税理士として独立開業を考えるとき、多くの人が気にするのが顧客獲得です。
特に70歳前後での開業となると、
「今さら顧客は集まるのだろうか」
「若い税理士に負けてしまうのではないか」
と不安に感じる方もいるでしょう。
しかし人生100年時代において、70歳はもはや仕事人生の終盤とは限りません。むしろ長年培った経験や信用を活かせる年代ともいえます。
今回は、70歳からの税理士開業と顧客獲得について考えてみます。
顧客は年齢で税理士を選ぶのか
顧客は税理士を選ぶ際に年齢を見るのでしょうか。
もちろん若さを評価する人もいます。
しかし実際には、
- 信頼できるか
- 話をよく聞いてくれるか
- 分かりやすく説明してくれるか
- 自分の悩みを理解してくれるか
という点の方が重要です。
例えば相続や事業承継、退職金、年金などの相談では、人生経験の豊富な税理士に安心感を覚える人も少なくありません。
顧客が求めているのは年齢ではなく、自分の問題を解決してくれる専門家なのです。
70歳だからこそ持てる強み
70歳には若い税理士にはない強みがあります。
それは経験です。
長年の勤務経験や実務経験を通じて、
- 景気変動
- 税制改正
- 企業経営
- 相続問題
- 人事労務
- 金融実務
など数多くの事例を見てきています。
知識はAIでも提供できます。
しかし経験から生まれる判断力や洞察力は簡単には代替できません。
顧客が本当に求めているのは、教科書的な答えではなく、自分の状況に合わせた助言です。
その意味で経験は大きな競争力になります。
顧客はどこから来るのか
70歳で開業した場合、飛び込み営業や大量の訪問営業は現実的ではありません。
では顧客はどこから来るのでしょうか。
考えられるのは次のような経路です。
- 長年築いた人脈
- 元同僚や取引先
- 税理士会等の紹介
- セミナーや研修講師
- ブログやnote
- SNS
- ホームページ
人生後半戦では営業力よりも信用力が重要になります。
若い頃から積み上げてきた信用が顧客獲得につながるケースも少なくありません。
特に情報発信を継続している人は、会ったことがなくても信頼される時代になっています。
AI時代に顧客が求めるもの
AIが発達すると、税務知識そのものの価値は低下していく可能性があります。
法令検索や計算はAIが得意だからです。
では税理士は不要になるのでしょうか。
そうではありません。
顧客が求めるのは、
- 判断
- 選択肢の提示
- 不安の解消
- 意思決定の支援
です。
例えば、
「年金はいつ受け取るべきか」
「退職金はどう使うべきか」
「子どもにどのように財産を残すべきか」
といった相談に正解はありません。
だからこそ経験豊富な専門家の価値が残ります。
AI時代は知識競争ではなく信頼競争になるのです。
70歳開業に必要なのは仕組み化
70歳以降の開業で重要になるのは体力勝負を避けることです。
若い頃と同じ働き方を続ける必要はありません。
例えば、
- メール相談
- Teams面談
- オンラインセミナー
- クラウド共有
- AI活用
を組み合わせれば、移動時間を大幅に削減できます。
これからのシニア開業は、
「たくさん働く」
ではなく、
「効率よく価値を提供する」
ことが重要になります。
体力ではなく仕組みが収益を支える時代です。
人生100年時代の顧客との共感力
70歳の税理士には、同世代の顧客が抱える悩みを理解できるという強みがあります。
例えば、
- 定年後の働き方
- 年金受給
- 相続対策
- 認知症対策
- 介護問題
- 老後資金
などです。
これらは単なる税務知識だけでは対応できません。
人生経験そのものが価値になります。
人生100年時代では、知識よりも共感力が重要になる場面が増えていくでしょう。
結論
70歳からでも顧客は十分に集まる可能性があります。
ただし若い頃と同じ方法で集客する必要はありません。
人生後半戦の税理士に求められるのは、営業力よりも信用力、体力よりも経験、知識よりも共感力です。
またAIやオンライン技術を活用することで、年齢による制約は大きく減少しています。
人生100年時代において70歳は決して遅すぎる年齢ではありません。
これまで積み上げてきた経験や人脈、そして信用を活かすことができれば、70歳からの開業は第二の人生の新たなスタートになるのではないでしょうか。
参考
・内閣府「令和版高齢社会白書」
・厚生労働省「人生100年時代構想に関する資料」
・日本税理士会連合会「税理士登録者数等に関する統計資料」
・総務省統計局「高齢者の就業状況に関する統計」
・経済産業省「働き方改革と高齢者就業に関する資料」