外形標準課税は企業の何を測ろうとしているのか 付加価値経営編

税理士
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外形標準課税について連載してきました。

報酬給与額

純支払利子

純支払賃借料

単年度損益

それぞれの仕組みを見てくると、多くの経営者はある疑問を持つようになります。

「結局、外形標準課税は何を測ろうとしているのか」

という疑問です。

給与に税金がかかる。

利息も対象になる。

家賃も対象になる。

利益も対象になる。

一見するとバラバラに見えるこれらの項目ですが、実は全て一つの考え方でつながっています。

それが「付加価値」です。

今回はシリーズの総括として、外形標準課税の本質について考えてみます。

企業とは価値を生み出す装置である

企業は何のために存在するのでしょうか。

利益を出すためでしょうか。

もちろん利益は重要です。

しかし利益だけが企業の存在意義ではありません。

企業は、

人を雇い

商品やサービスを提供し

地域経済を支え

技術を発展させ

社会に価値を提供しています。

つまり企業とは価値創造の装置です。

外形標準課税は、この価値創造活動を測ろうとする制度なのです。

給与は価値の分配である

企業が価値を生み出すと、その一部は従業員へ分配されます。

それが給与です。

多くの経営者は給与をコストとして見ます。

しかし別の見方をすると、

従業員への価値還元

でもあります。

給与総額が大きい会社は、それだけ多くの人の生活を支えているとも言えます。

外形標準課税が給与を重視する理由はここにあります。

利息は金融資本への分配である

企業活動には資金が必要です。

金融機関から借入を行えば利息を支払います。

この利息も価値の分配です。

企業が生み出した価値の一部が金融機関へ移転しているのです。

つまり利息は、

金融資本への報酬

と言い換えることもできます。

家賃は不動産資本への分配である

企業は場所を利用して事業を行います。

店舗

工場

倉庫

オフィス

これらは全て経営資源です。

その利用対価が家賃です。

つまり家賃もまた価値の分配です。

不動産所有者に対する報酬と言えるでしょう。

利益は企業自身への分配である

そして最後に残るのが利益です。

利益は企業内部に蓄積されます。

将来の投資原資になります。

研究開発費になります。

設備投資資金になります。

つまり利益とは、

未来への再投資原資

なのです。

企業が生み出した価値のうち、将来のために残した部分と言えるでしょう。

付加価値額とは何か

ここまで整理すると見えてきます。

給与

利息

家賃

利益

は別々の数字ではありません。

全て企業が生み出した価値の分配先です。

つまり、

付加価値額=価値創造総額

なのです。

外形標準課税は利益だけを見るのではありません。

企業が一年間でどれだけ価値を生み出したかを見ようとしているのです。

赤字企業にも価値はある

この考え方は非常に重要です。

例えば、

利益ゼロ

利益マイナス

であっても、

従業員へ給与を支払い

金融機関へ利息を支払い

家主へ家賃を支払っている

のであれば、社会に価値を提供しています。

実際、

赤字だから存在価値がない

という企業はほとんどありません。

創業期のベンチャー企業もそうです。

研究開発企業もそうです。

事業承継直後の企業もそうです。

利益だけでは企業価値は測れないのです。

人生100年時代の経営に通じる考え方

人生100年時代になると、

短期利益最大化

だけでは企業は生き残れません。

人材育成

技術開発

ブランド構築

地域との共生

こうした長期的価値が重要になります。

一時的に利益が減っても、

将来の価値創造につながる投資

であれば意味があります。

付加価値という考え方は、まさに長期経営の発想と一致しています。

AI時代に価値を生み出す企業とは

AI時代になると、

計算

記録

分析

は自動化されます。

しかし価値創造そのものはなくなりません。

むしろ、

どれだけ価値を生み出せるか

がこれまで以上に問われる時代になります。

AIを使う企業。

AIを活用する従業員。

AIで効率化された組織。

こうした企業でも最終的に評価されるのは、

生み出した付加価値

です。

税理士に求められる新しい役割

外形標準課税を学ぶと、税理士の役割も見えてきます。

税額計算だけならAIができます。

申告書作成も自動化されるでしょう。

しかし、

企業はどのような価値を生み出しているのか

どこに価値を分配しているのか

どうすれば付加価値を高められるのか

を説明することは簡単ではありません。

これからの税理士は、

税金の専門家

から

価値創造の伴走者

へ進化していく必要があるのかもしれません。

人生100年時代の本当の付加価値とは

企業だけではありません。

個人にも付加価値があります。

知識

経験

信頼

人脈

発信力

これらは人生の付加価値です。

人生100年時代において重要なのは、

どれだけ長く働くか

ではなく、

どれだけ価値を生み出し続けるか

なのです。

企業の付加価値経営という考え方は、実は人生そのものにも通じているのです。

結論

外形標準課税は単なる税金の制度ではありません。

企業が一年間で生み出した価値の総額を測ろうとする制度です。

給与は人への分配。

利息は金融資本への分配。

家賃は不動産資本への分配。

利益は未来への投資原資。

これらを合計したものが付加価値額です。

外形標準課税を理解することは、企業経営の本質を理解することでもあります。

そして人生100年時代においても、本当に重要なのは資産額ではなく、価値を生み出し続ける力なのではないでしょうか。

参考

近畿税理士会

「税法実務講座(法人税)事業税の外形標準課税対象法人の申告の基礎② 外形標準課税対象法人の付加価値割の基礎」

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