老後の準備というと、多くの人はお金を思い浮かべます。
年金はいくらもらえるのか。
退職金は足りるのか。
NISAやiDeCoをどう活用するのか。
確かにお金は重要です。
しかし人生100年時代において、老後を支えるのは金融資産だけではありません。
もう一つ重要な資産があります。
それが「生きがい資産」です。
そして、その生きがい資産を育てる代表的な手段が趣味です。
趣味は単なる暇つぶしではありません。
人生後半を支える「老後の保険」になる可能性を秘めているのです。
なぜ定年後に元気を失う人がいるのか
定年退職後、人によって大きな差が生まれます。
生き生きと活動する人もいれば、急に元気を失う人もいます。
その違いはどこにあるのでしょうか。
一つの理由は「やることの有無」です。
現役時代は仕事が生活の中心です。
毎朝起きる理由があります。
人と会う予定があります。
責任や役割があります。
しかし退職後、そのすべてがなくなることがあります。
仕事しかなかった人ほど、退職後に空白を感じやすいのです。
趣味は第二の居場所になる
趣味には大きな価値があります。
それは人生の中に仕事以外の居場所を作ることです。
ゴルフ。
登山。
写真。
音楽。
読書。
旅行。
家庭菜園。
何でも構いません。
趣味を持つことで、仕事以外の世界が広がります。
人との交流も生まれます。
新しい知識や経験も得られます。
退職によって仕事の居場所を失っても、趣味の世界が残っていれば人生の空白は小さくなります。
趣味は人生後半のセーフティネットともいえるのです。
趣味は健康資産を守る
趣味は健康にも良い影響を与えます。
散歩や登山は身体を動かします。
囲碁や将棋は頭を使います。
音楽や絵画は感性を刺激します。
趣味を持つ人ほど活動量が増え、人との接点も維持しやすくなります。
健康寿命を延ばすうえで重要なのは、運動だけではありません。
「外に出る理由」があることです。
趣味はその理由を与えてくれます。
健康資産を守る仕組みとしても機能するのです。
趣味は人間関係資産を育てる
人生後半になると、仕事上の人間関係は減少していきます。
退職後は特にその傾向が強まります。
そこで重要になるのが趣味を通じたつながりです。
同じ趣味を持つ仲間。
地域のサークル。
ボランティア活動。
学びのコミュニティ。
こうした関係は仕事上の利害関係が少なく、純粋な交流として続きやすい特徴があります。
老後の孤独を防ぐうえでも大きな意味を持っています。
お金を使う趣味とお金を生む趣味
趣味には二つのタイプがあります。
一つはお金を使う趣味です。
旅行やゴルフなどが代表例です。
もう一つはお金を生む可能性のある趣味です。
執筆。
写真。
講師活動。
動画制作。
ハンドメイド作品の販売。
近年はインターネットによって、趣味と社会参加の境界が曖昧になっています。
好きなことが誰かの役に立ち、結果として収入につながることもあります。
人生後半では、こうした趣味の可能性も広がっています。
生きがいは突然見つからない
定年後に趣味を始めようと考える人もいます。
もちろんそれも良いことです。
しかし多くの場合、生きがいは突然生まれるものではありません。
長年続けてきたこと。
興味を持ち続けてきたこと。
少しずつ積み重ねてきたこと。
そうした経験が生きがいへと育っていきます。
金融資産を一日で作れないのと同じように、生きがい資産も時間をかけて形成されるのです。
人生100年時代の四つの資産
これからの時代に必要な資産は一つではありません。
金融資産。
健康資産。
人間関係資産。
そして生きがい資産です。
趣味はこの四つの資産の橋渡し役になります。
趣味によって健康が維持される。
人とのつながりが生まれる。
生きがいが育つ。
場合によっては収入にもつながる。
だからこそ趣味は人生後半において重要な意味を持つのです。
結論
趣味は単なる娯楽ではありません。
人生100年時代においては、生きがい資産を形成する重要な手段です。
仕事を卒業した後も、人は生き続けます。
その長い人生を支えるのは、お金だけではありません。
好きなことがある。
夢中になれることがある。
仲間がいる。
そうした要素が人生の満足度を高めていきます。
老後の保険とは、金融資産だけを意味するものではありません。
趣味という生きがい資産もまた、人生後半を支える大切な保険なのかもしれません。
参考
・内閣府「令和版高齢社会白書」
・厚生労働省「健康日本21」
・総務省統計局「社会生活基本調査」
・国立社会保障・人口問題研究所 高齢者の生活と社会参加に関する調査