令和8年度地方税制改正を巡り、総務省は令和8年1月21日付で、各自治体向けに「令和8年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について」という事務連絡を公表しました。
税制改正大綱の内容自体はすでに知られていましたが、今回の事務連絡は、制度改正を実際に運用する自治体の立場から、どの点に留意すべきかを整理したものです。
本稿では、この事務連絡の内容を踏まえ、令和8年度地方税制改正が実務にどのような影響を与えるのかを整理します。
個人住民税における給与所得控除等の見直し
令和8年度税制改正では、個人所得課税において給与所得控除等の見直しが盛り込まれています。
今回の事務連絡では、これに伴い、住民税の課税計算や特別徴収事務においても、制度変更を正確に反映する必要があることが示されています。
所得税と住民税は計算構造が類似しているものの、制度改正の反映時期や細部の取扱いが異なる場合もあるため、給与支払者・自治体双方にとって、従来以上に丁寧な確認が求められることになります。
道府県民税利子割に係る清算制度の導入
今回の改正の中でも、実務上の影響が比較的大きいと考えられるのが、道府県民税利子割に係る清算制度の導入です。
利子割は金融機関を通じて徴収・納付される仕組みですが、清算制度の導入により、都道府県間の税収配分調整が行われることになります。
事務連絡では、制度導入に伴う事務処理や情報連携について、関係機関との調整を十分に行う必要がある点が強調されています。
ふるさと納税制度の見直し
ふるさと納税制度についても、引き続き見直しが行われます。
今回の留意事項では、制度趣旨を踏まえた適正な運用が求められており、過度な返礼品競争の抑制や、制度の透明性確保が重要であると整理されています。
自治体にとっては、寄附額の確保だけでなく、制度全体への信頼を損なわない運営がより強く求められる局面に入ったといえます。
軽油引取税の当分の間税率の廃止
地方税制改正では、軽油引取税の当分の間税率の廃止も盛り込まれています。
事務連絡では、この点についても、納税義務者への周知やシステム対応を含め、円滑な移行を図る必要があるとされています。
特に、実務現場では、税率変更に伴う申告・納付手続の誤りが生じやすいため、事前の準備が重要となります。
地方税務行政全体に求められる視点
今回の事務連絡全体を通じて感じられるのは、単なる制度改正対応にとどまらず、地方税務行政の安定的・適正な運営を重視する姿勢です。
人口減少や自治体職員の負担増が続く中で、制度の複雑化は現場の大きなリスクとなります。
その意味で、総務省が「留意事項」という形で実務上の視点を明示したことは、自治体実務にとって重要な意味を持つと考えられます。
結論
令和8年度地方税制改正は、個別の税目改正だけでなく、地方税務行政の運営全体に影響を及ぼす内容となっています。
今回公表された総務省の事務連絡は、制度改正を現場で確実に運用するための指針として位置づけられるものです。
今後は、自治体だけでなく、企業や個人にとっても、地方税を巡る環境変化を丁寧に確認し、実務対応を進めていく必要があるでしょう。
参考
・税のしるべ「総務省が8年度地方税制改正の留意事項等を公表」(2026年2月2日)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

