現在、日本社会で急速に増えている問題の一つが「空き家」です。
総務省の住宅・土地統計調査でも、空き家数は増加傾向が続いています。
特に近年は、
- 親が亡くなった
- 実家を相続した
- でも住む人がいない
というケースが増えています。
しかも実務では、
- 売れない
- 貸せない
- 解体費が高い
- 管理が大変
など、多くの問題が発生します。
つまり現在の空き家問題は、
単なる不動産問題
ではなく、
- 相続
- 高齢化
- 人口減少
- 地方衰退
などと強く結びついています。
今回は、相続実務の中でも今後さらに重要になる「空き家相続問題」について、実務目線で整理していきます。
なぜ空き家が増えるのか
最大の理由は、
「住む人がいなくなる」
ことです。
例えば、
- 子どもが都市部居住
- 親だけ地方在住
- 実家へ戻らない
というケースです。
さらに、
- 少子化
- 未婚化
- 単身化
なども進んでいます。
つまり、
「家を継ぐ人」
そのものが減っているのです。
相続が空き家化のきっかけになる
空き家化の大きな契機が「相続」です。
例えば、
- 親死亡
- 子が相続
- しかし既に持ち家あり
というケースがあります。
すると、
- 誰も住まない
- でもすぐ売れない
状態になりやすくなります。
特に地方では、
「相続した瞬間に空き家」
というケースも珍しくありません。
“売れない家”が増えている
実務で非常に重要なのが、
「家は資産とは限らない」
という点です。
都市部では高額不動産もありますが、地方では、
- 買い手不足
- 人口減少
- 老朽化
などによって、売却困難な家も増えています。
つまり、
- 固定資産税はかかる
- 管理費もかかる
- でも売れない
という問題が起きています。
相続人全員が困るケースもある
空き家問題は、
「誰が得するか」
より、
「誰も引き取りたくない」
問題になりやすくなっています。
例えば、
- 遠方在住
- 高齢相続人
- 兄弟共有
などです。
すると、
- 管理責任
- 修繕費
- 草木管理
などを巡って、負担問題が発生します。
実家は“感情資産”でもある
一方で実家には、
- 思い出
- 仏壇
- 墓
- 地域関係
などもあります。
そのため、
- 売却したい人
- 残したい人
で意見が分かれることがあります。
つまり空き家問題は、
「経済合理性」
だけでは決まりません。
解体にも大きなお金がかかる
実務で見落とされやすいのが「解体費」です。
現在は、
- 建築費高騰
- 人手不足
などもあり、解体費負担が増えています。
さらに、
- 残置物処分
- アスベスト
- 境界問題
などがあると、費用が膨らむことがあります。
そのため、
「古い家だから壊せば終わり」
ではありません。
固定資産税問題もある
空き家でも固定資産税は発生します。
さらに、
「特定空家」
などに指定されると、税負担が増える可能性もあります。
つまり、
放置コスト
が年々重くなるケースがあります。
そのため、
- 管理
- 売却
- 解体
をどうするかが重要になります。
相続放棄しても終わりではない
「要らないから相続放棄」
を考える人もいます。
しかし実務では、
- 管理責任
- 他相続人との関係
- 放棄タイミング
などが問題になります。
さらに、
「空き家だけ放棄」
はできません。
つまり相続放棄は、
- 財産全体
- 債務全体
への影響があります。
空き家特例とは何か
現在は、一定条件下で、
「空き家譲渡特例」
などもあります。
例えば、
- 相続した空き家
- 一定条件下売却
などで、譲渡所得特例が使えるケースがあります。
ただし、
- 耐震要件
- 居住要件
- 売却時期
など、細かな条件があります。
つまり、
「空き家なら自動適用」
ではありません。
地方不動産は今後さらに難しくなる可能性
現在、日本では、
- 人口減少
- 高齢化
- 地方過疎
が進んでいます。
そのため今後は、
- 空き家増加
- 相続未登記
- 管理放棄
などがさらに増える可能性があります。
つまり空き家問題は、
「個人問題」
ではなく、
「社会インフラ問題」
へ近づいています。
相続登記義務化も背景にある
近年は、
「相続登記義務化」
も始まりました。
背景には、
- 所有者不明土地
- 放置不動産
- 管理不在
問題があります。
つまり国としても、
「誰の不動産か分からない」
状態を減らしたい方向へ進んでいます。
“家を持つこと”の意味も変わり始めている
かつて日本では、
- 持ち家
- 実家継承
- 土地保有
が重要視されてきました。
しかし現在は、
- 人口減少
- 働き方変化
- 都市集中
などによって、
「家を持つ価値」
自体が変わり始めています。
つまり今後は、
- 資産性
- 流動性
- 管理可能性
まで含めて、不動産承継を考える時代になっていく可能性があります。
結論
空き家相続問題は、
- 相続
- 高齢化
- 人口減少
- 地方衰退
が重なって生まれている問題です。
実務では、
- 売れない
- 管理できない
- 解体費が高い
- 相続人が困る
ケースも増えています。
また実家には、
- 思い出
- 家族感情
- 地域関係
もあるため、単純な経済合理性だけでは判断できません。
さらに今後は、
- 空き家増加
- 所有者不明土地
- 相続登記義務化
などによって、不動産承継の重要性はさらに高まる可能性があります。
だからこそ、相続では、
- 税金
- 財産価値
だけでなく、
- 管理可能性
- 流動性
- 家族の将来居住
- 地域との関係
まで含めて考えることが重要になります。
次回は、「“デジタル遺産”は誰が管理するのか(デジタル相続編)」をテーマに、ネット銀行・暗号資産・SNS・サブスク・パスワード管理など、AI時代の新しい相続問題を整理していきます。
参考
総務省「住宅・土地統計調査」令和7年
国土交通省「空き家対策関連資料」令和7年
法務省「相続登記義務化」令和7年