関連者間取引で税務調査官はどこを確認しているのか 税務調査実務編

税理士
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企業経営では、親会社と子会社、グループ会社、役員が関係する会社、親族が経営する会社などとの取引は珍しくありません。しかし、このような関連者間取引は税務調査において重点的に確認される項目の一つです。

その理由は、第三者同士の取引とは異なり、価格や契約条件を当事者同士で自由に決めやすいためです。不適切な利益移転や経費計上が行われていないかを確認するため、税務調査官は取引の背景や実態まで丁寧に検証します。

今回は、税務調査で実際にどのような点が確認されるのかを解説します。

最初に確認されるのは取引の必要性

税務調査では、まず「なぜその関連者と取引を行ったのか」という点が確認されます。

例えば、

・外部企業ではなくグループ会社を選んだ理由

・役員個人が所有する資産を会社が借りる理由

・親族会社へ業務委託した理由

などです。

経済合理性が説明できれば問題ありませんが、合理的な理由が曖昧な場合には、さらに詳しい確認が行われることがあります。

価格設定は妥当だったか

次に確認されるのが取引価格です。

税務調査官は、

「市場価格とかけ離れていないか」

という視点で確認します。

例えば、

・家賃が相場より著しく高い

・業務委託料が毎年大きく変動している

・利益率が特定会社だけ極端に低い

このようなケースでは、その価格を決定した根拠資料の提示が求められることがあります。

価格を決めた経緯を説明できる資料を日頃から保存しておくことが重要です。

実際に業務が行われていたか

契約書が存在していても、それだけでは十分ではありません。

税務調査では、

・業務報告書

・成果物

・メールのやり取り

・会議記録

・請求書

・納品書

などから、本当に業務が行われていたかを確認します。

特にコンサルティングや経営指導など形のないサービスは、実態を示す証拠が重要になります。

「契約はあるが何をしたのか分からない」という状況は避けなければなりません。

資金の流れにも注目される

税務調査では、お金の流れも重要な確認事項です。

例えば、

・請求どおりに支払いが行われているか

・現金での不自然な取引はないか

・支払日が極端に遅れていないか

・資金が別の会社へ戻っていないか

などを会計帳簿や銀行口座の記録と照らし合わせて確認します。

帳簿と実際の資金移動が一致していることは、取引の信頼性を高める重要な要素です。

契約内容と実態に違いはないか

契約書に書かれている内容と、実際の運用が一致しているかも確認されます。

例えば、

契約では毎月保守業務を行うことになっていても、実際には何も行われていなければ、契約内容と実態が一致していないことになります。

逆に、契約書には記載されていない業務を継続して行っている場合も、実態を適切に反映しているとはいえません。

契約締結後も、実際の業務内容に応じて契約内容を見直すことが望まれます。

説明資料をすぐ提示できるか

近年は、税務調査でも「資料管理」が重視されています。

必要な資料をすぐ提示できれば、調査は円滑に進みます。

一方で、

・契約書が見つからない

・担当者しか内容を知らない

・資料が複数部署に散在している

このような状況では、調査対応に時間がかかり、不必要な疑念を招くこともあります。

電子データを含めて、関連資料を整理・保存する体制づくりが重要です。

日頃の管理が最大の防御策になる

税務調査は、企業を困らせるためのものではありません。

適正な申告が行われているかを確認するための手続きです。

そのため、

・契約締結の経緯を残す

・価格決定の根拠を保存する

・業務実績を記録する

・証憑類を整理する

こうした日頃の積み重ねが、税務調査への最も効果的な備えになります。

関連者間取引が多い企業ほど、通常の経理処理だけではなく、「第三者に説明できる状態」を意識した管理体制を構築することが重要です。

結論

関連者間取引では、税務調査官は契約書だけを見るのではありません。

取引の必要性、価格の妥当性、業務の実態、資金の流れ、契約内容との整合性など、多角的な視点から総合的に確認します。

企業として大切なのは、「問題がない」と考えることではなく、「誰が見ても合理的で説明できる状態」を日頃から維持することです。

その積み重ねが税務リスクを軽減するだけでなく、企業経営の透明性や信頼性の向上にもつながります。

参考

税のしるべ 2026年7月6日号

関連者間取引の書類保存特例の事務運営指針を公表、記載内容の程度や実地調査時の対応、青色承認取消しの取扱いなど示す

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