人生後半戦になって独立や開業を考えると、多くの人が不安に感じることがあります。
それは営業です。
若い頃のように飛び込み営業をする体力はありません。人脈も職場中心だったため、退職後にどうやって顧客を獲得すればよいのか分からないという声も少なくありません。
しかし人生後半戦の営業は、若い頃とは考え方が大きく異なります。
重要なのは営業力ではなく信用力です。
今回は人生後半戦における最大の営業資産である「信用」について考えてみます。
若い頃の営業と人生後半戦の営業の違い
若い頃の営業は行動量が重視されます。
多くの人に会い、多くの提案を行い、多くの失敗を経験しながら顧客を増やしていきます。
いわば体力勝負です。
一方で人生後半戦では事情が異なります。
70歳前後で独立した人が若い営業担当者と同じ活動をすることは現実的ではありません。
そこで重要になるのが信用です。
顧客は知らない人から商品やサービスを買うことを避けます。
反対に、信頼できる人からは安心して購入します。
人生後半戦の営業とは、信用を活用する活動なのです。
信用はどのように作られるのか
信用は一朝一夕には作れません。
長い時間をかけて積み上げられるものです。
例えば、
- 約束を守る
- 誠実に対応する
- 専門知識を磨く
- 困っている人を支援する
- 継続的に情報発信する
といった行動の積み重ねによって形成されます。
人生後半戦の強みは、この積み重ねを何十年も続けてきたことです。
若い頃には資金や人脈がなくても、長年の信用を持っている人は少なくありません。
信用は目に見えませんが、非常に大きな資産です。
人脈と信用は同じではない
よく「人脈が大切」と言われます。
確かに人とのつながりは重要です。
しかし、人脈と信用は同じではありません。
名刺交換を何千枚しても、それだけでは顧客にはなりません。
重要なのは、
「この人なら安心して相談できる」
と思ってもらえることです。
人生後半戦では人脈の数よりも信頼の深さが重要になります。
紹介が発生するのも、単に知り合いだからではありません。
信用されているからです。
情報発信は信用の蓄積である
現代では信用を構築する方法が大きく変わりました。
以前は地域活動や対面での交流が中心でした。
現在はインターネットを通じて信用を積み上げることができます。
例えば、
- note
- ブログ
- YouTube
- SNS
- オンラインセミナー
などです。
情報発信を継続すると、
- どのような考え方を持っているのか
- どのような専門性があるのか
- どのような価値観で仕事をしているのか
が伝わります。
結果として会ったことがなくても信用される時代になりました。
人生後半戦の営業は、情報発信による信用構築が大きな武器になります。
AI時代に価値が高まる信用
AIは知識を提供できます。
税法や制度の説明もできます。
しかしAIは責任を持つことができません。
顧客が本当に求めているのは、
- 信頼できる判断
- 経験に基づく助言
- 人生設計への支援
です。
だからこそAI時代になるほど信用の価値は高まります。
知識が無料になる時代には、誰から助言を受けるかが重要になるからです。
信用はAIが代替しにくい資産の一つといえるでしょう。
人生後半戦の信用は複利で増える
金融資産には複利があります。
信用にも複利があります。
一人の顧客が満足すると、
- 紹介が生まれる
- 評判が広がる
- 信頼が増える
という循環が起こります。
逆に信用を失うと、その影響も広がります。
人生後半戦で重要なのは、信用を増やす行動を続けることです。
短期的な利益よりも長期的な信頼を優先することが、結果として最大の営業戦略になります。
人生100年時代の営業資産とは何か
人生100年時代では、資産の考え方も変わります。
金融資産だけではありません。
人的資産、健康資産、知識資産、そして信用資産があります。
その中でも信用資産は年齢とともに増やすことができます。
若さは失われます。
体力も徐々に低下します。
しかし信用は積み上げることができます。
人生後半戦において、最も価値のある営業資産は信用なのかもしれません。
結論
人生後半戦の営業は若い頃とは全く異なります。
行動量や体力ではなく、長年積み上げてきた信用が最大の武器になります。
信用は一朝一夕には作れません。
誠実な行動、専門性の向上、人への貢献、そして継続的な情報発信によって形成されます。
AIが普及し知識が容易に手に入る時代だからこそ、「誰から助言を受けるか」の重要性は高まっています。
人生後半戦の開業において最大の営業資産は人脈でも広告でもありません。
それは長年かけて築いてきた信用そのものではないでしょうか。
参考
・内閣府「令和版高齢社会白書」
・厚生労働省「人生100年時代構想会議関連資料」
・総務省「情報通信白書」
・経済産業省「未来人材ビジョン」
・ドラッカー著作関連資料「知識社会に関する論考」