不動産投資信託(REIT)の相場が上昇を続けています。
9月16日の東京市場では、REIT全体の値動きを示す「東証REIT指数」が前週末比1%高の1950.97となり、2022年12月以来およそ2年9カ月ぶりの高値をつけました。
なぜいまREITに投資マネーが集まっているのでしょうか。背景を整理してみます。
物流REITに追い風が吹いている
今回の相場上昇をけん引したのは、物流施設に投資するREITです。
代表例のひとつが「日本ロジスティクスファンド投資法人(日本ロジ)」で、契約更新時の賃料増額目標を従来の「4~6%」から「6~7%」に引き上げました。
背景には、
- 高い稼働率(空室が少ない)
- 倉庫の設備投資で付加価値を高め、賃料を上げやすい環境
があります。これを受けて投資口価格(株価に相当)は一日で2%上昇。他の物流系REITである「三菱地所物流リート」や「日本プロロジスリート」にも買いが広がりました。
オフィスと比べて出遅れていた物流セクター
REITは投資対象によって「オフィス」「住宅」「物流」などに分かれます。
このうち物流セクターは、契約期間が長いため賃料の改定ペースが遅く、直近の上昇局面では「オフィスREIT」に比べて出遅れていました。
実際、2024年末からの上昇率をみると:
- オフィスREIT:22%高
- 商業・物流等REIT:15%高
と差が出ています。今回の日本ロジの発表で、「物流施設も成長余地が大きい」という認識が広まり、資金がシフトしているのです。
利上げ観測の後退も追い風に
REIT全体が上昇している理由には「金利環境」もあります。
REITは借入金を活用して物件を購入するため、金利が低い方が利払い負担が減り、収益が改善します。
また投資家から見ると、REITからの分配金(配当のようなもの)の利回りと、国債などの金利を比較して魅力が増すため、金利低下局面ではREIT投資に追い風が吹きやすいのです。
海外マネーの流入も続く
東京証券取引所のデータでは、海外投資家が8月にREITを大きく買い越しました。
背景には、
- 米国など海外景気の減速懸念
- 米関税政策の影響を受けにくい日本市場の安定感
といった要因があります。グローバル投資マネーが安全な投資先として日本のREITを選んでいるわけです。
今後の見通し
専門家のコメントでも、「物流セクターの賃料や分配金の増額が期待できる」との声が出ています。
今後は以下の点が注目ポイントになりそうです:
- 物流施設の需要増(ECの拡大や国内のサプライチェーン再構築)
- 日本銀行の金融政策動向(金利上昇があるかどうか)
- 海外投資家の資金流入が続くか
まとめ
REIT市場は、物流セクターの成長期待と低金利環境の追い風を受けて、再び活気を取り戻しています。
不動産投資信託というと難しく聞こえますが、要は「不動産を小口化して投資家が分配金を得る仕組み」です。
相場が高値を更新している今こそ、投資先としてのREITを一度調べてみるのも良いタイミングかもしれません。
📝 参考:日本経済新聞 2025年9月17日朝刊「REIT指数2年9カ月ぶり高値」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
