人生100年時代といわれるようになって久しくなりました。
平均寿命は年々延び、多くの人が80代後半まで生きる時代になっています。
しかし、平均寿命の数字だけを見て安心してよいのでしょうか。
実は、人生後半を考えるうえで重要なのは平均寿命ではなく「健康寿命」です。
健康寿命とは、介護や日常生活の支援を必要とせず、自立して生活できる期間を指します。
平均寿命と健康寿命の間には一定の差があります。
この差が意味するものを理解することは、人生100年時代を考えるうえで欠かせません。
平均寿命と健康寿命の違い
平均寿命は、生まれた人が平均して何歳まで生きるかを示す統計です。
一方、健康寿命は健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間を表しています。
つまり、
平均寿命=生きている期間
健康寿命=自立して生活できる期間
という違いがあります。
現在の日本では、健康寿命と平均寿命の間に約10年前後の差が存在しています。
これは多くの人が人生の最後の期間において、何らかの支援や介護を必要とする可能性があることを意味しています。
なぜこの差が重要なのか
老後資金を考えるとき、多くの人は平均寿命まで生きる前提で計算します。
しかし実際には、健康状態によって必要なお金や生活の質は大きく変わります。
健康であれば旅行もできます。
趣味も楽しめます。
仕事を続けることも可能です。
一方、健康を損なうと医療費や介護費用が増加します。
行動範囲も狭くなります。
つまり、健康寿命の長さは老後の幸福度に直結する要素なのです。
老後資金より重要な「健康資産」
資産形成というと、多くの人は預貯金や投資を思い浮かべます。
しかし人生後半では健康も重要な資産です。
いくら金融資産があっても、自由に動けなければ活用できません。
反対に、健康であれば支出を抑えながら充実した生活を送ることもできます。
近年は健康資産という考え方が注目されています。
若い頃からの運動習慣。
適切な食生活。
十分な睡眠。
ストレス管理。
こうした積み重ねが将来の健康寿命を左右します。
健康は消費するものではなく、蓄積する資産と考えることができるのです。
健康寿命が長い人の共通点
健康寿命に関する研究では、いくつかの共通点が指摘されています。
適度な運動習慣がある。
社会とのつながりを持っている。
生きがいを持っている。
バランスの良い食生活を送っている。
こうした特徴を持つ人は健康寿命が長い傾向があります。
興味深いのは、健康寿命は医療だけで決まるわけではないことです。
人との交流や社会参加も大きな影響を与えています。
身体だけでなく心の健康も重要なのです。
人生100年時代の最大のリスク
人生100年時代の最大のリスクは長生きそのものではありません。
健康を失った状態で長期間過ごすことです。
多くの人は長寿を望みます。
しかし本当に望んでいるのは「健康長寿」ではないでしょうか。
健康であれば働くこともできます。
旅行もできます。
家族との時間も楽しめます。
健康寿命を延ばすことは、単に寿命を延ばす以上の意味を持っています。
それは人生の質を高めることにつながるからです。
お金と健康はどちらが大切なのか
老後準備の議論では、お金と健康が対立するように語られることがあります。
しかし実際には両者は密接に関係しています。
健康であれば医療費を抑えられます。
働く選択肢も増えます。
社会参加も継続できます。
一方で、お金があれば健康維持のための環境を整えることもできます。
重要なのはどちらか一方ではありません。
金融資産と健康資産の両方を育てることが大切なのです。
人生100年時代に必要な資産形成
これまでの資産形成は主にお金を増やすことが中心でした。
しかし人生100年時代では考え方を広げる必要があります。
金融資産。
健康資産。
人間関係資産。
この三つを同時に育てることが重要になります。
その中でも健康資産は、他の資産を活かすための土台となります。
健康がなければ、お金も時間も十分に活用できません。
結論
健康寿命と平均寿命の差は、単なる統計上の数字ではありません。
それは人生後半において、自立して生きられる期間と支援を必要とする期間の差を示しています。
老後資金の準備は重要です。
しかし、それと同じくらい重要なのが健康寿命を延ばすことです。
人生100年時代に求められるのは、お金だけを蓄える資産形成ではありません。
健康という資産を育てながら、人生をより長く楽しむ準備をすることです。
長生きすることが目的ではなく、元気に長く生きることこそが、これからの時代の本当の目標なのかもしれません。
参考
・厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
・厚生労働省「健康日本21」
・内閣府「令和版高齢社会白書」
・総務省統計局「人口推計」