α世代がつくる「超スマート社会」と、私たちの距離感

人生100年時代
ブルー ベージュ ミニマル note ブログアイキャッチ - 1

少子高齢化が進む日本において、次の社会を担う世代として「α世代」に注目が集まっています。
α世代とは、おおむね2010年代以降に生まれ、物心ついた時からAIやスマートデバイスが身近に存在している世代を指します。

彼らは単なる「デジタルネイティブ」を超え、テクノロジーと自然に共存する存在です。
本稿では、若者研究を専門とする小々馬敦氏の見解を手がかりに、α世代の価値観と行動特性、そして超スマート社会との関係を整理します。そのうえで、年長世代である私たちがどのような距離感で向き合うべきかを考えます。


AIは「道具」ではなく、3番目の身近な存在

α世代の最大の特徴は、AIを「新しい技術」や「便利な道具」としてではなく、生活環境の一部として受け入れている点にあります。

上の世代が試行錯誤しながらAIを学習してきたのに対し、α世代は最初から一定の安全性や信頼性が担保された環境でAIと接してきました。そのため、AIに対する心理的な抵抗感が小さく、安心感を持って利用する傾向があります。

一方で、α世代にとって最も信頼できる存在がAIに置き換わるわけではありません。
「自分のことをよく知ってくれている人」、すなわち家族や友人が中心であり、AIはその次に位置づけられる存在です。人間関係の代替ではなく、補完的な存在としてAIを受け入れている点が特徴です。


SNSは「つながる場」ではなく「眺める場」

α世代はSNSの使い方においても、従来の常識とは異なる行動を取ります。

自ら発信するよりも、アカウントを持たずに投稿を閲覧する「見る専」が主流です。
SNSは自己表現や人脈形成の場ではなく、情報や空気感を把握するためのツールとして使われています。

また、コミュニティはリアルな関係から始まるという価値観を強く持っています。
リアルで遊んだ友人関係が、バーチャル空間へと自然に拡張されていく。このリアルとバーチャルを区別しない感覚は、Z世代との大きな違いの一つです。


「コスパ」「タイパ」から「コミュパ」へ

α世代の人間関係を語るうえで重要なのが、「コミュパ」という考え方です。
これはコミュニケーション・パフォーマンス、すなわち「心地よさ」や「効率」を重視した人付き合いを意味します。

多くの人と広く浅くつながるよりも、自分が安心できる相手とほどよくつながる。
無理な同調や過剰な関係維持を避け、心理的コストを抑える行動様式が見られます。

これは人間関係を軽視しているのではなく、むしろ関係の質を重視している結果と考えることができます。


消費に対する「価値が減る」という感覚

α世代はデフレ環境の中で育ってきました。
そのため、「消費」という言葉に対して、購入と同時に価値が減少するというイメージを持ちやすい傾向があります。

彼らが重視するのは、リセールバリューや価値の持続性です。
体験やスキル、長期的に価値が残るものには支出を惜しまない一方、価値がすぐに目減りするものへの支出には慎重です。

この傾向は、企業のマーケティング戦略だけでなく、資産形成や金融教育のあり方にも影響を与える可能性があります。


α世代がけん引する「ソサエティー5.0」

日本が掲げてきた超スマート社会「ソサエティー5.0」は、テクノロジーによって人間中心の社会を実現する構想です。
α世代は、この構想を机上の理念ではなく、生活感覚として体現する世代になると考えられます。

ネットリテラシーやデジタルスキルの高さを生かし、テクノロジーを前提とした社会設計を自然に受け入れていく。その姿は、これまでの世代が思い描いてきた未来像を、現実のものへと近づける存在といえます。


Z世代を「取り残さない」視点も不可欠

α世代への期待が高まる一方で、Z世代への視点も欠かせません。
Z世代はテクノロジーの進化過程に翻弄され、新型コロナウイルス禍という制約の中で成長してきました。

企業や社会がα世代だけに目を向けるのではなく、Z世代をどう支え、どう橋渡しするか。その視点を持つことが、世代間の分断を防ぐ鍵になります。


おわりに

α世代は、テクノロジーを疑う世代でも、盲信する世代でもありません。
人との関係を大切にしながら、AIやデジタルを自然に取り込む世代です。

私たち年長世代に求められるのは、「理解しようとする姿勢」と「過度に管理しない距離感」ではないでしょうか。
彼らの興味や意欲を尊重し、ポジティブに育てていくことが、結果として超スマート社会を現実のものにしていく。そのように感じます。


参考

・日本経済新聞「〈α-20億人の未来〉α世代、超スマート社会をけん引」
・産業能率大学 小々馬敦教授 インタビュー記事


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました