なぜ出社回帰が進むのか 人生100年時代の働き方改革編

人生100年時代
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コロナ禍をきっかけに急速に広がったリモートワークですが、最近では「出社回帰」の流れが目立つようになっています。特にスタートアップ企業では、社員同士が直接顔を合わせる機会を増やし、組織の一体感や企業文化を育てようとする取り組みが活発化しています。

一方で、単に「会社へ来なさい」と命じるのではなく、「会社へ行きたくなる職場」をつくろうとする企業が増えている点は注目すべき変化です。

人生100年時代では働く期間が長くなるだけに、職場がどのような価値を提供するのかが、これまで以上に重要になってきます。

リモートワークだけでは育ちにくいもの

リモートワークには通勤時間の削減や柔軟な働き方など多くのメリットがあります。しかし、それだけでは補えないものもあります。

例えば、

・雑談から生まれるアイデア
・先輩へ気軽に相談できる安心感
・部署を超えた偶然の出会い
・会社への帰属意識

こうした要素はオンラインでは再現しにくいものです。

チャットでは相談文を何度も書き直してしまう人でも、隣に座っていれば「ちょっといいですか」と気軽に質問できます。

仕事の効率だけでは測れない価値が、対面には存在しています。

出社したくなる会社づくりへ

今回の記事で印象的だったのは、「出社を義務にする」のではなく、「出社したくなる仕掛け」を数多く用意していることです。

お菓子を配る。
寒い日には肉まんを配る。
社内イベントを開催する。
銅鑼を鳴らして成果を皆で祝う。

どれも大掛かりな制度ではありません。

しかし、このような小さな工夫が社員同士の会話を生み、会社に活気を与えています。

人は合理性だけで行動するわけではありません。

「楽しそう」
「仲間に会いたい」

そんな感情が、人を動かします。

企業経営でも、この心理を理解することは極めて重要です。

組織は50人を超えると難しくなる

スタートアップには「50人の壁」「100人の壁」という言葉があります。

社員数が増えると、

・情報共有が難しくなる
・創業時の熱量が薄れる
・部署間の距離が広がる
・経営者の考えが伝わりにくくなる

といった問題が起こります。

会社は人数が増えるほど、自然にまとまるものではありません。

だからこそ、企業文化を意識的につくる必要があります。

今回紹介された企業が「モメンタム局」のような専門チームまで設けているのは、その重要性を理解しているからでしょう。

人生100年時代は「働く場所」を選ぶ時代

以前は給与や福利厚生が会社選びの中心でした。

しかし現在では、

・誰と働くか
・どんな雰囲気か
・成長できる環境か
・人とのつながりを感じられるか

といった要素を重視する人が増えています。

実際、地方で完全リモート勤務を続けていた社員が、「会社が楽しそうだから」という理由で上京したというエピソードは象徴的です。

会社は仕事をする場所であると同時に、人とのつながりを感じる場所でもあります。

人生100年時代には、職場そのものが人生を豊かにするコミュニティとしての役割を担うようになるでしょう。

税理士も「オンラインだけ」で十分なのか

この流れは税理士業界にも参考になります。

クラウド会計やWeb会議の普及により、多くの相談はオンラインで完結できるようになりました。

私自身も将来的にはメールとTeamsを中心とした業務スタイルを考えています。

しかし一方で、経営者との信頼関係や、新しい発想が生まれる瞬間は、対面だからこそ得られる場合も少なくありません。

オンラインを活用しながらも、必要な場面では直接会う。

あるいは、オンラインでも「相談しやすい空気」をどう作るか。

これからの税理士には、単なる専門知識だけでなく、コミュニケーションを設計する力も求められるようになるでしょう。

働き方改革の本質は「出社か在宅か」ではない

出社かリモートかという議論は、これからも続くでしょう。

しかし、本当に重要なのは働く場所ではありません。

社員が安心して相談できること。
仲間の活躍を一緒に喜べること。
会社に行くことが少し楽しみになること。

こうした環境が整って初めて、組織は成長していきます。

働き方改革とは、勤務場所を変えることではなく、人と人とのつながりをどう設計するかという改革なのかもしれません。

結論

コロナ禍で広がったリモートワークは、柔軟な働き方を実現しました。一方で、多くの企業は組織の一体感や企業文化を維持する難しさにも直面しました。

その結果、現在は「出社を強制する」のではなく、「出社したくなる会社をつくる」という新しい発想が広がっています。

人生100年時代には、長く働き続けるためにも、仕事の効率だけではなく、人とのつながりや職場の居心地の良さが重要になります。企業も働く人も、「どこで働くか」より「どんな関係の中で働くか」を重視する時代へと移りつつあるのではないでしょうか。

参考

日本経済新聞(2026年6月25日夕刊)
スタートアップ、出社を促進 お菓子配りや銅鑼で「楽しそう」

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