iDeCo拡充とNISAの役割分担 老後資産形成をどう組み立てるか

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令和7年度税制改正により、iDeCoは拠出限度額の引上げと70歳までの加入拡大という、大きな制度変更を迎えました。
一方で、NISAはすでに恒久化され、非課税投資枠として多くの人に定着しています。

この結果、老後資産形成において
「iDeCoとNISAをどう使い分けるのか」
という問いが、これまで以上に重要になっています。

本記事では、iDeCo拡充時代におけるNISAとの役割分担について、制度の性格の違いを整理しながら考えていきます。

iDeCoとNISAの制度的な本質の違い

まず、両制度の本質的な違いを確認しておきます。

iDeCoは、
・拠出時に所得控除がある
・原則として途中引き出しができない
・老後の年金原資形成を目的とした制度

です。

一方、NISAは、
・運用益が非課税
・資金の引き出しは自由
・資産形成全般に使える制度

という特徴を持っています。

つまり、iDeCoは「老後専用・拘束あり」、NISAは「自由度の高い非課税投資」という性格の違いがあります。

iDeCo拡充が意味するもの

今回のiDeCo拡充は、単に拠出額を増やせるようになったという話ではありません。
制度の狙いは、
「老後資産は、より自助努力で形成してください」
というメッセージの明確化にあります。

70歳まで加入できるようになったことで、
・定年後も働く人
・複数の収入源を持つ人

が、長くiDeCoを使えるようになりました。

ただし、資金拘束というiDeCoの本質は変わっていません。
拡充されたからこそ、無条件に使う制度ではなくなったともいえます。

NISAが担う役割は変わらない

iDeCoが拡充された一方で、NISAの役割が小さくなったわけではありません。
むしろ、役割分担はより明確になります。

NISAが担うのは、
・中途引き出しが必要になり得る資金
・老後前後の生活資金の調整
・医療費や住宅関連費用への備え

といった「柔軟性が求められる資産」です。

特に60代以降は、
「いつ、いくら必要になるか分からないお金」
が増えていきます。

この部分をiDeCoで固めてしまうと、生活設計に歪みが生じやすくなります。

基本的な役割分担の考え方

実務的には、次のような役割分担が一つの目安になります。

・iDeCo:老後の最低限の年金原資
・NISA:老後前後を含めた調整資金・成長資産

iDeCoは、
「このお金は老後まで使わない」
と割り切れる資金だけを入れる制度です。

一方、NISAは、
「必要になれば現金化できる」
という安心感を残したまま、非課税で運用できる制度です。

この性格の違いを混同しないことが重要です。

所得水準による使い分け

役割分担は、所得水準によっても変わります。

現役期で所得が高い場合

所得税・住民税の負担が大きい場合、iDeCoの所得控除効果は非常に強力です。
この場合は、
・iDeCoを優先
・余力があればNISA

という順番が合理的です。

所得が不安定、または低い場合

一方、所得が低い、あるいは非課税に近い場合、iDeCoの控除メリットは小さくなります。
この場合は、
・NISAを優先
・iDeCoは無理のない範囲

という選択が現実的です。

60代以降における役割分担の再設計

60代以降は、役割分担を見直すタイミングでもあります。

・iDeCoは拠出を抑え、出口設計を意識
・NISAは生活資金のバッファとして活用

という考え方が有効になります。

特に、
「拠出できるから拠出する」
「枠があるから使い切る」

という発想は、60代以降ではリスクになり得ます。

結論

iDeCo拡充とNISAの恒久化により、老後資産形成の選択肢は広がりました。
しかし、それは制度をフル活用することを意味するものではありません。

iDeCoは老後専用の制度、NISAは柔軟性の高い非課税制度。
この役割分担を明確にしたうえで、
自分の年齢、所得、生活設計に合った使い方を選ぶことが重要です。

制度は拡充されても、判断の主体はあくまで個人です。
iDeCoとNISAを「競合する制度」ではなく、「役割の異なる制度」として捉えることが、これからの資産形成の鍵になるといえるでしょう。

参考

・税のしるべ「7年度税制改正によるイデコの拠出限度額の引上げは令和8年12月から実施」
・令和7年度税制改正関連資料(年金・税制関係)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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