日本社会は、これまで経験したことのない局面へ入り始めています。
それは、
「人口が減り続ける社会」
です。
高度成長期の日本は、
- 人口増加
- 税収増加
- 地域拡大
- インフラ拡張
を前提に設計されていました。
そのため、
- 銀行支店
- 学校
- 病院
- 商店街
- バス路線
などを全国へ広げることができました。
しかし現在は逆です。
人口減少・高齢化によって、
- 地域経済縮小
- 人手不足
- 財政悪化
- インフラ維持困難
が同時進行しています。
本シリーズでは、
- 地方銀行
- ATM撤退
- 金融DX
- 高齢者金融
- 移動ATM
- 地域金融の公共性
などを通じて、
「人口減少社会で地域を誰が支えるのか」
を考えてきました。
そこで見えてくるのは、
「従来型の役割分担が崩れ始めている」
という現実です。
「行政が支える社会」は維持できるのか
戦後日本では、
「公共サービスは行政が担う」
ことが基本でした。
しかし現在、地方自治体では、
- 人材不足
- 財政制約
- 高齢化対応
- インフラ老朽化
が深刻化しています。
特に地方では、
- 職員不足
- 技術者不足
- DX人材不足
が顕著です。
つまり行政自身が、
「すべてを維持する能力」
を失い始めているのです。
民間企業も“地域維持”を求められ始めた
その結果、近年は民間側へ、
「地域維持機能」
が求められ始めています。
例えば、
- 地方銀行
- 郵便局
- スーパー
- コンビニ
- 通信会社
などです。
本来は民間企業ですが、地方では、
- 生活インフラ
- 見守り
- 高齢者支援
まで期待されるようになっています。
つまり、
「利益を出す企業」
であると同時に、
「地域を支える主体」
として扱われ始めているのです。
地方銀行は“地域インフラ”へ変質している
特に地方銀行は象徴的です。
かつては、
- 預金
- 融資
- 決済
が中心でした。
しかし現在は、
- 事業承継
- 地域DX
- 人材支援
- 観光支援
- 地方創生
まで担い始めています。
つまり地方銀行は、
「金融機関」
から、
「地域経済支援プラットフォーム」
へ変わり始めているのです。
これは、行政機能の一部を補完しているとも言えます。
なぜ“公”と“民”の境界が曖昧になるのか
人口減少社会では、
「すべてを行政が担う」
ことが難しくなります。
一方で、民間も完全市場原理だけでは動きにくい。
例えば地方では、
- 赤字路線バス
- 不採算ATM
- 過疎地店舗
などを完全撤退すれば、地域生活そのものが成り立たなくなる場合があります。
つまり今後は、
「公共」
「民間」
を明確に分ける時代ではなくなる可能性があります。
AIとDXは地域を救うのか
近年はAIやDXへの期待も高まっています。
例えば、
- オンライン行政
- AI相談
- 遠隔医療
- 移動ATM
- 無人店舗
などです。
確かに人口減少社会では、DXは不可欠でしょう。
しかし同時に、
- 高齢者
- デジタル弱者
- 過疎地域
ほど、デジタル化に適応しにくい現実もあります。
つまりDXは、
「効率化」
と同時に、
「格差拡大」
も起こし得るのです。
“見守り”は誰が担うのか
本シリーズで浮かび上がった重要な論点の一つが、
「見守り機能」
です。
かつて地域には、
- 銀行窓口
- 商店街
- 郵便局
- 地域店舗
など、多くの接点がありました。
しかし現在は、
- 無人化
- オンライン化
- 支店撤退
が進んでいます。
その結果、
「人が人を見る機会」
そのものが減っている。
つまり人口減少社会では、
「お金」
「医療」
「行政」
だけではなく、
「人間的接点」
も失われ始めているのです。
今後は“常設社会”から“巡回社会”へ向かうのか
高度成長期の日本は、
「常設型社会」
でした。
- 常設店舗
- 常設学校
- 常設病院
- 常設ATM
が前提です。
しかし人口減少社会では、それを維持しにくくなっています。
その結果、
- 移動ATM
- 移動販売
- 移動診療
- オンライン相談
など、
「サービスが動く社会」
へ変わり始めています。
これは日本社会の構造変化そのものかもしれません。
本当に問われているのは“効率”なのか
ここで重要なのは、
「効率化だけで社会は維持できるのか」
という問題です。
DXは効率を高めます。
しかし社会には、
- 高齢者の安心
- 地域のつながり
- 見守り
- 会話
- 人間関係
のような、
「非効率だが必要な機能」
もあります。
人口減少社会では、
「何を効率化し、何を残すのか」
その選択が避けられなくなります。
地域を支える主体は誰になるのか
今後、地域を支える主体は、
単独ではなく、
「複数主体の組み合わせ」
になる可能性があります。
例えば、
- 行政
- 地方銀行
- 民間企業
- AI
- NPO
- 地域コミュニティ
などです。
つまり、
「誰か一つが支える社会」
ではなく、
「支え合う社会」
へ移行する必要があるのかもしれません。
結論
人口減少社会では、
- 行政
- 地方銀行
- 民間企業
- 地域コミュニティ
の役割分担が大きく変わり始めています。
行政だけでは地域維持が難しくなり、
地方銀行など民間側にも、
- 地域支援
- 見守り
- 地方創生
などの役割が期待されるようになっています。
一方で、AIやDXは効率化を進める反面、
- デジタル格差
- 地域格差
- 人間的接点の減少
も生み得ます。
つまり人口減少社会で本当に問われているのは、
「どう効率化するか」
だけではありません。
むしろ、
「どのような地域社会を残したいのか」
その価値観そのものなのです。
地域を支える主体は、今後一つには定まらないでしょう。
しかし確かなのは、
「行政だけ」
「市場だけ」
では支えきれない時代へ、日本が入り始めているということです。
参考
・日本経済新聞 各種関連記事
「地方銀行再編」
「金融DX」
「人口減少社会」
「地域金融と地方創生」
・総務省
「人口減少社会に関する各種資料」
・金融庁
「地域金融機関に関する各種資料」