人生で最も大切な資産は何でしょうか。
多くの人は預貯金や株式、不動産などの金融資産を思い浮かべるかもしれません。
確かにお金は重要です。生活を支え、選択肢を広げ、老後の安心にもつながります。
しかし人生100年時代と呼ばれる現在、本当に重要な資産の意味が変わり始めています。
平均寿命は大きく延び、60歳で定年を迎えたとしても、その後に30年以上の人生が続くことも珍しくありません。
長い人生を豊かに生きるためには、お金だけでは足りないことが少しずつ明らかになってきました。
今回は、人生100年時代における最大の資産とは何かについて考えてみます。
資産とは本来何を意味するのか
会計の世界では、資産とは将来の利益を生み出すものを指します。
現金
預金
株式
不動産
これらは典型的な資産です。
しかし人生に置き換えると、将来の幸福や充実した生活を生み出すものも資産と考えることができます。
例えば、
健康
知識
経験
人脈
信用
生きがい
も人生に利益をもたらします。
人生100年時代では、こうした無形資産の重要性が高まっているのです。
金融資産だけでは幸せになれない
老後資金の準備は重要です。
年金だけでは不安だからと、多くの人が資産形成に取り組んでいます。
しかし金融資産が十分にあれば必ず幸せになれるわけではありません。
現実には、
健康を失う人
孤独を抱える人
生きがいを見失う人
社会とのつながりを失う人
も少なくありません。
お金は問題解決の手段にはなりますが、人生そのものを豊かにする万能薬ではありません。
人生後半になるほど、その事実を実感する人が増えていきます。
健康資産が全ての土台になる
どれほどお金があっても、健康を失えば人生の選択肢は大きく制限されます。
旅行
仕事
趣味
学習
家族との時間
これらは健康があってこそ楽しめます。
人生100年時代では寿命よりも健康寿命が重要になります。
健康は失って初めて価値に気づく資産です。
だからこそ、運動や睡眠、食生活への投資は人生最大の投資の一つと言えるでしょう。
人的資産は生涯価値を生み出す
人的資産とは、知識や能力、経験など個人の価値そのものです。
かつては学校を卒業した時点で学びを終える人も少なくありませんでした。
しかし現在は違います。
技術革新が進み、社会の変化も速くなっています。
学び続ける人と学ばない人では、大きな差が生まれます。
人生100年時代では、
資格
知識
経験
専門性
問題解決能力
が長期間にわたって価値を生み続けます。
人的資産は年齢とともに増やせる数少ない資産なのです。
信用資産はお金では買えない
現代社会では信用の価値がますます高まっています。
どれほど能力があっても、信頼されなければ仕事は集まりません。
反対に、信用のある人には人や情報や機会が集まります。
信用は一朝一夕には築けません。
長年の誠実な行動や積み重ねによって形成されます。
そして信用は退職後も失われません。
人生後半戦で特に重要になる資産の一つです。
社会関係資産が人生を支える
人は一人では生きていけません。
家族
友人
地域社会
仕事仲間
趣味の仲間
こうした人とのつながりは人生の幸福度に大きく影響します。
世界的な幸福度研究でも、人間関係が幸福の重要な要素であることが示されています。
人生後半では、お金よりも誰と時間を過ごすかが重要になる場面も増えてきます。
社会関係資産は人生を豊かにする見えない財産なのです。
生きがい資産が人生を前向きにする
人生100年時代では、長い老後をどのように過ごすかが大きな課題になります。
その時に必要なのが生きがいです。
仕事
趣味
学習
社会貢献
地域活動
家族との時間
人それぞれ形は異なります。
しかし何かに夢中になれるものを持つ人は、年齢を重ねても活力を失いにくいと言われています。
生きがいはお金では購入できません。
人生の中で育てていく資産です。
自分自身こそが最大の資産
金融資産、健康資産、人的資産、信用資産、社会関係資産、生きがい資産。
これらを一つひとつ見ていくと、共通点があります。
それは全て自分自身の中に存在するということです。
株価は下落することがあります。
不動産価格も変動します。
制度や社会環境も変わります。
しかし健康を維持し、学び続け、人との信頼関係を築き、生きがいを持つことは、自分自身で育てることができます。
人生100年時代において、本当に長く価値を生み出し続けるのは自分自身なのです。
結論
人生100年時代では、資産形成の意味そのものが変わりつつあります。
もちろん金融資産は重要です。
しかし長い人生を支えるのは、お金だけではありません。
健康資産
人的資産
信用資産
社会関係資産
生きがい資産
これらの無形資産が人生の満足度を大きく左右します。
そして、それらを生み出す源泉は自分自身です。
人生100年時代における最大の資産とは、預金残高や保有資産ではありません。
学び続け、成長し続け、人とつながり続ける「自分自身」こそが、最も価値のある総合資産なのではないでしょうか。
参考
内閣府 高齢社会白書
厚生労働省 健康日本21関連資料
リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』
ロバート・ウォールディンガー
ハーバード成人発達研究関連資料
ダニエル・カーネマン
『ファスト&スロー』