確定申告Q&Aで学ぶ「誤りの多い事例」① なぜ確定申告では誤りが多いのか ― 総論

税理士
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確定申告は、「難しそう」「間違えたら大変そう」という印象を持たれがちな手続きです。実際、申告書を提出した後になって「ここが違っていた」「入れ忘れていた」と気付く人は少なくありません。

国税庁が公表している確定申告に関するQ&Aの中でも、「誤りの多い事例」は毎年整理されています。これは、特定の人が特別に失敗しているのではなく、多くの人が同じところでつまずいていることを意味しています。

このシリーズでは、その中でも「なぜ誤りが起きやすいのか」「どこに注意すれば防げるのか」を、初心者の方にも分かりやすく整理していきます。第1回では、個別の事例に入る前に、確定申告で誤りが多発する背景を総論として確認します。


確定申告は「自己判断」が前提の制度

確定申告の最大の特徴は、自分で判断し、自分で申告する制度であるという点です。

会社員の年末調整では、勤務先が一定のチェックを行ってくれます。しかし、確定申告では、収入の整理、所得区分の判断、控除の適用まで、基本的にすべてを本人が行います。

この仕組みそのものが、誤りが起きやすい土台になっています。制度に慣れていない人ほど、「これくらいなら大丈夫だろう」「去年と同じだから問題ないだろう」と判断してしまい、結果として誤りにつながることがあります。


「知らなかった」では済まされない理由

確定申告で誤りがあった場合、「知らなかった」「初めてだった」という理由で自動的に免責されるわけではありません。

これは厳しく感じられるかもしれませんが、確定申告は法律に基づく手続きであり、正しく申告する責任は納税者本人にあると考えられているためです。

その一方で、国税庁がQ&Aという形で「誤りが多い事例」を示しているのは、事前に注意点を知っていれば、多くのミスは防げるという前提があるからでもあります。


誤りが多いのは「計算」より「考え方」

確定申告の誤りというと、計算ミスを想像する人が多いかもしれません。しかし、実務上よく見られる誤りは、単純な計算違いよりも、考え方の誤解に起因するものです。

例えば、

  • これは申告しなくてよい収入だと思い込んでいた
  • 控除は自動的に反映されると思っていた
  • 少額だから問題にならないと判断してしまった

といったケースです。これらは計算能力の問題ではなく、制度の理解不足によるものです。


「よくある誤り」は毎年ほぼ同じ

国税庁が示している「誤りの多い事例」を見ると、毎年の内容には大きな違いがありません。
これは、制度がほぼ変わっていない部分で、同じ誤解が繰り返されていることを意味します。

逆に言えば、よくある誤りのパターンを事前に知っておけば、かなりの確率でミスを防げるということでもあります。

このシリーズでは、そうした「毎年繰り返される誤り」をテーマごとに分解し、順番に見ていきます。


なぜ初心者ほど誤りやすいのか

初心者の方が誤りやすい理由は、単に知識が少ないからではありません。

  • どこが重要なのか分からない
  • すべてを完璧に理解しようとして混乱する
  • 申告書の画面を見て安心してしまう

といった心理的な要因も大きく影響します。

特に、入力を進めると自動計算される仕組みでは、「機械が計算しているから正しいはずだ」と思い込んでしまいがちです。しかし、入力の前提が誤っていれば、結果も誤ったものになります。


誤りを防ぐための基本姿勢

確定申告の誤りを防ぐために、特別なテクニックは必要ありません。重要なのは、次のような基本姿勢です。

  • 自分の収入や支出を一度、事実ベースで整理する
  • 「自動で反映されるもの」と「自分で申告するもの」を分けて考える
  • 少しでも迷った点は、そのままにしない

この姿勢を持つだけで、多くの誤りは未然に防ぐことができます。


結論

確定申告で誤りが多いのは、特定の人が不注意だからではありません。制度の仕組み上、誰でも間違えやすいポイントが存在しているからです。

国税庁が示している「誤りの多い事例」は、失敗例の集積であると同時に、注意すべきポイントの一覧でもあります。本シリーズでは、それらを一つずつ丁寧に解きほぐしていきます。

次回は、収入・所得の申告漏れがなぜ起きやすいのかをテーマに、具体的な事例から見ていきます。


参考

・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項(Q&A)
 Q17 所得税等の確定申告の際に、誤りの多い事例について」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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