<記載日:2025年7月13日>
以前の記事でご連絡のとおり、3月に引き続き、日本FP協会認定のスタディグループで講師をさせていただきました。
今回のスタディグループの講義は、今年度の税制改正の1つであります iDeCoの改正事項のうち、受取時のルールが「5年ルール」から「10年ルール」に変更となりました件について、どのように受け取るのが良いのか、一緒に考えることによって、理解を深めていきたいという主旨で行ないました。
今回の記事では、その内容を全5回に分けて、ご連携させていただきます。
全体の資料は、こちらになります。
また、全体の資料は 24ページにもおよびますので、説明箇所のページを1枚ずつ添付し、説明させていただきます。
それでは、まず最初に、スライド1枚目をご覧ください。
まず、スライドの1枚目は、次第となっております。
こちらの次第に沿って進めさせていただきますが、少し盛沢山な内容となってしまいましたので、資料を箇所箇所で端折ることがあります。
その場合、詳細は後ほどご覧いただければと思っています。
それでは、2枚目のスライドをご覧ください。
まず、iDeCoの改正につきましては、
年金制度改正とセットみたいなもので、本来であれば3月くらいには年金制度関連法案が提出されて…
決定して…みたいなスケジュールが普通だったんでしょうけど、資料をご覧いただき…
これは厚生労働省のHPのコピペですけれども、
この資料の赤字部分が、皆さんご存知の「将来の基礎年金の給付水準の底上げ」ですね…。
この部分について、反発が大きいため、一旦、削除したんです。
参院選を意識して…ですかね。
ですが…
この部分が年金改正の“肝、であるのに、それを削除するなんて…「あんこが入っていないあんパン」じゃないか!
と立憲民主党がいうもんだから、一旦、削除した「将来の基礎年金の給付水準の底上げ」いわゆる「あんこ」を入れ直したわけです。
そんなこんなで、5月30日にようやく年金制度関連法案が衆議院で可決されて…
6月13日、国会で成立した次第ですね。
今回のテーマであります「iDeCoの改正」につきましては、資料の赤枠で困った部分になります。
なお、今回の年金制度改正法の内容は、あんぱん問題以外でも、いわゆる「106万円の壁」の撤廃や在職老齢年金制度や遺族年金制度の見直し等、盛沢山ですので、後ほど資料をご覧いただければと思います。
(私の以前の記事にもありますので、そちらでご確認ください)
2025年度年金改正|人生100年時代を共に活きる税理士・FP(本格稼働前)|note2025年度の年金改正法案は、あんこを入れるか入れないかで、結局、6月の成立となりました。 内容が盛りだくさんなので、4回note.com
それでは 3枚目のスライドをご覧ください。
ここからが本編になります。
今更ですが、我が国の退職給付制度は、国が運営する公的年金制度と企業等による退職給付制度の2つに分けることができます。
そして、退職給付制度は、企業の内部資金から一括で支払う「退職一時金制度」と企業が外部の年金基金等に積み立てて、年金等を受け取る「企業年金制度」に分けることができます。
企業年金制度は、「確定給付企業年金」と「厚生年金基金」、そして「確定拠出年金」に分類され、「確定拠出年金」は「企業型確定拠出年金」と「個人型確定拠出年金」いわゆる iDeCo に分けることができます。
今回のテーマは「iDeCo 改正」としましたが、改正の対象は、確定拠出年金ですので、範囲は赤枠囲いの「企業型確定拠出年金」と「個人型確定拠出年金(iDeCo)」になります。
4枚目のスライドをご覧ください。
これも今更ですが、我が国の年金制度は国民年金を基礎とした3階建て構造です。
被保険者の種類によって加入できる制度が異なっています。
そして、そもそもiDeCoは、①厚生年金がない自営業者・フリーランスや②企業年金がない会社員、もしくは③企業年金はあるが充実していない企業に勤めている会社員を対象とした「上乗せ年金制度」として、制度の見直しを繰り返してきました。
5枚目のスライドをご覧ください。
確定拠出年金は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度で、掛金を事業主が拠出する企業型確定拠出年金と、加入者自身が拠出する iDeCo(個人型確定拠出年金)があります。
6枚目のスライドをご覧ください。
iDeCoについて少し確認しますと…
概要につきましては、後ほどご確認いただくとして…
iDeCoの税制上のメリットを見ますと、大きく分けて資料の①掛金が全額所得控除の対象となること、資料の②運用で得た利息・配当・売却益などの利益が全額非課税になること、資料の③給付受取時にも年金方式の場合は公的年金等控除、一時金方式の場合は退職所得控除のような税制優遇が適用されること、以上の3つがあります。
今回のテーマは、スライドの赤枠囲いの③の給付受取時にも税制優遇が適用されるという部分になります。
7枚目のスライドをご覧ください。
2025 年度の税制改正では、拠出限度額の穴埋め型引き上げ、こちらについては8枚目のスライドをご覧いただきたいのですが、これは、先程も申し上げたとおり、そもそも iDeCoは、①厚生年金がない自営業
者・フリーランスや②企業年金がない会社員、もしくは③企業年金はあるが充実していない企業に勤めている会社員を対象とした「上乗せ年金制度」として、制度の見直しを繰り返してきた、今回もその一環です。
そして、7枚目のスライドに戻っていただいて、これまでは、iDeCoに加入して、掛金を拠出できる期間は20歳から65歳までとなっておりましたが、今回の税制改正により、一定の要件のもと70歳未満までに延長されます。
ここまでは、皆さんにとって、良い改正として受け入れられています。
問題は、ここからで、これまでは確定拠出を一時金で受け取った後、5年以上経過してから退職金を受け取れば、確定拠出年金、退職金のそれぞれに対して退職所得控除を重複期間関係なく適用することができるという「5年ルール」というものがあった訳ですが、今回の改正により、その「5年ルール」が「10年ルール」に変更となります。
この改正が、俗にいう「iDeCo改悪!」と言われている改正です。
このような改正がされた理由は、そもそも「5年ルール」にせよ、後ほど説明させていただく「19年ルール」にせよ、あまり適用される人はいない前提で認めてきた訳ですが、高年齢者雇用安定法の改正によって、65歳まで定年が延長される企業が増えて、適用できる人と出来ない人との間に不公平感が生まれるため、改正したというふうに言われています。
つまり、そもそも使わせる気がない、ということですね…。
切りが良いところで、今回はこれくらいにさせていただき、続きは次回以降で!
引き続き、よろしくお願いいたします!