AIで経営戦略を描く ― ChatGPTが示す“未来の事業計画”

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経理がAIを使い始めて1年。
請求処理や月次レポートの自動化、KPIの生成、会議資料の作成――
AIは、経理業務の“効率化”を大きく進めてきました。

しかし、AIの本領はその先にあります。
それは、「数字の意味を超えて、未来を設計する力」

ChatGPTを経営に使う時代、AIはもう“計算機”ではなく、
「戦略を共に考えるパートナー」になっています。


第1章 AIが経営戦略を立てる時代

経営戦略とは、限られた資源をどこに配分し、どう未来を描くかという意思決定の連続です。
AIはこのプロセスを、驚くほどスピーディに支援します。

たとえば、次のように指示してみましょう。

【役割】あなたは中小企業の経営戦略コンサルタントです。  
【内容】以下の財務データと市場状況をもとに、今後3年間の経営戦略を提案してください。  
【形式】①現状分析②成長ドライバー③リスクと対策④アクションプランの4部構成で。  
【制約】実行可能な範囲で、投資・人材・顧客戦略を具体的に示してください。

AIは、
「営業利益率改善には高付加価値型商品への転換が有効」「採用力強化にはリモート勤務制度が鍵」など、
現実的な経営施策を整理して提示します。


第2章 AIが描く“戦略シナリオ”の作り方

AIは、1つの答えではなく、複数の未来を提示できます。
これを活かすには、「シナリオ発想」で質問するのがポイントです。

🔹 プロンプト例:戦略シナリオ生成

【役割】あなたは経営企画担当です。  
【内容】以下の財務・市場データをもとに、今後3年の成長シナリオを3通り作成してください。  
【形式】①保守的シナリオ②中位シナリオ③挑戦的シナリオの3本構成で。  
【制約】各シナリオのKPIと必要投資額を表形式でまとめてください。

出力例(要約):

シナリオ売上目標主戦略必要投資リスク
保守型現状維持+3%既存顧客強化設備更新のみ成長停滞
中位型+10%成長新商品投入+DX推進AI導入費+人件費増投資回収リスク
挑戦型+25%成長海外市場開拓+提携戦略設備+M&A資金繰り悪化リスク

AIは、単なる数値のシミュレーションにとどまらず、
経営判断に必要な「比較材料」を瞬時に作り出します。


第3章 AIが“経営会議の未来地図”を描く

AIによる戦略立案の真価は、「全体を俯瞰する力」です。
人間が“木を見て森を見失う”場面でも、AIは膨大な要素を整理して構造化します。

🔹 未来地図の生成プロンプト

【役割】あなたはCEOの経営参謀です。  
【内容】次の3年間で会社が達成すべき中期経営計画を、AI視点で可視化してください。  
【形式】①目標指標②戦略軸③リスク④実行ロードマップを時系列で提示。  
【制約】財務・人材・技術・顧客の4視点を含めてください。

AI出力例(抜粋):

【1年目】基盤整備  
- 財務:コスト構造見直し、キャッシュ創出  
- 人材:管理職育成プログラム導入  
- 技術:AI経理・RPAの実装開始  
- 顧客:既存顧客満足度90%達成  

【2年目】成長投資  
- 財務:営業利益率8%達成  
- 技術:新商品×AI分析導入  
- 顧客:ターゲット層の再定義  

【3年目】市場拡大  
- 海外販路開拓・ブランド再構築  
- 人材多様化による組織再設計  

これを経営会議で共有すれば、“全員で見える中期ビジョン”が即座に完成します。


第4章 AIと経営者の“協働”が始まる

AIの提案をただ受け取るのではなく、
「なぜこの提案をしたのか?」とAIに質問を返すことで、
経営者は“思考の壁打ち相手”としてAIを活用できます。

たとえば――

  • 「この戦略のリスクをもっと厳しく評価して」
  • 「別の業界ならどうなる?」
  • 「最小コストで実現できる代替案を出して」

AIは瞬時に複数の視点を出してくれます。
これは、コンサルタントや参謀がそばにいるのと同じ効果です。


第5章 AI戦略立案の注意点

AIを経営戦略に使うときは、3つの原則を守ることが大切です。

1️⃣ AIに「目的」を明確に伝える
 → 目的が曖昧だと、AIは理想論や抽象案を出しがち。

2️⃣ 実現可能性の検証は人が行う
 → 財務制約・人材リソース・法規制などはAIでは判断できない。

3️⃣ AIは“経営補助輪”であり、意思決定者ではない
 → 最終判断を委ねないことが経営倫理の要。

AIは「戦略を考える力」を強化するツールであり、
「経営を代行する存在」ではありません。


第6章 AIがもたらす“戦略の民主化”

これまで、経営戦略は一部の経営陣やコンサルタントだけの領域でした。
しかしAIの登場により、誰もが戦略を考えられる時代が始まっています。

AIが数字を分析し、未来のシナリオを提示し、
経理・現場・経営層が共通の言葉で議論できる。

これは、“戦略の民主化”です。
AIが橋渡しをすることで、組織全体が同じ方向を向けるようになります。


まとめ:AIは「未来を描く共創者」

AIは、過去を分析するツールから、未来を設計する共創者(Co-Creator)へ進化しています。

AIが数字を読み、未来を語り、
人がその未来を選び取る。

この関係こそが、AI経営時代の理想的な姿です。
AIと共に描く未来は、単なる効率化ではなく、創造的な経営革新の始まり。

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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