FP×AI革命シリーズ 第2回 AIがもたらす二重の脅威 ― FPの仕事はどこまで代替されるのか

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AIが急速に進化する中で、「FP業務はどこまでAIに代替されてしまうのか」という議論が活発になっています。AIによる効率化は歓迎すべき側面がありますが、その裏側で業界全体の構造変化が進みつつあることは否めません。特に、FP自身がAIを活用して業務を効率化しているからこそ、「AIの脅威」は表面的なものではなく、深い構造的な課題として現れています。

本稿では、AIがFPに及ぼす影響を「業務の効率化」と「顧客行動の変化」という二つの軸から整理し、AIがもたらす“二重の脅威”について詳しく考えていきます。

1. AIはFPの作業領域の多くを代替し始めている

FP業務の多くには、実は“機械処理に向いている領域”が少なくありません。たとえば、

  • キャッシュフロー表作成
  • ライフプランのプランニング
  • 提案資料の下書き
  • 金融商品の比較・選定
  • 市場情報の収集と分析
  • 文書要約・解釈

これらの作業は、AIが非常に高い精度でこなせるようになっています。特に生成AIは、FPが時間を掛けて行ってきた「資料作成」の大部分を短時間で仕上げることができます。

あるFPは次のように語っていました。

「資料作成は1/5の時間になった。1日の生産量が倍以上になり、スタッフを増やす必要がなくなった。」

これは効率化の恩恵ですが、同時に「人員削減」という別の影響も生み出します。
FP事務所にとってAIは、
“スタッフの代わりに働く新しい存在”
とも言えるのです。


2. FP業界全体に広がる「効率化の反動」

業務効率化が進むと、当然ながら次のような構造変化が起こります。

  • スタッフ採用数が減る
  • 若手FPの育成機会が減る
  • 事務職が不要になる
  • 1人当たりの業務量は大きく増える

これは単なる事務削減にとどまらず、業界全体の担い手が減る未来につながります。
いわば、AIの普及は「FPという職業の間口」そのものを狭めてしまう可能性があります。

効率化は競争力を高める一方で、
業界の裾野そのものが縮小する危険もはらんでいる
という点こそ、最初に正面から向き合うべき課題です。


3. もう一つの脅威:顧客が自分でAIを使いこなす時代

AIの影響はFP側だけにとどまりません。
顧客自身の行動が変わることが、FPにとってはより深刻な脅威です。

特にZ世代は、
「分からないことがあったら、まずAIに聞く」
という行動が完全に定着しています。

  • 投資の基礎知識
  • 老後資金の試算
  • 住宅購入シミュレーション
  • リスクへの備えの比較検討
  • 保険商品の特徴

こうした情報をAIに尋ねるだけで、一定水準の判断材料が得られます。

AIに聞けば無料で最初の答えが返ってくる世界
これは、FPにとっては明確な市場縮小圧力になります。


4. 「AIでできること」と「FPでなければできないこと」は違う

ただし、「AIが顧客相談を完全に置き換える」と考えるのは早計です。AIが得意とするのは、

  • 既知の情報から最適解を返す
  • 基本的なライフプランの計算
  • 一般論の提示

といった“構造化された問題”への対応です。

しかし、FPに求められる役割は、単なる知識提供だけではありません。

  • 顧客が何に不安を抱えているか
  • 本人が言語化できていない価値観
  • 家族・職業・人生設計の背景
  • 感情や優先順位
  • 将来の選択肢の整理

これらは、AIの不得意領域です。
顧客への深い寄り添いや価値観の整理は、人間にしかできない部分が多く残っています。

とはいえ、AIがライバルになることは避けられません。
理想論だけでは通用しない現実がすでに始まっているのです。


5. 過去の歴史が示す「対面ビジネス神話」の崩壊

AIによる変化を理解する上で欠かせないのが、2000年代の“ネット証券の台頭”です。

当時、証券業界では、
「ネット証券が普及しても、対面営業はなくならない」
という意見が主流でした。

理由は、

  • 顧客は人との関係を重視する
  • 金融の判断は人間同士の信頼が必要

というものでした。

しかし現実はどうだったでしょうか。
取引の大部分はネットに移行し、「対面神話」は崩れていきました。

この歴史が示すのは、
“人対人の関係”は万能ではない
ということです。

AIが普及した現在、その構造は一層強まっています。


6. AIによる二重の市場縮小

AIがFP業界に与える脅威は、大きく分けて次の二つです。

① 業務効率化の進行 → FP自身の数が減る

AIにより、働くFPの人数が減少する方向に進む可能性があります。

② 顧客がAIに移行 → FPに相談する人が減る

AIが一般化すると、「人に相談する必要がない」と考える層が増えます。

これら二つが同時に進むと、
FP業界の市場規模そのものが縮小する
という構造的問題が発生します。

これは、米国のFPの間でも明確に意識されているテーマであり、
「10~20年で業界は姿を大きく変える」と見る専門家もいます。


結論

AIがFPに与える脅威は表面的なものではなく、構造的で深いものです。

  • FP自身がAIによって効率化
  • 顧客がAIに移行して相談しなくなる
    この二重の圧力が、FP市場を縮小させる可能性があります。

しかし、これは「FPの終わり」を意味するわけではありません。
むしろ、FPが本来持っている価値――
顧客の人生に寄り添い、意思決定を支える“人間的な役割”――は、
AIが高度化するほど逆に重要度を増す可能性があります。

AIを拒絶すれば取り残されますが、AIを使いこなせば、FPはより強く、より価値ある存在へと進化できます。
次回は、AI時代にFPがどのように「共存共栄」を実現するのかを深掘りします。


出典

・日本FP協会「Trend Watch」掲載記事(2024–2025)
・米国FP業界関係者ヒアリング


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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