第3回:専門知識不要の時代へ

効率化
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――AIが変える働き方と未来

AIはすでに多くの現場に入り込み、効率化を進めています。しかし、これまでのAI活用は「専門知識がある人が使いこなすツール」というイメージが強く、誰もが自由に使える段階には至っていませんでした。

ところが近年、中小企業が開発するAIには大きな特徴があります。それは「専門知識がなくても使える」という点です。これは、AIの裾野を一気に広げ、働き方そのものを変えてしまう可能性を秘めています。

本記事では、そうした未来の姿を、具体的な事例と専門家の視点から考察します。


営業担当者をサポートするAIの登場

東京のスタートアップ「Sapeet(サピート)」は、営業担当者の1日をサポートするAIを開発中です。

AIが「性格」に合わせて話し方を提案

商談相手の声を分析し、その人の性格傾向を推測。さらに相手に合わせた話し方やトーンを提案する機能を持ちます。たとえば「論理的な説明を好むタイプ」「感情に訴えると響くタイプ」といった傾向を瞬時に見抜き、営業担当者にアドバイスを与えるのです。

これは単なる効率化ではなく、人と人との関わりにAIが踏み込む新しいアプローチです。「AIは無機質な効率化の象徴」という従来のイメージを覆し、むしろ「人間らしいコミュニケーションを補う存在」になろうとしています。

定型業務からの解放

さらにSapeetのAIは、商談後の日報やお礼メールといった定型業務も自動化。営業担当者は「人にしかできない仕事」に集中できるようになります。正式版のリリースは2026年を予定しており、今後の営業現場を大きく変える可能性があります。


AI活用に詳しい専門家の視点

野村総合研究所(NRI)の鷺森祟チーフリサーチャーは、AI活用の現状と未来について次のように語っています。

「AIの業務活用は進んでいるが、これまでにない付加価値サービスを実現できている企業は少ない。AIは万能ではないが、さらなる進化によって、専門知識のない人でも仕事でAIを使えるようになるだろう」

つまり、AIは「効率化」だけでなく「付加価値創出」の段階に進みつつあるのです。これが実現すれば、AIは単なる裏方ではなく、人間の仕事を拡張する“共働者”となります。


専門知識不要のAIがもたらす変化

1. 現場担当者が自らAIを使えるように

従来は「システム部門や技術者が用意したAIを現場が利用する」構図でした。今後は、営業や経理、製造の現場担当者が自らAIに指示を出し、仕事を任せられるようになります。

2. 中小企業が大企業に負けない武器を得る

専門人材を大量に抱える大企業と違い、中小企業は人材不足が常態化しています。だからこそ、専門知識不要で導入できるAIは中小にとって強力な「飛び道具」となり得ます。

3. 人材育成の在り方が変わる

「AIを使いこなすスキル」が、IT技術者だけでなく全てのビジネスパーソンに求められるようになります。将来的には、パソコンやスマホを使うのと同じ感覚でAIを使うのが当たり前になるでしょう。


中小企業の未来シナリオ

今回のシリーズで紹介したソプラやneoAI、Sapeetのような中小企業は、すでに大企業との協業や逆輸入的な導入を実現しています。

この動きが示すのは、中小企業の柔軟さとスピード感がAI活用のカギであるということです。大企業が慎重に検討している間に、中小企業は実験と改良を重ね、市場の信頼を勝ち取り、やがて大企業のパートナーとして採用される。これこそが「小さくても勝てる」時代の象徴です。


まとめ

専門知識不要で使えるAIは、これからの働き方を大きく変えていくでしょう。

  • 営業現場では AIが話し方まで提案し、人間らしい関係構築を支援する
  • 事務作業では AIが定型業務を肩代わりし、人間は付加価値の高い仕事に集中できる
  • 経営の現場では 中小企業がAIを使いこなし、大企業に匹敵する力を持てる

AIは決して万能ではありません。しかし、人材不足や老朽システムという日本固有の課題を乗り越える“共働者”として進化すれば、私たちの働き方は確実に変わっていきます。

「小さくても勝てる」――この言葉は単なるスローガンではなく、AI時代の現実的な戦略になりつつあるのです。


👉 シリーズを通じて伝えたいのは、AIは遠い存在ではなく「今すぐ小さく始められるツール」であるということです。
あなたの仕事や会社の中で、AIに任せられる業務は何でしょうか? 小さな一歩が、大きな変革につながります。


📌 参考資料
「〈小さくても勝てる〉業務に合わせAIアレンジ 中小が機転、大企業で採用続々」
日本経済新聞(朝刊)2025年9月23日


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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