iDeCoは節税しながら老後資金を準備できる制度として定着してきました。
特に2027年以降は掛け金上限の引き上げや加入可能年齢の延長が予定されており、活用余地は一段と広がります。
ただし、iDeCoの本当の価値は「節税できること」そのものではありません。
節税によって生まれたお金をどう使うかまで考えてこそ、制度の効果を最大化できます。
本稿では、iDeCoの節税額をNISA積み立てに上乗せするという考え方を軸に、制度の組み合わせ方と注意点を整理します。
iDeCoの節税効果は「掛け金×税率」で決まる
iDeCoの最大の特徴は、掛け金の全額が所得控除の対象になる点です。
節税額はシンプルに次の式で考えられます。
・節税額 = 掛け金 ×(所得税率+住民税率)
例えば、月2万円を拠出していて税率が20%の場合、
月4,000円、年間では約4万8,000円の節税効果になります。
重要なのは、この節税額が「手元に現金で戻ってくる」という実感を持ちにくいことです。
所得税は年末調整や確定申告で還付され、住民税は翌年度以降の税額が減る形で反映されます。
そのため、意識しないと生活費に溶け込んでしまいがちです。
節税額をNISAに回すという発想
そこで有効なのが、iDeCoで生まれた節税額をNISAの積み立てに上乗せするという考え方です。
例えば、次のようなケースを考えてみます。
・iDeCo:月2万円
・税率:20%
・節税額:月4,000円
この4,000円を、そのままNISAの積み立て額に上乗せします。
もともとNISAで月3万円積み立てていた場合は、月3万4,000円に増やすイメージです。
結果として、
・iDeCo 2万円
・NISA 3万4,000円
合計で月5万4,000円の資産形成になります。
「節税で浮いたお金を将来のために確実に回す」
この仕組みを作ることで、iDeCoの効果を数字として実感しやすくなります。
長期で見ると積立額の差は大きくなる
同じ月5万円を積み立てる場合でも、
・NISAのみで月5万円
・iDeCo2万円+NISA3万円+節税額4,000円の上乗せ
では、長期では差が生じます。
仮に年4%で30年間運用できた場合、
NISAのみのケースより、iDeCoとNISAを組み合わせた方が最終的な資産額は大きくなります。
ポイントは、
・運用中はどちらも非課税
・iDeCoの節税分が「追加投資」に回っている
という点です。
節税額を消費に回してしまうか、投資に回すかで、将来の結果は変わります。
iDeCoは「受け取り方」まで含めて考える
一方で、iDeCoは出口での課税を無視できません。
受け取り時には、掛け金と運用益の合計が課税対象になります。
ただし、ここでも税制上の優遇措置があります。
・一時金で受け取る場合
退職所得控除が使えます。加入期間20年までは年40万円、21年目以降は年70万円ずつ増加します。
控除を超えた部分も、課税対象はその半分です。
・年金方式で受け取る場合
公的年金等控除が使えます。公的年金と合算した上で控除が適用されます。
退職金がない自営業者の場合、iDeCoの一時金受給は非課税で収まるケースも少なくありません。
一方、会社員で退職金と控除枠が重なる場合は、受け取り時期や方法を工夫する余地があります。
年金方式と一時金を組み合わせるという選択
多くの金融機関では、
・一定期間は年金方式
・残額を一時金
という受け取り方が可能です。
例えば、
・65歳以降は年金方式で毎年一定額を受け取る
・基礎控除や配偶者控除を活用して非課税枠内に収める
・その後、残額を一時金で受給する
といった形です。
退職所得控除は、退職後の経過年数によって再び使える枠が生じる点も見逃せません。
受け取り方を分けることで、トータルの税負担を抑えられるケースがあります。
結論
iDeCoは「節税できる制度」ではありますが、
本質は節税によって生まれたお金を、将来の資産形成につなげられるかにあります。
・iDeCoで所得控除を得る
・節税額をNISA積み立てに上乗せする
・受け取り時は控除制度を前提に設計する
この三点を意識することで、iDeCoとNISAは補完関係になります。
制度を単独で見るのではなく、
「現役期の税金」「老後の受け取り」「資産全体の流れ」
を一つのストーリーとして考えることが重要です。
参考
・日本経済新聞
「iDeCo節税額を有効活用 NISA積み立てに上乗せ」(2026年2月7日朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
