REITはなぜ不動産株に出遅れるのか―金利上昇局面で問われる成長力

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不動産市場は活況を呈しています。東京23区のマンション価格は高値圏にあり、デベロッパー株も上場来高値を更新する銘柄が相次いでいます。一方で、不動産投資信託(REIT)は勢いに乗り切れていません。

同じ「不動産関連」でありながら、なぜここまで評価が分かれるのでしょうか。本稿では、金利上昇局面におけるREITの構造的な課題と、今後の投資判断の視点を整理します。


不動産株は上昇、REITは失速という対照的な動き

TOPIXの業種別指数である不動産業は大きく上昇しています。三菱地所や三井不動産、住友不動産といった大手デベロッパーは、相次いで上場来高値を更新しました。

これに対し、REIT指数は高値を付けた後に調整局面入りし、海外投資家の売り越しも目立っています。REIT指数を不動産業指数で割った相対指標は、算出開始以来の低水準に沈んでいます。

市場では「デベロッパー株買い・REIT売り」という構図が鮮明になっています。


なぜ金利上昇はREITに厳しいのか

REITは、開発済みの物件を取得し、賃料収入を原資に分配金を支払うビジネスモデルです。安定性が魅力である一方、金利上昇局面では逆風を受けやすい構造を持っています。

第一に、借入依存度が高い点です。金利が上昇すれば、資金調達コストが増加し、分配原資を圧迫します。

第二に、投資家から見た相対的な利回りの問題があります。国債利回りが上昇すれば、「リスク資産であるREITを保有する意味」はより高い分配利回りで説明する必要があります。

第三に、デベロッパーとの収益構造の違いです。デベロッパーは開発益や物件売却益を取り込むことができます。不動産価格上昇局面では、含み益の実現が業績を押し上げます。一方、REITは賃料収入中心であり、打ち手が相対的に限られます。


NAV倍率1倍接近が意味するもの

REITの割安・割高を測る指標としてNAV倍率があります。これは株式でいうPBRに相当する指標です。

2025年には割安修正が進み、NAV倍率は1倍に迫る水準まで回復しました。NAV倍率が1倍を上回る局面では、新規増資による物件取得と成長戦略が取りやすくなります。

しかし、金利が急上昇する局面では、増資による成長戦略は市場から慎重に見られます。「資本コストを上回る成長が可能か」という問いが、より厳しく突きつけられるからです。

割安修正相場から、実質的な成長相場への移行が進めるかどうかが、今後の焦点になります。


分配金利回り4.5%の評価

足元のREIT指数全体の予想分配金利回りは4%台半ばとされています。銀行預金や国債と比較すれば依然として魅力的な水準です。

ただし、利回りの高さは「価格が低迷している」ことの裏返しでもあります。重要なのは、分配金の持続可能性です。

賃料の上昇余地、物件の入替戦略、内部成長余力、金利ヘッジの状況など、個別銘柄ごとの分析が不可欠な局面に入っています。

実際に、保有物件の入替を積極化し、将来の賃料上昇を織り込んだ成長戦略を打ち出している銘柄は、市場評価を高めています。


税理士・FPとして見る投資判断の視点

金利上昇局面では、「安定資産」と思われていた商品ほど価格変動リスクが顕在化します。REITも例外ではありません。

個人投資家にとって重要なのは、以下の3点です。

  1. 分配金利回りだけで判断しない
  2. LTV(負債比率)や借入金利の固定比率を確認する
  3. 賃料改定余地があるエリア・用途かどうかを検証する

特に地方銀行や個人投資家が下値を支える構図が続くかどうかは、金利動向次第です。


結論

不動産市場が熱を帯びる中で、REITが出遅れている背景には、金利上昇という構造的な問題があります。

割安修正の局面は概ね一巡し、これからは「分配金を持続的に拡大できるか」という成長力が問われる段階に入っています。

REITはインフレヘッジ機能を持つ資産である一方、金利上昇には弱いという二面性を持ちます。今後の投資判断では、単なる利回り比較ではなく、資本コストと成長力のバランスを見極めることが重要です。

市場が不動産株に傾斜する中で、REITが再評価される条件は何か。その答えは、「金利に打ち勝つ分配金成長ストーリー」を描けるかどうかにあります。


参考

日本経済新聞 2026年2月20日朝刊
ポジション 不動産熱、乗れぬREIT
東京証券取引所 業種別株価指数資料
各社有価証券報告書・決算説明資料

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