空き家問題…「暮らしと資産」の危機とチャンス

FP
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日本全国で増え続ける「空き家」…。
総務省の調査によれば、全国の空き家数は約850万戸(住宅全体の14%以上)に達し、今後も高齢化・人口減少の影響で増加が見込まれています。

この問題は単なる「空き家の放置」ではなく、相続・税金・資産価値・地域経済の複合的な課題です。
同時に、活用や売却、承継の工夫次第では「資産の再生」にもつながります。

ということで、今回は空き家問題を見ていきたいと思います。

1. なぜ空き家が増えるのか

空き家問題の背景には、いくつかの構造的要因があります。

・人口減少と高齢化
 地方を中心に若い世代が都市へ移動し、実家が使われなくなる。

・相続のタイミングで放置
 兄弟間の話し合いが進まない、遠方で管理が難しいなどで放置される。

・固定資産税の制度
 住宅が建っていると更地より固定資産税が軽減されるため、解体せず放置されるケースも。

2.放置すると起こるリスク

空き家を管理せずに放置すると、次のようなリスクがあります。

① 固定資産税の負担増
 「特定空き家」に認定されると住宅用地特例が外れ、税額が最大6倍になることも。
(こちらについては、次回、具体的に書かせていただきます。)

②老朽化による事故・損害賠償
 屋根や外壁が落下し、通行人や隣家に被害を与えれば賠償責任が発生。

③資産価値の下落
 管理不全は買い手離れを招き、売却価格も大幅に低下。

④地域全体への影響
 景観や治安の悪化により、近隣の地価にもマイナス影響。

3.空き家の活用・解消方法

できる対応策は以下の通りです。

(1) 売却
・不動産会社に仲介を依頼
・空き家バンクや自治体のマッチング制度を活用
・相続登記を早めに行い、売却の障害を除去

(2)賃貸・利活用
・民泊やシェアハウスへの転用
・高齢者向け・外国人向けの賃貸住宅
・テレワーク拠点や地域コミュニティスペース

(3) 解体・更地化
・老朽化が著しい場合は解体し、土地として売却や活用
・解体費用の補助制度を自治体で確認

4.税務上のポイント

空き家の処分や活用にあたっては、税制の優遇や注意点があります。

・空き家の3,000万円特別控除
 相続により取得した被相続人居住用家屋を売却する場合、一定要件で譲渡所得から最大 3,000万円控除。

・譲渡所得の長期・短期区分所有期間による税率の違いに注意。

・固定資産税の軽減特例
 住宅が建っている場合の特例適用条件の確認。

・相続税評価の見直し
 更地化や利用方法により評価額が下がるケースも。

5.これからの空き家対策は「早め・柔軟」がカギ

空き家問題は、時間が経てば経つほど選択肢が狭まり、費用負担も増します。

・相続前から話し合う

・税制優遇を期限内に活用

・地域や自治体の制度を調べる

早めに動けば、「負の資産」が「地域や家族のための資産」に変わります。
空き家は放置すればリスクですが、適切に管理・活用すれば価値ある資産になります。
是非、「税制・資産・家族関係」の3つの視点から、解決策を考えていただければと思います。

ということで、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、引き続きよろしくお願いいたします。

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