「AIが経理をなくす時代が来る」
そんな言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。
確かに、請求書処理・仕訳入力・経費精算など、
“手作業の経理業務”はAIによって急速に自動化されています。
しかし――
AIは経理を“減らす”のではなく、広げるのです。
経理が「数字を打ち込む仕事」から、
「数字の意味を考える仕事」へ進化していく。
それが、これからの“AI経理時代”の本当の姿です。
第1章 AIが変えた「経理の常識」
AI導入が進む中で、経理業務はすでに大きく変わり始めています。
| 従来の経理 | AI時代の経理 |
|---|---|
| 手作業で仕訳入力 | AIが自動認識・分類 |
| エクセルで集計 | AIが自動レポート生成 |
| 決算を“締める”仕事 | 決算を“読む”仕事 |
| ミスを防ぐ | リスクを予測する |
| 裏方の管理部門 | 経営を支える分析部門 |
AIが単純作業を肩代わりすることで、
人間にしかできない「判断・提案・意思決定支援」へと役割が拡大しています。
第2章 AI経理の3つの進化ステージ
AI導入の進展は、以下の3段階で進むと考えられます。
① 自動化ステージ(2020年代前半)
クラウド会計やOCR、RPAなどで入力・集計を自動化。
経理担当者は「確認・承認」中心へ。
② 分析ステージ(2020年代後半)
生成AIが経営データを解釈・要約。
経理が“経営会議に参加する存在”へ。
③ 戦略ステージ(2030年代以降)
AIが複数のシナリオを提示し、経営判断をサポート。
経理は「経営のパートナー」「未来を設計する職種」へ。
第3章 AI経理が求められる“5つの新スキル”
AIが数字を処理する時代、経理には「人にしかできないスキル」が求められます。
| スキル | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 分析力 | 数字の意味を読み解く力 | AI出力の背景を理解する |
| ② 論理的思考 | AIに正確に質問する力 | プロンプト設計=質問力 |
| ③ 倫理観 | AIの限界と責任を理解する | 「判断を委ねない」姿勢 |
| ④ コミュニケーション力 | 経営層や現場と共有する力 | 数字を“物語”として伝える |
| ⑤ 学習力 | 新しいAIツールに対応 | 継続的アップデートが前提 |
経理の未来は、“資格”よりも“学び続ける力”が価値になる時代です。
第4章 AIと共に働く経理の一日(未来図)
午前:AIと共に数字をチェック
AIが仕訳・経費・入金の不一致を検出し、アラートを送信。
担当者はAIの指摘を確認し、承認ボタンを押すだけ。
午後:ChatGPTと経営レポートを作成
AIが月次KPIを分析し、「売上増加の要因は新サービス比率上昇」と要約。
経理はその分析を経営層向けに再構成。
夕方:AIが次月の資金繰りを予測
AIが「翌月の現金残高」「資金不足リスク」を提示。
経理は施策案を添えて、財務部に報告。
――もう経理は“報告される側”ではありません。
“提案する経理”へと進化しているのです。
第5章 AI経理時代のマインドセット
AIを使いこなす経理に共通するのは、「試して考える」姿勢です。
完全な正解を求めず、AIに聞きながら検証する。
「AIは間違うこともある」
けれど、「AIを使わないことはもっと大きな間違いになる」
AIはあなたの代わりではなく、“あなたの可能性を広げる存在”。
経理の未来を形づくるのは、AIではなく――AIをどう使うかを考えるあなた自身です。
まとめ:AIと歩む、これからの経理へ
AIの導入は「終わりの始まり」ではなく、「始まりの始まり」です。
経理がAIと手を組めば、
- 数字の信頼性は高まり、
- 業務は軽くなり、
- 経営との距離は近くなる。
これからの経理は、もう“経理部”ではなく、経営の中核になります。
AIがあなたの味方になる時代を、恐れず、楽しみましょう。
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
