相続といえば不動産や預金、株式といった資産を思い浮かべがちですが、近年は「ポイント」や「マイル」といった日常の小さな資産の扱いも見過ごせなくなっています。普段は軽視しがちな存在ですが、いざ相続となると意外な落とし穴があります。
今回は、相続税の納付方法とあわせて、ポイントやマイルが相続の対象になるのか、どう活用すべきかを整理してみたいと思います。
相続税の基本 ― 誰がどのくらい負担するのか
相続税には基礎控除があります。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、
3,000万円+600万円×3=4,800万円が基礎控除額です。
この額を超える財産があれば、超過部分に相続税がかかります。税率は10%から最高55%まで段階的に上がります。
都市部では土地や自宅、金融資産を合算すると基礎控除を超えるケースも珍しくありません。「うちは関係ない」と思っていても油断はできません。
相続税の納付 ― クレジットカードとスマホ決済
国税の納付は、近年大きくデジタル化が進んでいます。
クレジットカード納付
「国税クレジットカードお支払サイト」から手続きできます。
ただし手数料が約1%発生するため、カードの還元率が低いと逆に損になることも。
スマホ決済アプリ
今年(2025年)2月からe-Tax経由で利用可能になりました。
1回30万円までの制限がありますが、手数料はかかりません。
さらに工夫すれば、30万円以内であれば「クレカでAmazonギフトカードを購入 → Amazon Payで納付」という方法で、手数料無料+クレカのポイント獲得を両立できます。
ポイントは相続できるのか?
本題です。相続人が気になるのは「貯めてきたポイントは相続できるのか?」という点。
結論は、ほとんどのポイントは相続できません。
永久不滅ポイントの例
セゾンカードの「永久不滅ポイント」は有効期限こそありませんが、会員が亡くなると「ポイントおよび交換資格を喪失」と規約に明記されています。つまり、遺族に引き継ぐことはできません。
相続できる例外 ― 航空マイル
ただし、例外もあります。代表的なのが航空マイルです。
- ANAマイル
会員死亡後、180日以内に相続手続きをすれば、法定相続人が引き継げます。戸籍謄本や死亡診断書などの提出が必要です。 - JALマイル
所定の手続きを踏めば相続可能。期限や流れはANAとほぼ同じです。
主要ポイントの規約比較
代表的なサービスの相続規定を並べてみましょう。
- 楽天ポイント:死亡時に失効
- dポイント:死亡で失効
- Tポイント:死亡時に消滅
- Pontaポイント:相続不可、死亡で失効
- セゾン永久不滅ポイント:死亡で失効
ショッピング系・カード系のポイントはほぼすべて相続対象外です。
ポイントの有効活用 ― 生前に使い切るか投資に回すか
ではどうすればよいのか。答えはシンプルです。
- 生前に使い切る
家族旅行や日常の買い物で早めに消費するのが一番確実。 - ポイント投資に回す
楽天証券やセゾンなどの「ポイント投資」を使えば、投資信託や株式に変換できます。金融資産に変えてしまえば、相続可能な資産として引き継げます。
私自身もポイントを投資信託に充てています。小さな積み重ねでも、金融資産に姿を変えれば家族に残せる「財産」になるのです。
まとめ ― ポイントも資産管理の一部
- 相続税はクレカやスマホ決済で納付可能。ただし手数料や上限に注意。
- 一般的なポイントは死亡で失効、相続できない。
- ANA・JALのマイルは例外的に相続可能。
- 生前にポイントを使い切るか、投資信託など相続可能資産に変えるのが賢明。
「永久不滅」と名がついていても、命が尽きれば消えてしまうのがポイントの現実です。だからこそ、生前から計画的に使い、未来に残す資産は相続可能な形に整えておくことが大切です。
人生100年時代を生きる私たちにとって、ポイントもまた「資産管理の一部」。今日から意識して活用してみませんか。
📌 参考資料 日本電子版 2025年8月20日
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

