NISAの居住確認ルールが変わる理由と実務への影響

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少額投資非課税制度(NISA)は、制度開始から10年以上が経過し、2024年には恒久化されました。制度が長期化する中で、運用面では当初想定されていなかった課題も顕在化しています。その一つが、NISA口座保有者に対する定期的な居住確認です。
金融庁は、この定期的な居住確認を廃止する方針を示しました。本記事では、制度変更の背景と、口座保有者・金融機関双方にとっての実務上の影響を整理します。

現行制度における居住確認の仕組み

NISA制度では、日本に居住していることが非課税適用の前提条件とされています。そのため、金融機関には口座保有者の居住実態を確認する義務が課されてきました。
具体的には、NISA口座の開設から10年後、その後は5年ごとに、金融機関が転送不要郵便を送付するなどの方法で居住確認を行う仕組みです。この確認が完了しない場合、新規の買い付けが停止されることもありました。

定期的な居住確認が抱えていた問題点

この仕組みは制度上は合理的に見えますが、実務ではいくつかの問題が指摘されていました。
まず、口座保有者側の負担です。郵送物への対応や、住所変更手続きの失念により、意図せず取引が制限されるケースがありました。
また、金融機関側にとっても、長期間にわたる定期確認は事務負担が大きく、制度が恒久化された現状では、効率性に疑問が生じていました。

今回の制度改正の内容

金融庁は、2026年に国会へ提出予定の租税特別措置法改正案において、定期的な居住確認に関する規定を削除する方針です。
今後は、顧客との通常のやり取りの中で住所が確認できていれば足りるとされ、形式的な定期確認は不要になります。これは、NISA制度が当初は時限的な制度として設計されていた点を踏まえた見直しといえます。

代替的な確認方法と新たな注意点

もっとも、居住要件そのものが不要になるわけではありません。
今後は、年間取引報告書の送付時に返送があった場合など、住所変更の可能性があると判断されるケースを中心に確認が行われる見込みです。
住所変更の可能性があるにもかかわらず、届け出が行われない場合には、金融機関がNISA口座の取引を停止し、国税庁へ報告する仕組みが想定されています。

口座保有者が意識しておくべきポイント

制度改正により、形式的な確認手続きは簡素化されますが、住所変更の届け出が不要になるわけではありません。
特に、転居後に金融機関への変更手続きを忘れている場合、思わぬタイミングで取引が制限される可能性があります。NISAは長期投資を前提とした制度であるからこそ、住所や氏名などの基本情報の管理が重要になります。

結論

今回の居住確認廃止は、NISA制度が本格的な長期・恒久制度へ移行したことを象徴する見直しといえます。
一方で、実態確認が不要になるわけではなく、確認方法が「定期的」から「実務ベース」へと変わるだけです。
口座保有者にとっては負担軽減となる一方、基本的な届出義務を怠らない姿勢が、これまで以上に重要になるといえるでしょう。

参考

・日本経済新聞「定期的な居住確認廃止へ NISA口座保有者の負担減」
・金融庁 NISA制度に関する公表資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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