税務手続のデジタル化は新しい時代へ KSK2移行で変わる実務対応編

効率化
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

税務手続のデジタル化が、いよいよ新しい段階へ入ろうとしています。

令和8年9月24日に予定されている国税システム「KSK2」への移行に伴い、申告書様式や電子交付の仕組み、税務署から送付される文書の表示方法など、多くの実務が見直されます。

一見するとシステム担当者だけの話に思えるかもしれません。しかし、実際には法人・個人事業主・税理士・経理担当者など、税務に関わるすべての人に影響する改正です。

今回は、KSK2への移行によって何が変わるのか、実務上どのような準備が必要なのかを考えてみます。


KSK2とは何か

KSKとは「国税総合管理システム」のことです。

全国の税務署で利用されている基幹システムであり、申告書の受付、納税管理、調査情報、各種通知など、国税行政を支える重要なシステムとなっています。

今回導入されるKSK2は、単なるシステム更新ではありません。

デジタル化に対応した新しい税務行政基盤として、今後長期間利用されることが予定されています。

つまり、日本の税務行政そのものが新しいステージへ進むと考えてよいでしょう。


約1800種類の様式が新しくなる

今回最も影響が大きいのは申告書様式です。

所得税、法人税、消費税だけではなく、各種届出書や法定調書など約1800種類もの帳票が新様式になります。

今後は受付開始日以降、新しい様式で提出することが求められます。

会社内で保存している古いPDFや過去の様式を流用している場合は注意が必要です。

毎年同じ書類を利用している企業ほど、提出前の確認が重要になります。


電子交付は個別同意から一括同意へ

電子化の流れの中でも大きな変更が電子交付制度です。

これまでは通知ごとに同意する「個別同意」が必要でした。

しかしKSK2では、一度同意すれば電子交付対象の通知をまとめて受け取れる「一括同意」へ変更されます。

利便性は大きく向上しますが、注意点もあります。

これまで電子交付を利用していた人も、新制度では改めて一括同意が必要になります。

「今まで利用していたから大丈夫」と思い込んでしまうと、必要な通知を受け取れない可能性もあります。

制度変更時には手続方法も確認しておくことが大切です。


漢字の表示方法も変わる

今回の改正では、税務署から送付される文書で利用できる漢字の範囲も拡大されます。

これまで利用できなかった旧字体なども表示できるようになり、より本来の氏名に近い表記が可能になります。

一方で、一部の文字は字形が変わったり、手書き表示になったりする場合もあります。

納税証明書や各種通知書を確認した際、「文字が変わった」と驚く人もいるかもしれません。

しかし、これはシステム変更によるものであり、基本的には心配する必要はありません。


問い合わせ番号の活用で事務効率も向上

税務署から送付される通知には、お問い合わせ番号が印字されるようになります。

これにより、税務署へ問い合わせる際に対象案件を特定しやすくなります。

企業側でも文書管理がしやすくなり、担当者交代時の引継ぎにも役立つでしょう。

小さな改善に見えますが、日常業務ではこうした仕組みの積み重ねが事務効率を大きく左右します。


デジタル時代は制度より運用が重要になる

近年の税務行政は、

電子帳簿保存法

インボイス制度

e-Taxの機能拡充

など、制度そのものだけでなく、運用面の改善が続いています。

KSK2も同じ流れの中にあります。

制度改正だけを理解する時代から、システム変更まで把握する時代へ変わりつつあります。

今後は経理担当者だけではなく、経営者自身もデジタル行政への理解が求められるでしょう。


中小企業が今から準備したいこと

KSK2への移行は令和8年9月ですが、今から準備できることもあります。

例えば、

・社内で保存している申告書様式を定期的に更新する

・e-Tax利用環境を確認する

・電子交付の運用ルールを社内で決める

・税務署から届く電子通知の管理担当者を決める

・税務ソフトの更新予定を確認する

こうした準備を進めておけば、制度変更時の混乱を最小限に抑えられます。

税務DXは、制度開始後に慌てて対応するより、事前準備の差が大きな成果につながります。


結論

KSK2への移行は、単なる国税システムの更新ではありません。

申告書様式の変更、電子交付の拡充、漢字表記の見直しなど、税務実務全体のデジタル化をさらに進める重要な転換点となります。

企業や個人事業主にとって重要なのは、「制度が始まってから対応する」のではなく、「制度が始まる前に準備する」ことです。

これからの税務実務では、税法の知識だけでなく、デジタル環境への対応力も大きな競争力になります。KSK2への移行を、単なる制度変更ではなく、自社の税務体制を見直すきっかけとして活用してみてはいかがでしょうか。


参考

税のしるべ
2026年6月29日
国税システム更改の情報更新、KSK2への移行に伴い漢字の旧字体等の取扱いを変更

タイトルとURLをコピーしました