AIを安全に活用するには、導入前後で守秘義務・契約・説明責任・セキュリティの観点から定期的にチェックを行うことが重要です。
このチェックリストは、ひとり税理士や小規模事務所がAIを導入・運用する際の「最低限の安全確認」を体系的に整理したものです。
1. 守秘義務・情報管理チェック
| チェック項目 | 内容 | 状況 | 対応策 |
|---|
| 機密情報の入力制限を設けているか | 顧問先名・個人情報をAIに直接入力しないルールを明文化 | □できている □検討中 □未着手 | 所内ガイドラインに明記 |
| AIツールの利用規約を確認したか | 学習データへの利用有無・保存期間・利用範囲を確認 | □できている □検討中 □未着手 | プライバシーポリシーの写しを保管 |
| 入力データの匿名化を実施しているか | 固有名詞・金額を伏せてAIに入力 | □できている □検討中 □未着手 | 固有情報マスキングテンプレート作成 |
| AI利用履歴を保存しているか | 入出力内容をログとして保存(監査証跡) | □できている □検討中 □未着手 | AI利用記録フォルダを作成 |
2. 契約・説明責任チェック
| チェック項目 | 内容 | 状況 | 対応策 |
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| 顧問契約書にAI活用条項を明記しているか | AI使用の目的と責任範囲を明示 | □できている □検討中 □未着手 | 契約書に追記(補助的使用を明記) |
| 顧問先へAI活用方針を説明しているか | 「AIを業務効率化に使用し、最終判断は税理士本人」と伝達 | □できている □検討中 □未着手 | 初回契約時に説明書を添付 |
| AI出力の誤り責任を整理しているか | 「故意・重過失以外の損害は免責」と明示 | □できている □検討中 □未着手 | 契約補足文書で明記 |
| AI出力のレビュー工程を設けているか | 人間による最終チェック義務をルール化 | □できている □検討中 □未着手 | 提出前チェックリストに項目追加 |
3. セキュリティ・データ保管チェック
| チェック項目 | 内容 | 状況 | 対応策 |
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| データ保存先の所在国を確認しているか | 国内サーバか海外サーバかを把握 | □できている □検討中 □未着手 | 業者の情報セキュリティ方針を確認 |
| 通信・保存の暗号化が行われているか | SSL/TLSやAES256等を使用しているか | □できている □検討中 □未着手 | 契約時に技術仕様を確認 |
| アクセス権限を管理しているか | 職員・外注者のアクセス権を制限 | □できている □検討中 □未着手 | アカウントごとに権限付与 |
| データ削除ルールを設けているか | 退職者・契約終了時の削除手順を明記 | □できている □検討中 □未着手 | 終了時に削除報告書を作成 |
4. 倫理・説明責任チェック
| チェック項目 | 内容 | 状況 | 対応策 |
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| AI利用の目的を明示しているか | どの業務をAIで支援するかを整理 | □できている □検討中 □未着手 | 所内文書に「AI活用範囲表」を作成 |
| 顧問先への説明責任を果たしているか | AIの限界や誤差リスクを説明 | □できている □検討中 □未着手 | 顧問先説明書にテンプレート追加 |
| AI出力の根拠を確認しているか | 出力結果の出典・理由をレビュー | □できている □検討中 □未着手 | AI出力時に「根拠確認欄」を設ける |
| 倫理ガイドラインを策定しているか | 所内ルールとして明文化 | □できている □検討中 □未着手 | AI倫理方針書を作成・共有 |
5. 継続的モニタリング・改善チェック
| チェック項目 | 内容 | 状況 | 対応策 |
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| 定期的なAI利用監査を行っているか | 半年ごとのリスク点検 | □できている □検討中 □未着手 | 定期レビュー会議を設定 |
| AIツール更新時の審査手順を定めているか | 新機能追加・仕様変更時の再確認 | □できている □検討中 □未着手 | 変更管理記録を保管 |
| 職員・補助者への教育を実施しているか | AI入力禁止情報や操作研修 | □できている □検討中 □未着手 | 年1回のAI研修を実施 |
| インシデント報告体制を整備しているか | 情報漏えい時の報告手順 | □できている □検討中 □未着手 | 顧問先への連絡手順書を整備 |
結論
AIを導入すること自体はリスクではありません。
リスクは「管理が追いつかないこと」によって生じます。
このチェックリストを定期的に見直すことで、AIを安全に使いこなし、
税理士としての信頼と専門性を両立させることができます。
出典
- 日本税理士会連合会「AI活用に関する倫理・ガイドライン」
- 経済産業省「中小企業デジタルガバナンスコード」
- 総務省「生成AIの安全利用に関する指針(2024)」
- 国税庁「電子帳簿保存法対応ガイド」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。