2040年の社会保障は「移動保障」を導入するのか 新しい福祉編

FP
ブルー ベージュ ミニマル note ブログアイキャッチ - 1

日本の社会保障制度は長い歴史の中で発展してきました。

病気になったときは医療保険。

高齢になったときは年金。

介護が必要になったときは介護保険。

これらは私たちの生活を支える重要な仕組みです。

しかし2040年に向けて、日本はこれまで経験したことのない超高齢社会へ進んでいきます。

その中で新たな課題として浮上しているのが「移動」の問題です。

病院があっても行けない。

買い物をする店があっても行けない。

地域活動があっても参加できない。

このような状況が増えれば、既存の社会保障制度だけでは十分とは言えなくなります。

そこで注目されるのが「移動保障」という考え方です。

社会保障の前提が変わりつつある

20世紀の社会保障は生活上のリスクへの対応が中心でした。

病気になる。

失業する。

高齢になる。

介護が必要になる。

こうしたリスクに備える仕組みとして制度が整備されてきました。

しかし2040年の社会では事情が変わります。

高齢者人口の増加により、

「制度があっても利用できない」

という問題が増える可能性があります。

その背景にあるのが移動手段の不足です。

医療保障だけでは十分ではない

医療保険制度が充実していても、病院へ行けなければ意味がありません。

特に地方では、

・公共交通機関の減少
・運転免許返納
・タクシー不足

などが進んでいます。

高齢者が通院を断念するケースも増えています。

本来受けられるはずの医療を受けられないのであれば、それは新しい形の医療格差とも言えるでしょう。

介護保険が直面する課題

介護分野でも同様です。

訪問介護や通所介護は移動を前提としています。

しかし介護職員不足が深刻化する中で、送迎や訪問の負担は年々大きくなっています。

また、介護予防には社会参加が重要とされています。

地域活動や交流の場へ出かけられなければ、フレイルや認知症のリスクが高まる可能性があります。

介護保険制度を維持するためにも、移動支援の充実が必要になるでしょう。

移動は社会参加の入り口

人生100年時代では、健康寿命の延伸が重要なテーマです。

健康寿命を延ばすためには、

・運動
・社会参加
・人との交流

が欠かせません。

しかし移動できなければ、それらは実現できません。

移動は単なる交通手段ではなく、社会参加への入り口なのです。

この視点から見ると、移動支援は福祉政策の一部として考えるべき課題とも言えます。

海外で進む移動支援の考え方

海外では高齢者や障害者の移動支援を公共サービスとして位置付ける例があります。

公共交通料金の補助や福祉輸送サービスなどです。

日本でも自治体によっては、

・コミュニティバス
・乗合タクシー
・移動支援事業

などが実施されています。

ただし地域による差が大きく、全国的な制度にはなっていません。

自動運転は移動保障を実現するのか

2040年に向けて期待されているのが自動運転技術です。

自動運転が普及すれば、

・運転手不足の緩和
・送迎コストの削減
・高齢者の移動支援

などが可能になるかもしれません。

また、病院や介護施設、商業施設と連携した移動サービスも実現しやすくなるでしょう。

技術革新は移動保障を支える重要な基盤になる可能性があります。

新しい社会保障としての移動保障

将来的には、

年金保障

医療保障

介護保障

に加えて、

移動保障

という考え方が生まれるかもしれません。

もちろん現時点でそのような制度は存在しません。

しかし、

誰もが病院へ行ける。

誰もが買い物できる。

誰もが社会参加できる。

という環境を整えることは、共生社会の実現に欠かせない要素です。

移動保障は、社会保障制度の新しい柱として議論される可能性があります。

財源の課題

一方で、移動保障を制度化するには財源の問題があります。

高齢化によって社会保障費は増加しています。

年金、医療、介護だけでも大きな負担が生じています。

その中で新たな制度を創設することは容易ではありません。

今後は、

・利用者負担
・自治体負担
・国の支援
・民間サービスとの連携

などを組み合わせた仕組みが求められるでしょう。

共生社会の新しい形

共生社会とは、誰もが地域で暮らし続けられる社会です。

その実現には制度だけではなく、実際に利用できる環境が必要です。

どれほど立派な社会保障制度があっても、そこへアクセスできなければ意味がありません。

移動保障という考え方は、制度を支えるための制度とも言えるでしょう。

結論

2040年の社会保障制度に「移動保障」という名称の制度が存在するかどうかは分かりません。

しかし超高齢社会が進む中で、移動を支える仕組みの重要性は確実に高まるでしょう。

医療や介護を利用するためにも、社会参加を続けるためにも、移動は欠かせません。

人生100年時代において重要なのは、長く生きることだけではなく、社会とのつながりを保ちながら暮らせることです。

その意味で移動保障は、年金・医療・介護に続く新しい福祉のテーマになる可能性があります。

2040年の社会保障は、「何を保障するか」だけでなく、「どうやって利用できるようにするか」を問われる時代になるのではないでしょうか。

参考

内閣府 高齢社会白書

厚生労働省 地域共生社会に関する検討会資料

国土交通省 地域公共交通政策資料

総務省 地方行政に関する各種資料

日本経済新聞 高齢社会・地域交通・社会保障関連特集記事各種

タイトルとURLをコピーしました