“争族”はなぜ起きるのか(家族トラブル編)

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

相続というと、多くの人はまず「相続税」をイメージします。

しかし実際の相続実務では、

  • 税金より
  • 家族関係の方が難しい

ケースも少なくありません。

実際、

  • 「うちは財産が少ないから揉めない」
  • 「兄弟仲は良いから大丈夫」

と思っていても、相続発生後に関係が大きく変わることがあります。

そのため現在は、

「相続」

ではなく、

「争族」

という言葉も広く使われています。

特に超高齢社会では、

  • 介護
  • 同居
  • 生前援助
  • 空き家
  • 認知症

などが絡み、感情対立が複雑化しやすくなっています。

今回は、相続税実務だけでは説明できない、“家族トラブルとしての相続”について、実務目線で整理していきます。


なぜ相続は揉めるのか

相続が難しい理由は、

「お金」

だけではないからです。

相続には、

  • 家族関係
  • 感情
  • 介護
  • 思い出
  • 不公平感

などが強く絡みます。

つまり相続は、

「財産分配」

であると同時に、

「家族関係の総決算」

にもなりやすいのです。


“公平”と“平等”は違う

実務で非常に重要なのが、この問題です。

例えば、

  • 長男が長年介護
  • 次男は遠方
  • 長女は生活援助

など、家族内の役割は違うことがあります。

しかし法律上は、

「法定相続分」

があります。

すると、

  • 「介護した人」
  • 「何もしなかった人」

が同じ割合になることもあります。

ここで、

  • 平等
  • 公平

の感覚がズレることがあります。


介護負担は感情対立になりやすい

現在の相続で特に大きいのが「介護」です。

例えば、

  • 同居介護
  • 通院付き添い
  • 認知症対応
  • 介護離職

などを、特定家族だけが担うケースがあります。

すると相続時に、

  • 「自分だけ苦労した」
  • 「なぜ同じ相続なのか」

という感情が出やすくなります。

つまり、

介護負担

遺産分割

は、非常に強く結びつきやすいのです。


同居問題はさらに複雑

同居相続人も、実務で重要な論点です。

例えば、

  • 実家に住み続けたい
  • 生活基盤がそこにある

一方で、

  • 他相続人は現金化希望

ということがあります。

特に不動産は分けにくいため、

  • 売却
  • 共有
  • 代償分割

などで揉めることがあります。

さらに、

「親と一緒に暮らしてきた」

という感情も加わります。


生前援助は“見えない不公平”になりやすい

実務では、

  • 教育費援助
  • 住宅資金援助
  • 開業資金
  • 結婚支援

なども問題になります。

例えば、

  • 長男だけ住宅購入支援
  • 長女だけ学費援助

などです。

親としては、

「必要だから助けた」

つもりでも、他の相続人から見ると、

「不公平」

に見えることがあります。


“親の想い”と子どもの感覚は一致しない

親は、

  • 「感謝してくれるはず」
  • 「分かってくれるはず」

と思っていることがあります。

しかし実際には、

  • 子ども間認識
  • 家族距離感
  • 生活状況

は違います。

つまり、

“親の善意”

が、

“相続対立”

につながることもあるのです。


遺言があっても揉めることはある

「遺言を書けば安心」

と思われることがあります。

確かに遺言は重要です。

しかし実務では、

  • 内容への不満
  • 遺留分
  • 感情対立
  • 説明不足

などで揉めることがあります。

つまり、

「法律上有効」

と、

「家族が納得」

は別問題です。


“実家”は感情が入りやすい

実家問題は非常に複雑です。

例えば、

  • 売却したい人
  • 残したい人

で意見が分かれます。

さらに、

  • 仏壇
  • 思い出
  • 地域関係

なども絡みます。

つまり実家は、

「単なる不動産」

ではなく、

「家族の象徴」

になりやすいのです。


超高齢社会で“争族”は増える可能性

現在は、

  • 認知症増加
  • 再婚家庭増加
  • 未婚化
  • 子なし夫婦増加

など、家族構造が変化しています。

さらに、

  • 単身高齢者
  • 遠距離家族
  • 介護負担集中

なども増えています。

そのため今後は、

相続問題

家族問題

の側面が、さらに強くなる可能性があります。


“お金の問題”より“感情の問題”

実務では、

「財産額」

より、

「感情」

が大きな対立要因になることがあります。

例えば、

  • 親からの愛情差
  • 介護評価
  • 家族内立場
  • 長年の不満

などです。

つまり相続は、

「最後のお金の話」

であると同時に、

「長年の家族関係」

が表面化する場面でもあります。


“争族対策”は税金対策だけでは足りない

現在、多くの相続対策は、

  • 節税
  • 生前贈与
  • 不動産対策

に注目しがちです。

しかし実際には、

  • 家族共有
  • 意思確認
  • 財産整理
  • 遺言
  • 介護負担配慮

なども重要です。

つまり、

「税金だけ減れば成功」

ではありません。


今後は“家族設計”が重要になる可能性

超高齢社会では、

  • 長寿化
  • 家族多様化
  • 単身化

が進んでいます。

そのため今後の相続では、

  • 財産承継
  • 介護
  • 居住
  • 見守り
  • 家族距離

まで含めた、

“家族設計”

が重要になる可能性があります。


結論

相続は、

「税金」

だけでは終わりません。

実際には、

  • 介護
  • 同居
  • 生前援助
  • 実家
  • 感情対立

など、多くの家族問題が絡みます。

また、

  • 平等
  • 公平

の感覚も、人によって異なります。

そのため、

「法律上正しい」

ことと、

「家族が納得する」

ことは一致しない場合があります。

だからこそ相続では、

  • 節税
  • 財産分割

だけでなく、

  • 家族間共有
  • 感情配慮
  • 意思整理
  • 将来設計

まで含めて考えることが重要になります。

次回は、「“空き家相続”はなぜ増えるのか(不動産承継編)」をテーマに、地方不動産・管理負担・売れない家・相続放棄・空き家税制など、超高齢社会で急増する“空き家相続問題”を整理していきます。


参考

国税庁「相続税の申告のしかた(令和7年分用)」令和7年4月

法務省「遺産分割に関する資料」令和7年

総務省「住宅・土地統計調査」令和7年

タイトルとURLをコピーしました