防衛増税が始まる――法人税・たばこ税・所得税はどう変わるのか

政策
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日本の防衛費は近年、大きく増加しています。政府は2022年末、防衛力強化の財源を確保するための税制措置を決定しました。これがいわゆる「防衛増税」です。

その第一段階として、2026年4月からたばこ税と法人税の増税が始まります。さらに2027年からは所得税にも新たな課税が導入される予定です。

表面的には個別の税制改正に見えますが、今回の措置は日本の財政・安全保障政策の転換とも関係しています。本稿では、防衛増税の仕組みと具体的な影響を整理します。


防衛増税の全体像

防衛増税は次の3つの税を対象としています。

  • たばこ税
  • 法人税
  • 所得税

政府はこれら3税の見直しによって、年間およそ1兆円規模の財源を確保する計画です。

安全保障環境の変化を背景として、防衛費は大幅に拡大しています。政府は防衛費をGDP比2%水準まで引き上げる方針を示しており、その財源の一部を税制で確保する必要が生じました。

今回の税制改正による税収増は、平年度ベースでおよそ1兆3000億円と見込まれています。


たばこ税――まずは加熱式たばこから引き上げ

最初に実施されるのが、たばこ税の見直しです。

2026年4月から、加熱式たばこの税負担が引き上げられます。これまで加熱式たばこは、紙巻きたばこに比べて税負担が低く設定されていました。実際には紙巻きたばこの7~9割程度の負担にとどまっていました。

今回の改正では、この差を縮小する方向で課税ルールが見直されます。

その結果、大手メーカーの銘柄では次のような値上げが行われます。

  • 一箱あたり20~50円程度の値上げ

加熱式たばこの値上げは2026年4月と10月の2段階で実施されます。

さらに2027年4月以降は、紙巻き・加熱式を問わず、たばこ税全体の引き上げが予定されています。1年おきに3回、たばこ1本あたり0.5円ずつ税額が引き上げられる計画です。

財務省の試算では、この一連の改正によりたばこ税収は平年度ベースで約2120億円増加すると見込まれています。


法人税――大企業を中心に4%の付加税

2026年4月からは法人税にも新たな措置が導入されます。

具体的には、各企業の法人税額に対して「防衛特別税」ともいえる付加税が課されます。

計算方法は次の通りです。

  • 法人税額から500万円を控除
  • 残りの金額に4%を上乗せ

この仕組みのため、利益が小さい企業や赤字企業には負担が生じません。実際には主に大企業が対象となる制度設計になっています。

政府はこの措置により、平年度ベースで約8690億円の税収増を見込んでいます。


所得税――2027年から新税を導入

所得税については、2027年1月から新たな課税が導入される予定です。

内容は比較的シンプルで、

  • 所得税額の1%を追加課税

するという仕組みです。

ただし同時に、現在課されている復興特別所得税の税率が引き下げられます。

復興特別所得税
2.1% → 1.1%

このため、単年度で見れば個人の負担は増えないとされています。

しかし、復興特別所得税の期限は10年間延長され、2047年まで課税されることになります。結果として、長期的には国民の負担は増えることになります。

この所得税改正による税収増は、平年度ベースで約2560億円と見込まれています。


防衛費拡大と税制の関係

今回の税制改正の背景にあるのは、防衛費の拡大です。

日本を取り巻く安全保障環境は近年大きく変化しています。政府は安全保障関連3文書の改定を進め、防衛力の強化を打ち出しています。

その結果、防衛費は今後さらに増加する可能性があります。

今回の防衛増税は、その財源確保の第一段階と位置付けられています。今後の安全保障政策の方向によっては、新たな財源措置が議論される可能性もあります。


結論

防衛増税は、次の3つの税を対象として段階的に実施されます。

  • 2026年:たばこ税・法人税
  • 2027年:所得税

税収増の規模は平年度ベースで約1兆3000億円と見込まれています。

表面的には個別の税制改正ですが、その背景には防衛費拡大という大きな政策転換があります。税制が安全保障政策の財源としてどのように使われるのかは、今後の財政運営を考えるうえでも重要なテーマといえるでしょう。


参考

日本経済新聞
防衛増税関連記事(2026年3月5日朝刊)

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