税金をクレジットカードで支払える時代になりました。
所得税や消費税、自動車税、固定資産税など、多くの税金がインターネットを利用したクレジットカード納付に対応しています。
そのため、「ポイントが貯まるならクレジットカード納付の方が得ではないか」と考える人も少なくありません。
しかし、税金のクレジットカード納付には決済手数料が発生します。
ポイント還元と手数料負担を比較しなければ、本当に得なのかは判断できません。
今回は、クレジットカード納付の仕組みとコストを整理し、本当に得になるケースについて考えてみます。
クレジットカード納付とは何か
クレジットカード納付とは、インターネット上の納付サイトを利用して税金をカード決済する方法です。
税務署や金融機関へ行く必要がなく、24時間いつでも手続できることが特徴です。
納付できる主な税目には次のようなものがあります。
・所得税
・法人税
・消費税
・相続税
・贈与税
・固定資産税
・自動車税
など
近年はキャッシュレス納税の普及により利用者が増加しています。
クレジットカード納付の最大の特徴
最大の特徴は、実際の引落し日を先送りできることです。
税金は納付日に納税した扱いになりますが、カード利用代金の引落しは翌月や翌々月になる場合があります。
つまり、手元資金を一定期間維持しながら納税できることになります。
資金繰りの観点ではメリットといえるでしょう。
決済手数料がかかる
クレジットカード納付で注意したいのは決済手数料です。
一般的な買い物では加盟店がカード会社へ手数料を支払います。
しかし税金の場合は、納税者自身が決済手数料を負担します。
例えば10万円の納税で数百円程度の手数料が発生します。
税額が大きくなるほど手数料も増加します。
このため、単純にポイントが付くから得とは言い切れません。
ポイント還元率との比較が重要
本当に得かどうかは、
「ポイント還元額」
と
「決済手数料」
の比較で決まります。
例えば10万円の納税を考えてみます。
還元率1%のカードなら1,000円相当のポイントが付与されます。
一方で決済手数料が500円だった場合、
1,000円-500円=500円
となり、実質的には得になります。
しかし還元率が0.5%の場合は、
500円-500円=0円
となります。
さらに還元率が低ければ損になる可能性もあります。
つまり、利用するカードによって結果は変わるのです。
高額納税ほど有利とは限らない
税額が大きくなるほどポイントも増えます。
しかし同時に決済手数料も増加します。
また近年はカード会社によるポイント還元率の引下げや、税金支払い分をポイント対象外とするケースも見られます。
以前は大きなメリットがあった方法でも、現在では状況が変化している可能性があります。
利用前には必ずカード会社の条件を確認する必要があります。
ダイレクト納付との比較
近年利用が増えているダイレクト納付との比較も重要です。
ダイレクト納付には決済手数料がありません。
またe-Taxからそのまま納付できるため、事務効率も高い方法です。
一方でポイント還元はありません。
つまり、
・ポイントを重視するならクレジットカード納付
・コストを重視するならダイレクト納付
という考え方ができます。
法人や高額納税者の場合は、手数料負担を考慮するとダイレクト納付の方が有利になるケースが多いでしょう。
振替納税との比較
振替納税は指定口座から自動引落しされる制度です。
こちらも手数料は発生しません。
さらに所得税や個人事業者の消費税では、法定納期限より後の日に引き落とされることが多く、資金繰り上のメリットがあります。
そのため個人事業者の場合、
・ポイント重視ならクレジットカード納付
・手数料ゼロと資金繰り重視なら振替納税
という選択になります。
クレジットカード納付が向いている人
クレジットカード納付が向いているのは次のような人です。
・高還元率カードを保有している
・マイルを貯めている
・資金繰り上、支払時期を後ろへずらしたい
・金融機関へ行く時間を削減したい
一方で、手数料負担を最小化したい人には向いていない場合があります。
経理担当者が考えるべき視点
企業の経理担当者は、単純なポイント獲得だけで判断してはいけません。
重要なのは会社全体のコストです。
例えば100万円の納税で数千円の手数料を支払う場合、そのポイント価値を上回るメリットがあるのかを検討する必要があります。
また、税務調査や監査の観点からも、納税手続の標準化や内部統制を重視する企業ではダイレクト納付が選択されることが少なくありません。
個人の家計管理と法人の経理実務では、判断基準が異なることを理解しておく必要があります。
結論
クレジットカード納付は便利な制度ですが、「ポイントが付くから必ず得」というわけではありません。
実際には決済手数料が発生するため、ポイント還元額との比較が重要になります。
高還元率カードを利用している個人にとってはメリットがある場合もありますが、法人や高額納税者では手数料負担の方が大きくなるケースもあります。
また、ダイレクト納付や振替納税には手数料がかからないという大きな利点があります。
納税方法を選ぶ際には、ポイントだけでなく、手数料、資金繰り、事務効率といった総合的な視点で判断することが大切です。
参考
・国税庁「クレジットカード納付の概要」
・国税庁「ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)の概要」
・国税庁「振替納税の利用案内」
・地方税共同機構「地方税お支払サイトの利用案内」