ChatGPT、Claude、Canva、Adobe、Dropbox、Google Workspace。
現在、多くの企業が海外企業のソフトウェアやクラウドサービスを利用しています。
特に生成AIの普及によって、海外サービスを契約することは珍しいことではなくなりました。
月額3,000円や5,000円程度の利用料であれば、それほど気にせず経費処理している経営者も多いでしょう。
しかし、税務調査ではこうした海外サービスの利用料が確認されることがあります。
もちろん、利用しただけで問題になるわけではありません。
重要なのは適切に管理され、正しく経理処理されているかどうかです。
AI時代だからこそ、海外サービス利用料の税務リスクを理解しておく必要があります。
税務調査官はどこを見ているのか
税務調査というと売上除外や架空経費ばかりをイメージしがちです。
しかし実際には契約内容や支払先も確認されます。
特に近年はクレジットカード明細の確認が重要になっています。
例えば、
OpenAI
Anthropic
Meta
Adobe
Microsoft
などの名称が明細に記載されていれば、調査官はその内容を確認する可能性があります。
海外への支払いだから問題というわけではありません。
何に対する支払いなのかを確認するのです。
AI利用料は新しい経費科目になっている
10年前には存在しなかった経費が今では増えています。
生成AI利用料もその一つです。
ChatGPT Plus
ChatGPT Team
Claude Pro
Claude Max
Copilot
Gemini Advanced
など、多くのサービスが月額課金方式を採用しています。
税務調査官にとっても比較的新しい分野です。
そのため、企業側が内容を説明できる状態にしておくことが重要です。
「何のために利用しているのか」
「業務との関係は何か」
を明確にしておけば問題はありません。
個人利用との区分が重要になる
最も注意したいのは個人利用との区分です。
例えば、
業務用ChatGPT
業務用Canva
業務用Adobe
であれば経費になります。
しかし、
家族旅行の画像作成
趣味の動画編集
私的利用のAIサービス
などが含まれる場合は話が変わります。
特に経営者個人のクレジットカードで決済しているケースでは、業務利用と私的利用の区分が曖昧になりやすくなります。
税務調査では金額の大小よりも説明できるかどうかが重要です。
契約主体の確認が必要になる
中小企業では役員個人名義で契約しているケースが少なくありません。
しかし、
法人契約なのか
個人契約なのか
支払者は誰なのか
利用者は誰なのか
が一致していないと後々問題になることがあります。
特にAIサービスは導入が簡単なため、現場担当者が独自に契約しているケースもあります。
DXが進むほど管理の重要性は高まります。
海外サービス利用料は今後さらに増える
AIの進化はまだ始まったばかりです。
文章作成だけでなく、
動画生成
音声生成
画像生成
プログラム開発
市場分析
経営分析
などへ利用範囲が広がっています。
その結果、企業が支払う海外サービス利用料も増加しています。
今後は企業のソフトウェア予算のかなりの部分を海外クラウドサービスが占める可能性があります。
税務調査でも自然と確認対象になっていくでしょう。
税理士事務所自身も利用者である
税理士事務所も例外ではありません。
電子帳簿保存法対応
オンライン会議
ホームページ運営
動画配信
生成AI活用
など、業務の多くがクラウド化しています。
特にAI活用が進むほど、海外サービスとの関わりは深くなります。
つまり税理士は顧問先へ助言する立場であると同時に、自らも利用者なのです。
だからこそ実体験を持って説明できる税理士が強くなります。
管理できる会社と管理できない会社の差
同じようにAIを利用していても、会社によって管理レベルは大きく異なります。
優秀な企業は、
契約一覧がある
利用目的が明確
担当者が決まっている
経理処理が統一されている
という状態になっています。
一方で問題が起きやすい企業は、
誰が契約したか分からない
利用目的が不明
カード決済が乱立
経理処理がバラバラ
という状況です。
税務調査で差が出るのは利用の有無ではなく管理の質なのです。
人生100年時代の経営者に必要な能力
人生100年時代では学び続ける経営者が強くなります。
AIを活用する能力も重要です。
しかし、それ以上に重要なのは管理する能力です。
便利なツールを導入するだけでは経営力にはなりません。
契約内容を理解し、
コストを把握し、
税務処理を管理する。
この積み重ねが企業の競争力になります。
DXとはIT化ではなく管理の高度化なのです。
結論
海外ソフトや生成AIサービスを利用したからといって税務調査で問題になるわけではありません。
問題になるのは利用実態が不明確であったり、経理処理が適切でなかったりする場合です。
AI時代には海外サービス利用が当たり前になります。
だからこそ経営者や税理士には、利用する力だけでなく管理する力が求められます。
今後の税務調査では、海外クラウドサービスや生成AI利用料の確認がますます一般的になるでしょう。
その時に慌てないためにも、日頃から契約内容と経理処理を整理しておくことが重要なのです。
参考
近畿税理士会
税法実務講座(消費税)
「国際取引に係る消費税の取扱い⑤ 国境を越えた役務の提供」
国税庁
「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」
国税庁
「消費税のあらまし」