不動産投資信託(REIT)は、分配金利回りの高さから個人投資家に人気のある商品です。しかし、利回りだけで判断すると、金利上昇局面では思わぬ価格下落に直面することがあります。
REITは「利回り商品」であると同時に、「財務レバレッジを活用した不動産ビジネス」でもあります。したがって、投資判断では財務の健全性を確認することが欠かせません。
本稿では、個人投資家が最低限チェックすべき3つの財務指標を整理します。
① LTV(有利子負債比率)
LTV(Loan to Value)は、総資産に対する有利子負債の割合を示す指標です。REITの財務体質を最も端的に示す数字といえます。
一般的には40%前後が一つの目安とされます。
50%を超えてくると、金利上昇時の影響が大きくなり、財務リスクが高まります。
金利が上昇すると、借入金利の増加によって分配原資が圧迫されます。LTVが高いREITほど、この影響を強く受けます。
個人投資家が確認すべきポイントは次の通りです。
・直近のLTV水準
・過去数年の推移
・物件取得や増資による変動傾向
「高利回り=高LTV」というケースも少なくありません。利回りの裏にある財務構造を見抜くことが重要です。
② 固定金利比率・平均借入期間
金利上昇局面では、借入金の条件が成績を左右します。
特に確認したいのが次の2点です。
・固定金利比率
・平均残存借入期間
固定金利比率が高ければ、短期的な金利上昇の影響は限定的です。一方で、変動金利比率が高い場合は、政策金利の引き上げが即座に収益に影響します。
平均借入期間が長いほど、借り換えリスクは抑えられます。逆に短い場合、金利上昇局面で高い金利での借り換えを迫られる可能性があります。
REITは長期保有を前提とする投資商品です。金利環境の変化にどれだけ耐えられる設計になっているかを確認することが不可欠です。
③ DPU(1口あたり分配金)成長率
REIT投資の本質は、分配金の持続可能性にあります。そこで重要なのがDPU(Distribution Per Unit)です。
単年度の分配金利回りではなく、DPUが中期的に成長しているかを確認することが重要です。
例えば、
・賃料改定による内部成長があるか
・物件入替による収益改善が進んでいるか
・増資後も1口あたり利益が維持・向上しているか
増資はREITにとって成長戦略の一つですが、DPUが希薄化していないかを必ず確認する必要があります。
分配金利回りが高くても、DPUが横ばい、あるいは減少傾向にある場合は注意が必要です。
3指標をどう組み合わせて見るか
重要なのは、これらを単独で見るのではなく、組み合わせて評価することです。
例えば、
・LTVが低く、固定金利比率が高く、DPUが安定成長している
→ 金利上昇耐性が高い可能性
・LTVが高く、変動金利中心、DPU横ばい
→ 金利上昇局面ではリスクが顕在化しやすい
REITは一見似たように見えても、財務戦略は銘柄ごとに大きく異なります。
結論
REIT投資は「利回り商品」として語られがちですが、実態はレバレッジを活用した不動産運用ビジネスです。
個人投資家が最低限確認すべき3つの財務指標は、
・LTV
・固定金利比率と借入期間
・DPU成長率
です。
金利上昇局面では、利回りの高さよりも財務の耐久力が問われます。
不動産市場が活況でも、REITが必ずしも上昇するとは限りません。だからこそ、表面的な利回りではなく、財務の中身を見る姿勢が重要です。
参考
日本経済新聞 2026年2月20日朝刊
ポジション 不動産熱、乗れぬREIT
東京証券取引所 公表資料
各REIT決算説明資料・有価証券報告書
