財源が厳しい状況では、大幅な減税は容易ではないでしょう。

生前贈与と相続の一体課税

近年の税制改正を見ると、政府は相続税と贈与税の一体化を進めています。

相続開始前の加算期間は3年から7年へ延長されました。

今後もこの流れは続く可能性があります。

2040年には、

相続時精算課税制度の拡充

贈与税と相続税の統合

生涯課税方式

などが議論されているかもしれません。

税金を避けるための資産移転ではなく、人生全体を通じた資産移転をどう評価するかが重視される時代になる可能性があります。

三世代承継が重視される

超高齢社会では、

親から子へ

ではなく、

親から子・孫へ

という資産承継が重要になります。

相続が発生する頃には、子も高齢者になっているケースが増えるからです。

その結果、

孫への教育支援

若年世代への資産移転

子育て世帯支援

などを促進する税制が検討される可能性があります。

相続税は単なる課税制度ではなく、世代間の資産移転政策として位置付けられるかもしれません。

不動産優遇は続くのか

現在の相続税には、

小規模宅地等の特例

貸家建付地評価

借入金による圧縮効果

など、不動産に有利な制度があります。

しかし人口減少社会では、不動産の価値が二極化していきます。

都市部では高騰する一方で、地方では空き家問題が深刻化するでしょう。

2040年には、

利用価値の低い不動産への優遇縮小

空き家対策との連動

居住支援政策との統合

など、新たな制度設計が検討される可能性があります。

デジタル資産への課税

2040年の相続税を語る上で欠かせないのがデジタル資産です。

ネット証券口座

暗号資産

デジタル証券

電子マネー

オンライン収益権

など、相続財産の形は大きく変わるでしょう。

税務当局もデジタル資産の把握能力を高めていくと考えられます。

その結果、財産の透明性は現在より高まり、申告漏れは減少していく可能性があります。

相続税は社会政策になる

これまでの相続税は「富の再分配」が主な目的でした。

しかし2040年には、

若年世代への資産移転促進

少子化対策

地域活性化

住宅政策

高齢者資産の循環

といった政策目的がより強く求められるでしょう。

つまり相続税は単なる税金ではなく、社会政策の一部として機能する可能性があります。

結論

2040年の相続税は、現在と同じ制度ではないかもしれません。

課税対象者の増加、生前贈与との一体化、三世代承継への対応、デジタル資産への課税など、多くの変化が予想されます。

そして最も大きな変化は、相続税が単なる税収確保のための制度から、世代間の資産移転を促す政策手段へと位置付けを変えていくことかもしれません。

超高齢社会の日本では、「どれだけ課税するか」だけでなく、「資産をどの世代へどう移転するか」が税制の重要なテーマになっていくのでしょう。

参考

国立社会保障・人口問題研究所
「日本の将来推計人口」

財務省
「相続税・贈与税の一体化に関する資料」

国税庁
「相続税の申告事績の概要」

日本経済新聞 2026年6月1日朝刊
「相続はなぜ高齢者から高齢者への資産移転になったのか」

日本経済新聞 2026年6月1日朝刊
「財産は子より孫に渡した方がよいのか 三世代承継編」

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