外貨預金の税金とは何か 利息と為替差益では課税方法が違う仕組み編

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外貨預金で利益が出た場合、どのような税金がかかるのでしょうか。

外貨預金の税金を少し複雑にしているのは、利益を二つに分けて考える必要があることです。

一つは預金から受け取る利息です。

もう一つは為替相場の変動によって生じる為替差益です。

例えば米ドル預金の金利が高ければ、ドル建てで利息を受け取ることができます。

さらにドルを買ったときより円安になってから円へ戻せば、為替差益が生じることがあります。

どちらも外貨預金から得られた利益ですが、税務上の扱いは同じではありません。

外貨預金を利用するときには、金利や為替レートだけでなく、利益にどのような税金がかかるのかも理解しておく必要があります。

外貨預金の利益には二つある

外貨預金から生じる利益は、大きく二つに分けることができます。

利息と為替差益です。

例えば150万円を1ドル150円で1万ドルに交換して外貨預金を始めたとします。

一定期間預けた結果、300ドルの利息を受け取ったとします。

この300ドルが預金から生じた利息です。

一方、元本の1万ドルについて、円へ戻すときに1ドル160円になっていたとします。

1万ドルは160万円になります。

150万円で取得した1万ドルが160万円になったため、単純化すれば10万円の為替差益が生じます。

つまり同じ外貨預金でも、

預金そのものから生じる利息

為替相場の変化から生じる為替差益

では利益が生まれる原因が違います。

税金についても、この二つを分けて考える必要があります。

外貨預金の利息にはどんな税金がかかるのか

個人が国内の銀行に預けた外貨預金から受け取る利息については、原則として源泉分離課税となります。

税率は20.315%です。

内訳は所得税と復興特別所得税が15.315%、地方税が5%です。

例えば外貨預金から円換算で10万円相当の課税対象となる利息を受け取る場合を単純化して考えてみます。

10万円に20.315%を掛けると、税額は2万315円です。

税引き後では7万9685円となります。

実際には外貨で利息を受け取る場合の円換算なども関係しますが、基本的には利息から税金が差し引かれます。

この点は国内の一般的な円預金の利息と似ています。

預金者自身が利息について毎回税額を計算して納税するのではなく、金融機関が税金を差し引く仕組みです。

源泉分離課税とは何か

源泉分離課税とは、所得を受け取る段階で税金が源泉徴収され、それによって原則として課税関係が完結する仕組みです。

給与所得などでは、年末調整や確定申告によって最終的な税額を精算することがあります。

これに対して源泉分離課税となる所得では、あらかじめ決められた税率で税金を差し引くことで課税関係が終了します。

外貨預金の利息についても、国内の銀行などを利用している一般的なケースではこの仕組みが使われます。

したがって外貨預金の利息については、

自分の所得が多いから税率が高くなる

という総合課税とは基本的な仕組みが異なります。

ただし海外の金融機関へ直接預金している場合などは、国内銀行の外貨預金と税務上の取り扱いが異なる場合があります。

どこに預金しているかも重要になります。

為替差益は利息とは違う

外貨預金の税金で特に注意したいのが為替差益です。

為替差益は預金利息ではありません。

一般的な個人の外貨預金で生じた為替差益は、原則として雑所得として扱われます。

例えば1ドル150円で1万ドルを購入したとします。

取得に使った金額は150万円です。

その後1ドル160円で円へ戻したとします。

受け取る円は160万円です。

為替手数料などを考慮しない単純な例では、

160万円から150万円

を差し引いた10万円が為替差益となります。

この10万円は預金利息とは異なり、原則として雑所得として税金を考えることになります。

同じ外貨預金から生じた利益でも、利息と為替差益では課税方法が異なるのです。

雑所得とは何か

所得税では所得をその性質によって複数の種類に分けています。

給与所得や事業所得、不動産所得などが代表的です。

そのいずれにも当てはまらない一定の所得が雑所得になります。

外貨預金の為替差益については、一般的にはこの雑所得として取り扱われます。

雑所得は原則として他の所得と合計して所得税を計算する総合課税の対象です。

そのため給与所得などが多い人では、為替差益に対する所得税の負担も大きくなる可能性があります。

利息に一律20.315%が源泉徴収される仕組みとは、この点が大きく違います。

つまり外貨預金では、

利息は原則として源泉分離課税

為替差益は原則として雑所得による総合課税

という違いがあります。

外貨預金の利益をすべて同じ20.315%で考えるのは正確ではありません。

為替差益が出たら必ず確定申告するのか

為替差益が雑所得になるからといって、少額の利益でもすべての人が必ず確定申告をしなければならないとは限りません。

確定申告が必要になるかどうかは、その人の所得の種類や金額、年末調整の状況、ほかの所得の有無などによって変わります。

例えば給与所得者については、給与を一か所から受け、給与の全部が源泉徴収の対象となるなど一定の条件を満たす場合、給与所得や退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要となる制度があります。

ただし、この20万円という数字だけを見て、

為替差益が20万円以下なら税金がかからない

と考えるのは正確ではありません。

これは所得税の確定申告を省略できる場合があるという話であり、所得そのものが非課税になるという意味ではありません。

住民税の申告が必要になる場合もあります。

また医療費控除など別の理由で確定申告をする場合には、20万円以下の所得についても申告に含める必要があります。

外貨預金の為替差益が生じた場合には、自分が確定申告を必要とする条件に当てはまるかを確認することが重要です。

円に戻さなければ税金はかからないのか

外貨預金では、

円に戻していないから利益は確定していない

と考えたくなることがあります。

例えば1ドル150円で購入したドルが1ドル160円になっていても、そのままドル預金として保有しているのであれば、単なる円換算上の評価益にとどまるケースがあります。

しかし外貨を別の外貨建て商品へ使った場合などは注意が必要です。

税務上の為替差損益は、必ずしも円へ交換した場合だけを考えればよいとは限らないからです。

例えば保有しているドルを使って外国株式など別の資産を購入した場合、ドルをその取得のために使用した時点で為替差損益の認識が問題になることがあります。

したがって、

円転していないから為替差益は絶対に発生しない

と単純に判断するのは危険です。

外貨をどのように取得し、どのように使ったかによって税務上の判断が必要になります。

為替差損が出た場合はどうなるのか

外貨預金では利益だけでなく損失が発生することもあります。

例えば1ドル160円で1万ドルを購入すれば160万円です。

その後1ドル150円で円へ戻せば150万円になります。

単純化すれば10万円の為替差損です。

一般的な外貨預金の為替差損については、同じ年にほかの雑所得がある場合、その雑所得の範囲内で差し引ける場合があります。

一方で、雑所得の計算で損失が残ったとしても、原則として給与所得などほかの種類の所得から自由に差し引けるわけではありません。

また一般的な外貨預金の為替差損について、株式投資などの損失と同じように翌年以降へ自由に繰り越せるわけでもありません。

この点は投資商品の税制を比較するときに重要です。

利益が出た場合の税率だけでなく、損失が出た場合にどの所得と相殺できるのか、翌年へ繰り越せるのかまで見る必要があります。

FXとは税金の仕組みも違う

外貨預金とFXは、どちらも為替相場の変動から利益や損失が生じるため、同じような税制だと思われることがあります。

しかし両者の税務上の仕組みは異なります。

国内の一定のFX取引による利益については、申告分離課税の対象となり、所得税等と地方税を合わせた税率は原則20.315%です。

一定の条件のもとで損失の繰越控除などもあります。

これに対して一般的な外貨預金の為替差益は原則として雑所得の総合課税です。

つまり、

ドルを持って利益が出た

という経済的な結果が似ていても、どの商品を使ったかによって税金の仕組みは違います。

金融商品を比較するときには、運用利回りだけでなく税引き後の利益を見る必要があります。

税引き後で外貨預金を考える

外貨預金の広告では高い金利が目立つことがあります。

しかし実際に手元へ残る利益を考える場合には、

預金金利

利息に対する税金

為替差益または為替差損

為替差益に対する税金

為替手数料

などを合わせて考える必要があります。

例えば高い金利を受け取っても、その利息から税金が差し引かれます。

さらに円高になれば為替差損が発生する可能性があります。

反対に円安になって大きな為替差益が生じれば、その利益について雑所得として税金を考える必要があります。

表面上の金利と、最終的に税引き後で残る利益は同じではありません。

外貨預金ほど税引き後の損益を考えることが重要な金融商品の一つといえます。

結論

外貨預金から得られる利益には、大きく分けて利息と為替差益があります。

この二つは税務上の扱いが異なります。

国内銀行などの外貨預金から個人が受け取る利息については、原則として20.315%の源泉分離課税となります。

一方、外貨を購入したときより円安になり、外貨を円へ戻すなどして生じた為替差益については、一般的には雑所得として総合課税の対象になります。

また為替差損が生じた場合でも、給与所得などと自由に損益通算できるわけではありません。

さらに外貨を円へ戻していなくても、その外貨を別の資産の購入に使用するなどした場合には、為替差損益の認識が問題になることがあります。

外貨預金では、金利が何%なのかだけを見て利益を判断することはできません。

利息への税金、為替差益への税金、為替手数料、為替変動まで含めて初めて実際の収益が見えてきます。

外貨預金の利息と為替差益は、同じ口座から生まれる利益であっても税金の仕組みは別物であることを理解しておくことが大切です。

参考

日本経済新聞 2026年8月21日 朝刊 外貨預金の伸び最大 家計・企業、円から資産分散

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