資産形成という言葉を聞くと、多くの人はお金を思い浮かべます。
預貯金。
株式投資。
NISA。
iDeCo。
不動産。
老後資金を準備するために、多くの人が金融資産の形成に取り組んでいます。
もちろんそれは重要です。
しかし人生100年時代において、本当に必要な資産はお金だけなのでしょうか。
十分な預金があっても、健康を失えば自由に行動できません。
健康でも孤独であれば幸福を感じにくくなります。
人とのつながりがあっても、生きがいを失えば毎日に張り合いがなくなります。
人生後半を豊かに生きるためには、金融資産だけではなく、四つの資産を育てることが必要なのではないでしょうか。
金融資産 お金は人生の土台である
第一の資産は金融資産です。
預貯金や投資資産、年金、退職金などが含まれます。
生活を維持するためにはお金が必要です。
住居費。
食費。
医療費。
介護費用。
どれも金融資産がなければ対応できません。
老後不安の多くが資金面から生まれることも事実です。
だからこそ資産形成は重要です。
しかし金融資産は人生を豊かにするための手段であり、目的そのものではありません。
お金だけで幸福を買うことはできないからです。
健康資産 健康こそ人生の自由度を決める
第二の資産は健康資産です。
健康はすべての土台になります。
旅行に行く。
趣味を楽しむ。
働く。
人と会う。
こうした活動は健康があってこそ可能になります。
人生100年時代では長寿そのものよりも健康寿命が重要です。
健康資産が豊富な人は人生の選択肢が広がります。
逆に健康を失うと、お金があっても活用できる範囲は限られます。
健康資産は人生の自由度を支える重要な資産なのです。
人間関係資産 孤独に備える資産
第三の資産は人間関係資産です。
家族。
配偶者。
友人。
地域社会。
趣味の仲間。
人生後半になるほど、この資産の価値は高まります。
退職後は職場という人間関係の場を失います。
子どもも独立します。
そのとき支えになるのが人間関係資産です。
近年の研究では、孤独が健康や幸福度に大きな影響を与えることが明らかになっています。
老後不安の正体は、お金だけではなく孤独にあるともいわれています。
信頼できる人とのつながりは、人生後半の大きな支えになるのです。
生きがい資産 人生に目的を与える資産
第四の資産は生きがい資産です。
趣味。
学び。
仕事。
社会活動。
ボランティア。
どのような形でも構いません。
重要なのは、「自分がやりたいこと」「続けたいこと」を持つことです。
退職後に元気を失う人の多くは、仕事以外の居場所や目的を持っていなかったケースが少なくありません。
反対に、生きがいを持つ人は年齢を重ねても活力を保っています。
生きがい資産は人生を前向きに生きるためのエネルギー源なのです。
四つの資産は相互に支え合う
これら四つの資産は独立して存在するわけではありません。
健康があれば趣味を楽しめます。
趣味を通じて人間関係が広がります。
人間関係が生きがいを生みます。
生きがいが健康維持につながります。
そして金融資産がそれらを支えます。
逆に一つの資産が大きく不足すると、他の資産にも影響が及びます。
人生後半では、どれか一つだけを増やせばよいというものではありません。
バランスが重要なのです。
資産形成の考え方は変わる
これまでの資産形成は、お金を増やすことが中心でした。
しかし人生100年時代では発想の転換が求められています。
金融資産だけではなく、
健康を育てる。
人とのつながりを育てる。
生きがいを育てる。
こうした活動も資産形成なのです。
毎日の運動。
趣味の継続。
地域活動への参加。
学び直し。
これらは将来の幸福に向けた投資といえるでしょう。
人生後半に差がつく理由
人生後半になると、人によって大きな差が生まれます。
お金だけで説明できない差です。
元気に活動する人。
新しいことに挑戦する人。
多くの仲間に囲まれる人。
そうした人たちは、四つの資産をバランスよく育ててきた人でもあります。
人生後半の豊かさは、金融資産の多寡だけでは決まらないのです。
結論
人生100年時代に必要な本当の資産とは何でしょうか。
それは金融資産だけではありません。
健康資産。
人間関係資産。
生きがい資産。
そして金融資産。
この四つの資産が揃って初めて、人生後半を豊かに生きることができます。
お金は重要です。
しかしお金だけでは幸福になれません。
人生100年時代の資産形成とは、単に資産残高を増やすことではなく、自分らしく生き続けるための土台を築くことなのです。
これからの時代に本当に必要なのは、「お金を残す力」だけではなく、「人生を豊かにする四つの資産を育てる力」なのかもしれません。
参考
・内閣府「令和版高齢社会白書」
・厚生労働省「健康日本21」
・総務省統計局「社会生活基本調査」
・国立社会保障・人口問題研究所「高齢者の生活と意識に関する調査」
・世界保健機関(WHO)健康と幸福に関する資料