65歳以降も厚生年金に加入するメリットとは何か―年金増額時代の新しい働き方

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65歳になると年金受給が始まり、「もう厚生年金保険料を払う意味はないのではないか」と考える人も少なくありません。

しかし実際には、65歳以降も会社員や役員として働き、厚生年金に加入し続けることで将来受け取る年金額を増やすことができます。

さらに近年は制度改正によって、働きながら年金を受け取りやすい環境も整いつつあります。

人生100年時代と言われる現在、65歳以降の働き方は老後資金計画に大きな影響を与えるテーマになっています。

今回は、65歳以降も厚生年金に加入するメリットについて整理してみたいと思います。

65歳以降も厚生年金に加入できる

意外に知られていませんが、老齢厚生年金を受給しながらでも、70歳までは厚生年金に加入することができます。

会社員として働き続ける場合や、一定の条件を満たす法人役員として勤務する場合には、65歳以降も厚生年金保険料を納めることになります。

そして、この加入期間は無駄にはなりません。

納めた保険料に応じて、将来受け取る老齢厚生年金が増額される仕組みになっています。

年金が毎年増える「在職定時改定」

2022年から導入された「在職定時改定」は、65歳以降に働く人にとって大きな制度変更でした。

以前は、65歳以降に厚生年金へ加入しても、

  • 退職した時
  • 70歳になった時

まで年金額に反映されませんでした。

しかし現在は、65歳以上70歳未満で厚生年金に加入している場合、毎年1回、年金額が見直されます。

前年9月から当年8月までの加入実績が反映され、毎年10月分の年金から増額される仕組みです。

つまり、65歳以降も働けば働くほど、年金が少しずつ積み上がっていくのです。

70歳まで働けば年金はどれくらい増えるのか

増加額は給与水準や加入期間によって異なります。

例えば、

  • 65歳から70歳まで勤務
  • 厚生年金に継続加入
  • 一定の給与水準を維持

した場合には、老齢厚生年金が生涯にわたって増額されます。

年金は終身給付です。

仮に月5,000円増えた場合でも、

  • 年間6万円
  • 20年間で120万円
  • 30年間で180万円

となります。

長寿化が進む現在では、この差は決して小さくありません。

65歳以降の厚生年金加入は、いわば「老後の終身収入を増やす投資」とも言えます。

「働くと年金が減る」は本当なのか

高齢者就労の話になると、必ず出てくるのが在職老齢年金制度です。

これは給与と年金の合計額が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部が減額される仕組みです。

そのため、

「働くと年金が減る」

というイメージを持つ人もいます。

しかし実際には、

  • 給与収入が増える
  • 将来の年金も増える

ため、総収入で考えるとプラスになるケースが大半です。

さらに制度改正によって状況は大きく変わりました。

2026年改正で働きやすくなった

2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額は月51万円から65万円へ引き上げられました。

従来は、

  • 給与
  • 賞与の月割額
  • 老齢厚生年金

の合計が51万円を超えると年金が減額されていました。

現在は65万円まで引き上げられたため、多くの高齢者が年金を減らされずに働けるようになりました。

政府自身が「高齢者の働き控えを防ぐ」という方向へ制度設計を変え始めていることが分かります。

税理士・FPなど専門職との相性は良い

65歳以降も厚生年金に加入するメリットは、専門職ほど大きい面があります。

税理士や社会保険労務士、行政書士、FPなどは比較的長く働くことが可能です。

特に勤務先に残るケースや、法人化した事務所で役員報酬を受けるケースでは、厚生年金加入を継続できる可能性があります。

単に目先の保険料負担だけを見るのではなく、

  • 将来の終身年金の増額
  • 長寿リスクへの備え
  • インフレ時代の安定収入確保

という視点で考えることが重要です。

「早く辞める方が得」とは限らない

近年はFIREや早期リタイアへの関心も高まっています。

しかし人生100年時代においては、

  • 働かない期間が長くなる
  • インフレが続く
  • 医療・介護費が増える

というリスクもあります。

そのため、

「何歳で辞めるか」

だけではなく、

「何歳まで社会保険に加入しながら働くか」

も重要な判断材料になります。

老後資金の不足を金融資産だけで補うのではなく、公的年金そのものを増やすという発想も必要になってきています。

結論

65歳以降も厚生年金に加入する最大のメリットは、老齢厚生年金を生涯にわたって増やせることです。

さらに在職定時改定によって毎年年金額が反映される仕組みが整い、2026年の制度改正で在職老齢年金による減額も大幅に緩和されました。

これからの時代は、

「65歳で年金を受け取るか」

だけではなく、

「65歳以降もどのように働き、年金を増やしていくか」

が老後設計の重要なテーマになるでしょう。

人生100年時代では、働くこと自体が老後資産形成の一部になりつつあるのかもしれません。

参考

・日本年金機構「60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか」

・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

・厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」

・政府広報オンライン「在職老齢年金制度の基準額が2026年4月から引上げに」

・日本経済新聞 2026年5月30日朝刊「高齢者の求職最多 4月3.9%増、12.8万件」

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