都市部を中心に、マンションは多くの家庭にとって最も高額な資産になっています。
そのため相続の場面でも、「自宅マンションをどう引き継ぐか」が大きなテーマになります。
ところが、マンション相続には誤解が多く、思い込みのまま判断してしまうと、税負担や将来のトラブルにつながりかねません。
本記事では、マンション相続で特に多い誤解を整理し、注意点を解説します。
誤解① マンションの価値=売れる価格で相続税が決まる
最も多い誤解が、「相続税は時価で計算される」という考え方です。
相続税は、実際に売れる価格ではなく、相続税評価額を基準に計算されます。
マンションの場合、
- 土地部分は敷地全体に対する持分
- 建物部分は固定資産税評価額
を基に算定されます。
その結果、都心の中古マンションでは
「売れば1億円以上なのに、相続税評価額はそれよりかなり低い」
というケースも珍しくありません。
逆に、評価の仕組みを理解せずにいると、税額の見込みを誤る原因になります。
誤解② 兄弟姉妹で共有名義にすれば公平で安心
マンションを兄弟姉妹で共有名義にするのは、一見すると公平な解決策に見えます。
しかし、将来的なリスクは小さくありません。
共有名義になると、
- 売却や賃貸に全員の同意が必要
- 一人でも反対すれば何も決められない
- 次の相続で権利関係がさらに複雑化する
といった問題が生じます。
相続時の「とりあえず共有」は、次世代への問題の先送りになりやすい点に注意が必要です。
誤解③ 配偶者が相続すれば相続税は一切かからない
配偶者には大きな税額軽減があるため、「配偶者が相続すれば税金はかからない」と思われがちです。
確かに、配偶者には
- 1億6000万円
- または法定相続分
まで非課税となる特例があります。
ただし、これはあくまで一次相続の話です。
配偶者がすべてを相続すると、次の相続(二次相続)で子どもに重い税負担が集中する可能性があります。
目先の税額だけでなく、二世代先まで見据えた判断が重要になります。
誤解④ 自宅マンションなら必ず評価が下がる
「自宅だから評価は低くなる」という認識も誤解です。
確かに、自宅用不動産は時価より低めに評価される傾向がありますが、
- 立地
- 階数
- 築年数
などによって、評価額と時価の乖離は大きく異なります。
特に、駅近・高層階のマンションでは、評価が思ったほど下がらないケースもあります。
一律に「自宅だから安心」と考えるのは危険です。
誤解⑤ 相続税さえ払えれば問題は終わり
マンション相続では、「相続税を払えるか」に意識が集中しがちです。
しかし実際には、
- 固定資産税や管理費・修繕積立金
- 将来の売却や住み替えの判断
- 空室リスクや老朽化
といった問題が、相続後に続いていきます。
相続はゴールではなくスタートであるという視点が欠かせません。
結論
マンション相続では、「何となくの理解」や「よくある話」を信じて判断すると、後悔につながりやすくなります。
評価の仕組み、分け方の影響、配偶者特例の使い方、そして相続後の管理まで含めて考えることが重要です。
特に都市部のマンションは資産価値が高いため、誤解がそのまま大きな問題に直結します。
正しい前提を知ったうえで、冷静に選択することが、円満な相続への第一歩です。
参考
・日本経済新聞 朝刊
「中古億ション」時代の相続
・国税庁 相続税のあらまし
・相続税法および財産評価基本通達
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

