NPO法人会計はなぜ企業会計と違うのか 会計基準編

会計
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税理士として企業の決算書を見慣れている方が、初めてNPO法人の財務諸表を見ると戸惑うことがあります。

「損益計算書がない」

「利益という言葉が出てこない」

「活動計算書とは何だろう」

という疑問を持つ方も少なくありません。

実はNPO法人には、一般企業とは異なる独自の会計基準があります。

その背景には、NPO法人ならではの社会的な役割があります。

今回はNPO法人会計の基本となる考え方について解説します。

企業とNPO法人では目的が違う

まず理解しなければならないのは、企業とNPO法人では組織の目的が異なるということです。

株式会社の目的は、利益を生み出し企業価値を高めることです。

そのため会計も、

いくら利益が出たのか

株主にどれだけ利益を還元できるのか

を重視しています。

一方でNPO法人は社会課題の解決や公益活動を目的としています。

利益を追求するための組織ではありません。

そのため会計報告も、

どのような活動を行ったのか

どのように資金を使ったのか

を説明することが重視されているのです。

市民への説明責任が出発点

NPO法人会計基準が作られた背景には、市民への説明責任があります。

寄付者

会員

助成団体

行政機関

地域住民

など、多くの関係者がNPO法人の活動を支えています。

そのため、

お金がどのように集まり

どのように使われ

どのような成果につながったのか

を分かりやすく示す必要があります。

NPO法人会計は投資家のための会計ではなく、市民のための会計といえるでしょう。

利益ではなく正味財産を見る

企業会計では当期純利益が重要な指標になります。

しかしNPO法人会計では「正味財産」という考え方を使います。

正味財産とは、

資産から負債を差し引いたもの

です。

企業会計でいう純資産に近い概念ですが、その意味合いは少し異なります。

NPO法人では利益を株主へ分配することがありません。

そのため、活動の結果としてどれだけ正味財産が増減したかを見るのです。

活動の成果を示す会計

NPO法人の活動は多様です。

例えば、

子ども支援

高齢者支援

障害者支援

環境保全

地域振興

国際協力

などがあります。

これらの活動成果は利益だけでは測れません。

赤字であっても社会的成果を大きく上げている場合があります。

逆に黒字であっても本来の目的を達成できていない場合もあります。

そのためNPO法人会計では、活動内容を重視した情報開示が求められているのです。

財務諸表の利用者も違う

企業の決算書を見る人は、

株主

金融機関

投資家

取引先

などが中心です。

一方、NPO法人では、

寄付者

ボランティア

行政機関

地域社会

会員

などが主な利用者になります。

利用者が異なれば、求められる情報も変わります。

その結果、会計基準そのものも企業会計とは異なる仕組みになっています。

透明性が最大のテーマ

NPO法人会計で特に重視されるのが透明性です。

寄付金や助成金は、自分の利益のためではなく社会のために託された資金です。

だからこそ、

適切に使われているか

目的どおり使われたか

無駄遣いはないか

を説明する必要があります。

NPO法人会計基準は、この透明性を確保するために整備されました。

税理士の役割も変わる

企業会計では利益計算や節税支援が中心になります。

しかしNPO法人では、

説明責任

透明性

信頼性

情報公開

の支援が重要になります。

税理士は単なる決算書作成者ではなく、社会的信頼を支える専門家としての役割を担うことになります。

これは一般企業の顧問業務とは異なる魅力でもあります。

これからの時代に重要になる分野

少子高齢化や人口減少が進む中で、行政だけでは解決できない課題が増えています。

そのためNPO法人の役割は今後さらに大きくなるでしょう。

それに伴い、NPO法人会計を理解する税理士への需要も高まる可能性があります。

企業会計だけでなく、非営利組織会計を理解することは、税理士にとって新たな専門分野になり得るのです。

結論

NPO法人会計が企業会計と異なるのは、組織の目的そのものが違うからです。

企業会計が利益を重視するのに対し、NPO法人会計は社会的活動の成果と説明責任を重視しています。

そのため、NPO法人会計では利益ではなく正味財産や活動内容の開示が重要になります。

NPO法人会計を理解することは、単なる会計技術ではなく、非営利組織が社会から信頼を得る仕組みを理解することでもあるのです。

次回は、NPO法人会計の中心となる「活動計算書」について詳しく解説したいと思います。

参考

東京税理士会目黒支部

「NPO法人の会計について」 税理士 脇坂誠也

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