国家公務員の働き方に変化が生まれています。
令和8年4月から、一般職の国家公務員について自営兼業の規制が一部緩和されることになりました。これに伴い、国税庁は国家公務員が自営兼業を開始する場合の税務手続について案内を公表しています。
これまで国家公務員は、営利企業への従事や自営業を原則として禁止されていました。しかし、社会の副業・兼業の広がりや多様な働き方への対応を背景に、制度は徐々に見直されつつあります。
本稿では、今回の制度緩和の概要と、国家公務員が自営兼業を行う場合の税務上の手続について整理します。
国家公務員の兼業規制の仕組み
国家公務員は、国家公務員法により営利企業への従事や兼業が制限されています。これは、公務の中立性や職務専念義務を確保するための制度です。
国家公務員法では主に次の3つの制限があります。
・営利企業の役員となることの禁止
・営利企業の従業員として働くことの制限
・自営業などの営利活動の制限
ただし、完全な禁止ではなく、一定の場合には所属機関の承認により兼業が認められる仕組みとなっています。今回の制度改正は、この承認制度の運用を見直し、自営兼業を一定範囲で認めやすくするものと位置付けられています。
令和8年4月からの自営兼業緩和
令和8年4月からは、一般職の国家公務員について自営兼業の規制が一部緩和されます。
具体的には、自営活動について所属機関の審査を経て承認または許可が与えられれば、一定の範囲で事業活動を行うことが可能になります。
自営兼業を開始する場合の基本的な流れは次のとおりです。
1 所属する組織の人事担当部局へ申請
2 審査を経て承認または許可
3 事業開始後、税務署への届出
4 確定申告による所得申告
つまり、兼業の可否はまず公務員制度の枠組みで判断され、その後に税務手続が行われることになります。
自営兼業開始時の税務手続
国税庁は今回、「自営兼業を開始される国家公務員の方へ」という案内を公表し、税務手続の注意点を示しています。
自営兼業を始めた場合、まず必要になるのが開業届の提出です。
個人事業として事業を開始した場合には、税務署へ「個人事業の開業届出書」を提出します。提出先は納税地を所轄する税務署です。
開業届は紙で提出することもできますが、国税庁はe-Taxソフトを利用した作成・提出を推奨しています。
この届出により、税務署は個人事業の開始を把握することになります。
副業所得と確定申告
自営兼業で得た所得については、確定申告が必要になります。
国家公務員の給与は給与所得ですが、自営兼業による収入は事業所得や雑所得として扱われることになります。
確定申告では、次のようなすべての所得を合算して申告します。
・国家公務員としての給与所得
・自営兼業による所得
・その他の所得
確定申告書は、原則として翌年の確定申告期限までに提出する必要があります。
給与所得がある公務員であっても、副業収入がある場合には確定申告が必要になる点には注意が必要です。
副業解禁と公務員制度の転換
今回の自営兼業緩和は、単なる副業容認という意味だけではありません。
近年、民間企業では副業や兼業を認める動きが広がり、働き方の多様化が進んでいます。行政組織においても、専門性の活用や人材流動性の確保などの観点から、従来の兼業規制の見直しが議論されてきました。
公務員が自営活動を行うことにより、
・専門知識の社会還元
・地域活動への参加
・人材の多様なキャリア形成
といった効果が期待されるとされています。
もっとも、公務の公平性や利益相反の問題など、慎重な運用が求められる点も少なくありません。
結論
令和8年4月から、一般職の国家公務員の自営兼業が一部緩和されます。
自営兼業を開始する場合には、所属機関の承認を受けるとともに、税務署への開業届の提出や確定申告などの税務手続が必要になります。
副業や兼業が社会全体で広がる中で、公務員制度も徐々に変化しています。今回の制度見直しは、公務員の働き方と税務の関係を考えるうえで重要な動きといえるでしょう。
参考
税のしるべ 2026年3月9日
国税庁 自営兼業を開始される国家公務員の方へ

