相続税について、多くの人が不安に感じるのが「税務調査」です。
特に、
- 「どこまで見られるのか」
- 「銀行口座は全部分かるのか」
- 「家族名義口座は大丈夫なのか」
- 「タンス預金は見つかるのか」
などは、非常に関心の高いテーマです。
実際、相続税調査では、
- 名義預金
- 生前贈与
- 現金移動
- 海外資産
などが問題になることがあります。
さらに現在は、
- マイナンバー
- 金融データ
- AI分析
- 情報連携
など、税務行政のデジタル化も進んでいます。
そのため相続税調査は、
「単に家を見に来る」
だけではなく、
「資金の流れを分析する調査」
へ変化しつつあります。
今回は、国税庁「相続税の申告のしかた(令和7年分用)」などを参考にしながら、相続税調査で実際にどこが見られやすいのかを、実務目線で整理していきます。
相続税調査はなぜ行われるのか
相続税は、
- 財産種類が多い
- 現金性が高い
- 家族管理財産が多い
という特徴があります。
さらに、
- 家族内管理
- 名義分散
- 現金保管
なども起きやすいため、申告漏れが発生しやすい税目と言われています。
そのため税務署は、
「本当に全財産が申告されているか」
を確認します。
名義預金は最重要論点
相続税調査で、特に重要視されるのが「名義預金」です。
例えば、
- 子ども名義口座
- 孫名義積立
- 配偶者名義預金
などです。
税務署は、
- 誰が資金を出したか
- 誰が管理していたか
- 誰が自由に使えたか
を確認します。
つまり、
「名義」
より、
「実質」
が重視されます。
生前贈与は本当に成立していたのか
税務調査では、
「本当に贈与だったのか」
も重要です。
例えば、
- 贈与契約書なし
- 通帳は親管理
- 子が存在を知らない
などの場合、
「単なる名義移転」
と判断される可能性があります。
特に、
- 毎年同額
- 毎年同時期
- 同じ銀行
などは、形式的贈与と見られることがあります。
タンス預金はなぜ問題になるのか
実務でよく話題になるのが「タンス預金」です。
例えば、
- 自宅保管現金
- 金庫保管
- 家族しか知らない現金
などです。
現金そのものは違法ではありません。
しかし、
- 出所不明
- 申告漏れ
- 生前出金
などが問題になることがあります。
特に相続税調査では、
「多額出金後に残高不明」
が確認されるケースがあります。
銀行口座はかなり確認される
相続税調査では、金融機関資料確認が非常に重要です。
例えば、
- 残高
- 過去出金
- 定期解約
- 家族間移動
などです。
特に現在は、
- 金融機関情報管理
- データ連携
が進んでいます。
そのため、
「家族だから分からないだろう」
とは考えにくくなっています。
海外資産も対象
現在は、海外資産も重要論点です。
例えば、
- 海外口座
- 外国株式
- 海外不動産
などです。
さらに近年は、
- 国際情報交換
- CRS
- マネロン対策
などにより、海外金融情報共有も進んでいます。
つまり、
「海外なら分からない」
時代ではなくなりつつあります。
不動産購入資金は見られやすい
税務署は、
「そのお金はどこから来たのか」
を重視します。
例えば、
- 子名義不動産
- 多額住宅取得
- 若年層高額資産
などです。
そのため、
- 親からの援助
- 名義借り
- 未申告贈与
などが問題になることがあります。
SNS情報も無関係ではない
現在は、
- SNS
- インターネット
- デジタル情報
なども存在します。
例えば、
- 高額購入投稿
- 海外生活
- 投資情報
などが、間接的情報になることがあります。
もちろん、SNSだけで課税が決まるわけではありません。
しかし現在の税務行政では、
「公開情報」
も含めて情報分析される時代になっています。
AI分析は今後さらに進む可能性
現在、税務行政では、
- AI分析
- データ照合
- 異常検知
などが進んでいます。
例えば、
- 預金移動パターン
- 財産増減
- 名義分散
などを分析する可能性があります。
つまり将来的には、
「人の勘」
だけでなく、
「データ分析型調査」
がさらに進む可能性があります。
“家族のお金”という感覚が問題になることも
実務では、
「家族だから共有」
という感覚も少なくありません。
例えば、
- 親子間移動
- 家計混在
- 同居管理
などです。
しかし税務では、
- 誰の財産か
- 誰が管理していたか
が重要です。
つまり、
“家族感覚”
と
“税務上の所有”
は一致しないことがあります。
申告漏れは“悪意”だけではない
ここは重要です。
相続税申告漏れは、
- 知らなかった
- 把握していなかった
- 家族が管理していた
などによっても起きます。
特に高齢化社会では、
- 財産分散
- 記憶曖昧化
- デジタル資産
なども増えています。
つまり、
「悪質脱税」
だけでなく、
「管理困難」
も大きな問題になっています。
今後は“情報管理能力”が重要になる可能性
今後の相続実務では、
- 財産一覧
- ID管理
- デジタル資産
- 家族共有
などがさらに重要になる可能性があります。
つまり、
「財産を持つ」
だけでなく、
「整理・説明できる」
ことが重要になる時代へ進む可能性があります。
結論
相続税調査では、
- 名義預金
- 生前贈与
- 現金移動
- 海外資産
- 家族間資金移動
などが重要視されます。
そして現在は、
- マイナンバー
- 金融情報
- 国際情報交換
- AI分析
などによって、税務行政の情報把握能力も高まっています。
また相続税調査では、
「形式」
ではなく、
「実質」
が重視されることも重要です。
さらに今後は、
- 高齢化
- デジタル化
- 資産多様化
などによって、
「財産を整理・共有・説明できるか」
が、より重要になっていく可能性があります。
次回は、「“争族”はなぜ起きるのか(家族トラブル編)」をテーマに、遺産分割・介護負担・同居・感情対立など、“税金だけでは終わらない相続”について整理していきます。
参考
国税庁「相続税の申告のしかた(令和7年分用)」令和7年4月
国税庁「相続税調査等の状況」令和7年
国税庁「タックスアンサー 相続税」令和7年