資産運用というと、多くの人は株式や投資信託、不動産などを思い浮かべます。
しかし、人生100年時代において最も大きな資産運用は、金融商品ではありません。
それは「働き続けること」です。
60歳を過ぎても収入を得られることは、老後資産を守るだけでなく、人生そのものを豊かにする力があります。
今回は、70歳まで働くことが、なぜ最大の資産運用になるのかを考えてみます。
働くことで資産を取り崩す時期を遅らせられる
老後資産が減る最大の原因は、毎月の生活費を資産から取り崩すことです。
収入がなければ、預金や投資資産を少しずつ使いながら生活することになります。
一方、働いて収入を得られれば、資産の取り崩しを遅らせることができます。
たとえ収入が現役時代より少なくなっても、生活費の一部を賄えるだけで資産寿命は大きく延びます。
時間は資産運用において大きな味方です。
取り崩し開始を数年遅らせるだけでも、老後の安心感は大きく変わります。
働くことは年金戦略にもつながる
働き続けることで、年金受給の選択肢も広がります。
生活費を給与で補える期間が長くなれば、年金の受給開始時期を柔軟に考えやすくなります。
受給開始時期をどうするかは、一人ひとりの健康状態や家族構成、資産状況によって異なりますが、「働く」という選択肢があることで、より幅広いライフプランを描くことができます。
働くことは、収入を得るだけではなく、老後全体の資金計画にも大きな影響を与えるのです。
健康と社会とのつながりという価値
仕事には給与以外の価値もあります。
毎日の生活リズムが整います。
人との交流が生まれます。
新しい知識を学び続ける機会にもなります。
こうした積み重ねは、健康維持や生きがいにもつながります。
老後の不安は、お金だけではありません。
孤独や社会とのつながりを失うことも、大きな課題です。
働くことは、経済的な安心だけでなく、心の充実にもつながる大切な要素なのです。
人生100年時代では70歳は通過点になる
平均寿命が延び、健康寿命も長くなっています。
そのため、70歳は「引退する年齢」ではなく、「まだ活躍できる年齢」と考える人が増えています。
もちろん、フルタイムで働き続ける必要はありません。
週数日の勤務や、専門知識を生かしたコンサルティング、オンラインでの仕事など、自分に合った働き方を選ぶことができます。
人生100年時代では、「いつまで働くか」ではなく、「どのように働き続けるか」が重要になってきます。
税理士だからこそ長く働ける
税理士という仕事は、年齢を重ねるほど経験が価値になります。
税務だけでなく、経営、相続、事業承継、資産管理など、多くの知識と経験がお客様の役に立ちます。
近年はオンライン相談や生成AIの活用も進み、場所や時間に縛られない働き方も可能になりました。
体力だけに頼る仕事ではなく、知識と信頼を積み重ねる専門職だからこそ、70歳を過ぎても社会に貢献し続けることができます。
人生100年時代の税理士は、自らが長く働くモデルを示しながら、お客様の人生設計を支える存在になっていくでしょう。
結論
人生100年時代では、資産運用は金融商品だけで考えるものではありません。
働き続けることによって収入を得ることは、資産の取り崩しを遅らせ、長寿リスクへの備えとなります。
さらに、健康維持や社会とのつながり、生きがいという、お金では測れない価値も得られます。
70歳まで働くことは、単なる収入確保ではなく、自分自身という最大の資産に投資し続けることでもあります。
金融資産を育てることと同じように、自分の知識や経験、人との信頼関係を育て続けることが、人生100年時代を豊かに生きるための最も確かな資産運用ではないでしょうか。
参考
日本経済新聞(2026年6月28日 朝刊)
国債 個人購入促進を議論 自民、相続税を減税 国民民主はNISA対象に 日銀減額で「受け皿」期待