資本割は何に対して課税されるのか 資本金等の額編

税理士
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外形標準課税には付加価値割と並んで、もう一つの大きな柱があります。

それが「資本割」です。

付加価値割は人件費や賃借料など事業活動の規模に着目する税金でした。

一方、資本割は企業が保有する資本そのものに着目する税金です。

利益が出ているかどうかは関係ありません。

また従業員数の多さとも直接関係しません。

企業がどれだけの資本を持って事業活動を行っているかが課税の基準になります。

今回は資本割の基礎となる資本金等の額について解説します。

資本割とは何か

資本割とは、資本金等の額を課税標準として計算する法人事業税です。

企業が大きな資本を活用して事業活動を行っている場合、その規模に応じた負担を求めるという考え方に基づいています。

つまり利益が出ていなくても、巨大な資本を持つ企業には一定の税負担が発生します。

外形標準課税の中で、資本割は企業の財務基盤の大きさを測る役割を担っているのです。

なぜ資本にも課税するのか

外形標準課税が導入された背景には、企業活動の規模に応じた公平な負担という考え方があります。

企業は人を活用します。

資金を活用します。

建物や土地を利用します。

そして事業を行うためには一定の資本も必要です。

大きな資本を持つ企業ほど社会インフラを活用し、経済活動への影響も大きくなります。

そのため資本そのものも事業規模を示す重要な指標として位置付けられているのです。

資本金ではなく資本金等の額を使う理由

ここで注意しなければならないのは、資本割の計算に使うのは単純な資本金ではないということです。

資本金等の額を用います。

資本金だけを見ていると実態を正しく把握できないからです。

例えば資本金は少なくても、多額の資本準備金を保有している企業があります。

逆に資本金は大きくても、資本構成が変化している企業もあります。

そのため税務上は資本金等の額という概念を用いて企業の資本規模を把握しています。

講義資料の事例で確認する

講義資料の事例では、

資本金

25億円

資本準備金

24億円

となっています。

その結果、

資本金等の額

49億円

となっています。

計算自体は非常にシンプルですが、この金額が資本割の課税標準額となります。

付加価値割のような複雑な調整計算はありません。

まずは正確な資本金等の額を把握することが重要です。

なぜ大企業ほど影響が大きいのか

資本割は資本金等の額に税率を乗じて計算します。

そのため資本規模が大きい企業ほど税負担も大きくなります。

例えば資本金等の額が50億円の企業と500億円の企業では、税負担にも大きな差が生じます。

利益の多寡に関係なく課税されるため、不況期でも一定の税負担が発生します。

これが外形標準課税の特徴の一つです。

組織再編が資本割へ与える影響

近年は合併や会社分割などの組織再編が増えています。

こうした取引は資本金等の額に大きな影響を与えることがあります。

会計上は利益に影響しなくても、資本構成が変化することで資本割の課税標準額が変わる場合があります。

税理士は法人税だけでなく、地方税への影響も同時に検討しなければなりません。

資本割は組織再編税制と密接な関係を持つ分野でもあります。

税理士が確認すべきポイント

資本割の計算で確認すべき項目は比較的明確です。

資本金

資本準備金

資本金等の額

当期中の増減の有無

これらを確認することが基本になります。

また決算書だけでなく法人税申告書との整合性も確認する必要があります。

数字自体は単純ですが、基礎データの確認を誤ると税額全体に影響します。

外形標準課税の二つの視点

ここまで学んできた内容を整理すると、外形標準課税には二つの視点があることが分かります。

一つは付加価値割です。

人件費や利息、賃借料など事業活動の大きさを見る視点です。

もう一つが資本割です。

企業が持つ財務基盤の大きさを見る視点です。

この二つを組み合わせることで、企業規模を多面的に評価しているのです。

結論

資本割は資本金等の額を課税標準として計算される税目です。

利益とは無関係に、企業が保有する資本規模そのものに着目しています。

外形標準課税では付加価値割が事業活動の規模を評価し、資本割が財務基盤の規模を評価しています。

両者を理解することで、外形標準課税の全体像がより明確になります。

次回は、複数の都道府県に事業所がある場合に必要となる「分割基準」の考え方について解説します。

参考

近畿税理士会「税法実務講座(法人税)事業税の外形標準課税対象法人の申告の基礎③ 外形標準課税対象法人の申告書作成の基礎」

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