行政DXは相続手続をどう変えるのか ― 戸籍・不動産・登記制度のこれから

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日本では近年、行政手続のデジタル化が大きな政策課題となっています。政府は行政DX(デジタルトランスフォーメーション)を掲げ、紙中心の行政手続を見直し、オンラインで完結できる仕組みの整備を進めています。

これまでのシリーズでは、電子戸籍、所有不動産記録証明制度、相続登記義務化、そして行政DXとマイナポータルについて整理してきました。これらは一見すると別々の制度に見えますが、共通する目的があります。

それは、行政情報を正確に管理し、行政手続を効率化することです。

本稿では、これまで取り上げてきた制度を整理しながら、行政DXが相続手続や不動産制度にどのような変化をもたらすのかを考えます。


相続制度と行政手続

相続が発生すると、さまざまな行政手続が必要になります。

代表的なものとして、次のような手続があります。

・戸籍の取得
・相続人の確定
・不動産の相続登記
・税務申告

これらの手続では、複数の行政機関の情報が必要になります。戸籍は市区町村、不動産登記は法務局、税務は税務署というように、手続の窓口が分かれているためです。

その結果、相続人は多くの証明書を取得し、各機関へ提出する必要がありました。

こうした構造が、相続手続の負担を大きくしている要因の一つといえます。


電子戸籍と相続手続

電子戸籍の仕組みは、このような手続の負担を軽減する可能性があります。

従来、相続手続では被相続人の戸籍を出生までさかのぼって取得する必要がありました。複数の自治体から戸籍を取り寄せることもあり、手続には時間と労力がかかる場合があります。

電子戸籍が利用できる行政手続では、紙の戸籍証明書に代えて電子戸籍パスという番号を使用することができます。行政機関が電子的に戸籍情報を確認できるようになれば、証明書の取得や提出の負担が軽減される可能性があります。

このような仕組みは、相続手続の効率化につながることが期待されています。


不動産制度の改革

相続と密接に関係する制度として、不動産制度の改革も進められています。

その代表的な制度が相続登記義務化です。2024年から、不動産を相続した場合には一定期間内に登記を行うことが求められるようになりました。

この制度の背景には、所有者不明土地問題があります。相続登記が行われないまま土地が放置されると、登記簿の情報と実際の所有者が一致しなくなることがあります。

また、所有不動産記録証明制度も導入されました。この制度では、特定の個人が所有している不動産を一覧として確認することができます。

こうした制度改革は、不動産情報を正確に管理することを目的としています。


行政DXによる情報連携

行政DXの重要な要素が行政情報の連携です。

従来の行政手続では、行政機関ごとに情報管理が行われていました。そのため、同じ情報を複数の行政機関へ提出する必要がありました。

行政情報の連携が進めば、行政機関同士が電子的に情報を確認できるようになります。

例えば、次のような情報の連携が想定されています。

・戸籍情報
・住民情報
・不動産情報
・税情報

これらの情報が連携することで、国民が証明書を取得して提出する負担が減る可能性があります。


制度改革の方向性

電子戸籍、相続登記義務化、所有不動産記録証明制度、マイナポータルといった制度は、それぞれ個別の制度ですが、共通する方向性があります。

それは、行政情報を正確に管理し、行政手続を効率化することです。

これまでの行政制度では、紙の証明書を取得して提出することが手続の基本でした。しかし行政DXの進展により、行政機関同士が電子的に情報を確認する仕組みが整備されつつあります。

この変化は、行政手続のあり方を大きく変える可能性があります。


結論

行政DXは、日本の行政制度に大きな変化をもたらす取り組みです。電子戸籍、不動産制度の改革、マイナポータルなどの制度は、その具体的な取り組みとして位置づけられます。

これらの制度は相続手続とも深く関係しています。戸籍情報や不動産情報が電子的に連携することで、相続手続の効率化が進む可能性があります。

もっとも、制度の整備だけで行政DXが実現するわけではありません。行政機関のシステム整備や国民の利用環境の整備も重要になります。

行政DXは、日本の行政制度の将来を左右する重要なテーマです。今後の制度運用の動向が注目されます。


参考

税のしるべ
所有不動産記録証明制度は電子戸籍の利用可
2026年3月2日

法務省
行政手続における電子戸籍の利用に関する資料

デジタル庁
マイナポータルに関する資料

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