海外から商品を輸入すると、税関で輸入消費税が課税されます。
その際、多くの人が疑問に思うのが、
「消費税は何を基準に計算されるのか」
という点です。
国内取引であれば商品の購入価格に消費税率を掛ければよいため比較的分かりやすいでしょう。
しかし輸入取引では少し事情が異なります。
輸入消費税は単純に商品の代金だけを基準に計算するわけではありません。
運賃や保険料、関税なども関係してきます。
今回は輸入消費税の計算の基礎となる「CIF価格」を中心に解説します。
輸入消費税は商品代金だけでは決まらない
例えばアメリカから100万円の商品を購入したとします。
国内取引の感覚であれば、100万円に消費税率を掛ければよいと思うかもしれません。
しかし輸入取引ではそう単純ではありません。
海外から日本へ商品を運ぶためには、
・運賃
・保険料
・関税
などの費用が発生します。
輸入消費税は、こうした費用も含めて計算される仕組みになっています。
そのため購入価格だけで税額を予想すると、実際の税額と大きく異なることがあります。
CIF価格とは何か
輸入消費税の計算で最も重要なのがCIF価格です。
CIFとは、
Cost(商品代金)
Insurance(保険料)
Freight(運賃)
の頭文字です。
つまり、
商品代金
+保険料
+運賃
の合計額を意味します。
輸入消費税は、このCIF価格を基礎として計算されます。
輸入実務では頻繁に登場する用語なので覚えておく必要があります。
商品代金だけではない理由
なぜ運賃や保険料まで課税対象になるのでしょうか。
理由は、輸入品の実質的な取得コストを基準に課税するためです。
例えば同じ100万円の商品でも、
国内配送だけの商品
海外から航空便で輸送した商品
では、実際に日本国内へ持ち込むためのコストが異なります。
そのため税法では商品代金だけでなく、日本到着までに要した費用も含めて課税標準を計算しています。
これは関税制度とも共通する考え方です。
関税も課税標準に加算される
輸入消費税の計算では、さらに関税も考慮されます。
輸入消費税の課税標準は、
CIF価格
+関税
+個別消費税
です。
つまり関税が高い商品ほど、輸入消費税も増えることになります。
関税に対してさらに消費税が課税される構造になっているためです。
初めて輸入する人が驚くポイントの一つでもあります。
無償でも課税されることがある
輸入取引には国内取引との大きな違いがあります。
それは無償であっても課税される場合があることです。
国内取引では無償譲渡であれば、通常は対価がないため課税関係が問題になりにくいケースがあります。
しかし輸入取引では貨物そのものが課税対象です。
そのため海外から無償で送られた商品であっても、一定の評価額を基準に輸入消費税が課税されることがあります。
「無料でも税金がかかる」
という点は輸入実務の特徴の一つです。
海外のサンプル品にも注意
実務でよくあるのがサンプル品の輸入です。
海外メーカーが日本企業へ試作品や見本品を無償提供するケースがあります。
代金は発生しません。
しかし税関では課税価格を算定し、輸入消費税を課税することがあります。
企業側は、
「無料だから税金も発生しない」
と思い込みがちですが、実際にはそうではありません。
輸入取引では取引価格だけで判断しないことが重要です。
越境ECでも同じ考え方
近年は海外通販の利用が急増しています。
個人が海外サイトで商品を購入する場合でも、基本的な考え方は同じです。
商品の価格だけでなく、
・送料
・保険料
などが輸入消費税の計算に影響します。
そのため注文画面の価格だけを見ていると、受取時に想定外の税負担が発生することがあります。
個人輸入でもCIF価格の考え方を知っておくことは重要です。
税理士が確認すべきポイント
輸入取引を行う顧問先では、請求書の金額だけを確認していては不十分です。
税理士は、
・輸入許可書
・関税額
・運賃
・保険料
なども確認する必要があります。
なぜなら輸入消費税の計算根拠は国内取引とは異なるからです。
特に国際取引が多い企業では、輸入消費税の計算構造を理解しているかどうかで申告の精度が変わります。
結論
輸入消費税は商品代金だけを基準に計算されるわけではありません。
商品代金に加えて運賃や保険料を含めたCIF価格を基礎とし、さらに関税などを加算して課税標準が計算されます。
そのため国内取引の感覚だけで考えると税額を誤ることがあります。
また、無償で輸入した貨物であっても課税される場合があるため注意が必要です。
輸入消費税を正しく理解する第一歩は、「商品価格だけでは課税標準にならない」という点を理解することなのです。
次回は、「無償で輸入した商品にも消費税が課税されるのか 課税標準編」をテーマに解説します。
参考
税法実務講座(消費税)「国際取引に係る消費税の取扱い④ 輸入取引」
近畿税理士会