税理士は何歳まで働くべきなのか―人生後半戦の働き方を考える

FP
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税理士という職業には定年がありません。

会社員であれば60歳や65歳で定年を迎えますが、税理士は本人が望む限り仕事を続けることができます。

実際に70代、80代になっても現役で活躍する税理士は珍しくありません。

しかし、働けることと働くべきことは別問題です。

人生100年時代と言われる現在、税理士は何歳まで働くべきなのでしょうか。

今回は、人生後半戦における税理士の働き方について考えてみたいと思います。

税理士には「定年」がない

税理士業務の最大の特徴の一つは、年齢による引退ラインが存在しないことです。

体力が求められる仕事であれば高齢になるほど継続が難しくなります。

一方、税理士業務は知識や経験、判断力が価値を生む仕事です。

むしろ長年の実務経験が信頼につながる場面も少なくありません。

企業経営者から見れば、

  • 税務知識が豊富
  • 経営経験がある
  • 人生経験が豊富

というベテラン税理士には大きな安心感があります。

年齢が強みになる数少ない職業の一つと言えるでしょう。

人生100年時代の「引退」は難しくなる

かつては、

  • 60歳で定年
  • 65歳から年金生活

という人生設計が一般的でした。

しかし現在は平均寿命が延びています。

65歳で引退した場合、その後30年近く生活する可能性があります。

さらに物価上昇が続く時代では、老後資金の不確実性も高まります。

年金だけで十分な生活水準を維持できるとは限りません。

その意味では、

「いつ引退するか」

ではなく、

「いつまで収入を得られるか」

が重要になっています。

税理士は長く働ける資格だからこそ、その価値が改めて見直されているのです。

70歳までは「積極的に働く時期」

現在の社会保障制度を見ると、70歳前後までは働くメリットが大きいと言えます。

65歳以降も厚生年金に加入すれば、老齢厚生年金を増やすことができます。

在職定時改定によって年金額は毎年見直されます。

また在職老齢年金制度も緩和され、働きながら年金を受け取りやすくなっています。

健康状態に問題がなければ、

  • 顧問業務
  • 相続相談
  • セミナー講師
  • 執筆活動

などを組み合わせながら活動を続ける選択肢があります。

税理士として最も経験が充実している時期とも言えるでしょう。

75歳以降は「選んで働く時期」

一方で、75歳を超えると考え方は変わってきます。

体力や集中力には個人差がありますが、多くの場合は何らかの変化が現れます。

そのため、

  • 顧問先数を絞る
  • 得意分野に特化する
  • オンライン中心にする
  • 相談業務中心へ移行する

といった工夫が必要になるでしょう。

若い頃と同じ働き方を続けるのではなく、自分の体力や生活スタイルに合わせて仕事を再設計することが重要です。

「何件担当するか」ではなく、

「どのような仕事をするか」

へ重点が移っていきます。

AIは税理士の寿命を延ばすか

近年は生成AIの急速な進歩が話題になっています。

一部では「税理士は不要になる」といった極端な意見も見られます。

しかし現実には、AIは税理士を代替するというより補助する存在になりつつあります。

例えば、

  • 情報収集
  • 文書作成
  • 資料整理
  • データ分析

などの作業は大幅に効率化できます。

これまで何時間もかかっていた作業を短時間で処理できるようになれば、高齢になっても仕事を続けやすくなります。

AIは税理士の仕事を奪うだけでなく、税理士の職業寿命を延ばす可能性もあるのです。

税理士が本当に失うもの

税理士が引退を考える理由は年齢だけではありません。

実際には、

  • 健康を失う
  • 顧客との接点を失う
  • 学び続ける意欲を失う

ことの方が大きな問題です。

税法は毎年改正されます。

社会保障制度も変化します。

経営環境も大きく変わります。

学び続ける意欲がある限り、税理士としての価値は維持できます。

反対に、年齢が若くても学ぶことをやめれば市場価値は低下します。

税理士にとって本当の定年は年齢ではなく、学びをやめた時なのかもしれません。

人生後半戦の税理士に求められるもの

若い税理士は知識や行動力で勝負します。

一方で人生後半戦の税理士に求められるのは別の価値です。

それは、

  • 経験
  • 判断力
  • 人間理解
  • 傾聴力

です。

顧問先の悩みは税金だけではありません。

事業承継や相続、老後資金、家族問題など、多様な相談が寄せられます。

長年の人生経験を持つ税理士だからこそ提供できる価値があります。

人生後半戦は、知識だけでなく人生経験そのものが商品になる時代と言えるでしょう。

結論

税理士は何歳まで働くべきなのでしょうか。

その答えは一律ではありません。

しかし人生100年時代においては、

「何歳で引退するか」

ではなく、

「何歳まで社会との接点を持ち続けるか」

が重要になっています。

税理士という資格は、長く働き続けることができる数少ない専門職です。

健康を維持し、学び続ける意欲がある限り、70代でも80代でも社会に価値を提供することができます。

税理士にとって理想の引退とは、ある日突然仕事をやめることではなく、自分らしい形で働き方を少しずつ変化させながら人生を全うすることなのかもしれません。

参考

・日本税理士会連合会「税理士制度の概要」

・厚生労働省「高年齢者雇用対策」

・日本年金機構「在職定時改定制度」

・内閣府「令和版高齢社会白書」

・総務省統計局「高齢者の就業状況」

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