クラウド会計導入のコストと安全性― セキュリティ・バックアップ・サポート体制を考える ―(クラウド会計⑤)

会計
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クラウド会計ソフトは、便利で効率的な一方で、「コスト」と「安全性」の面で不安を抱く個人事業主も少なくありません。
「月額料金はどれくらいかかるのか」「データは本当に安全なのか」「サポート体制は信頼できるのか」――。
本稿では、弥生・freee・マネーフォワードの料金体系やセキュリティ設計を比較しながら、
クラウド会計導入における現実的なコストと安心運用のポイントを解説します。

1.導入コストの比較

クラウド会計ソフトの料金は、基本的に月額または年額のサブスクリプション方式です。

  • 弥生会計オンライン:セルフプランは年額10,000円前後、サポート付きプランは20,000円程度。
  • freee会計:スタータープラン月額1,480円、スタンダードプラン月額2,680円。
  • マネーフォワードクラウド会計:パーソナルライト月額1,280円、パーソナルプラン月額2,480円。

紙の領収書やExcel管理の手間を考えると、月1,000〜2,000円のコストで時間削減と正確性が得られる点は大きなメリットです。
特に、確定申告代行や記帳代行を外注する場合と比べると、年間で数万円のコスト削減効果が見込まれます。

2.セキュリティ対策の実際

クラウド会計に保存されるデータは、ソフト各社のサーバーで暗号化され厳重に管理されています。
通信はすべてSSL/TLSによって保護され、第三者が取引データを閲覧することはできません。
さらに、freeeやマネーフォワードは「二段階認証(ログイン時にSMSやアプリ認証を要求)」を標準設定としており、
不正アクセス防止のレベルは銀行システムと同等水準にあります。

弥生会計オンラインも、AWS(Amazon Web Services)上に構築された堅牢なクラウド環境を利用し、
バックアップデータを複数拠点に分散して保存しています。
このため、災害や端末故障が発生しても、データが失われるリスクは極めて低いといえます。

3.バックアップとデータの保全

クラウド会計のデータは自動的にクラウド上で保存されるため、
従来のようにUSBや外付けHDDでバックアップを取る手間は不要です。
ただし、税務調査対応や証拠保全の観点から、定期的にローカル保存する習慣を持つと安心です。
弥生・freee・マネーフォワードのすべてでCSVやPDF形式でのエクスポート機能が提供されており、
決算期ごとにデータをダウンロードしておくと、クラウド障害時のリスクを最小限に抑えられます。

また、freeeやマネーフォワードは「自動バックアップ世代管理機能」を備えており、
誤操作でデータを削除しても、過去の状態に復元することが可能です。

4.サポート体制の違い

クラウド会計は操作が簡単とはいえ、初期設定や申告直前のトラブル対応ではサポート体制の有無が重要になります。

  • 弥生:電話・チャット・メールに加え、画面共有による遠隔サポートを提供。初心者にも安心。
  • freee:チャットボットとメールサポート中心で、認定アドバイザー制度を通じた専門家紹介が可能。
  • マネーフォワード:チャット・メール対応のほか、導入支援セミナーやマニュアルが充実。

サポート重視なら弥生、オンライン自走型ならfreee、データ連携重視ならマネーフォワード――という選び方が現実的です。

5.導入時のリスクマネジメント

クラウド会計のリスクは、主に「通信障害」「アカウント管理」「連携先の仕様変更」にあります。
通信環境が不安定な場合は、オフライン閲覧用の帳簿データを定期的に出力しておくと安心です。
また、アカウントのパスワードを複数人で共有するのは避け、担当者ごとにアクセス権を設定することが重要です。
freeeやマネーフォワードでは「閲覧権限・編集権限」を細かく分けられるため、
税理士や経理担当と安全に共同利用できます。


結論

クラウド会計の導入コストは決して高くありません。
月額1,000円台で、手作業のミスを減らし、バックアップやセキュリティも自動化できる点を考えれば、
むしろ「時間を買う投資」といえます。
ただし、クラウド任せにせず、自分でも最低限のデータ保全とアクセス管理を心がけることが重要です。
安心して運用するためには、「費用・安全性・サポート」の3点を総合的に比較し、
自分の業務スタイルに合ったサービスを選ぶことが成功の鍵です。


出典

・弥生株式会社「弥生会計オンライン 料金・セキュリティ情報」
・freee株式会社「freee会計 プラン比較・セキュリティガイド」
・マネーフォワード株式会社「クラウド会計サービスの安全性」
・総務省「クラウドサービスの安全利用ガイドライン」
・中小企業庁「デジタル化支援ポータル」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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